ピチモ物語。ALIVE!

第2話 ゆうころ発見!みなと祭り




 さて今回は第2話。「名古屋みなとまつり」に、それぞれ別々におともだちと行った、りえとゆうころが偶然出会うというお話だよ。ふたりとも、びっくり! そして、いっしょにお祭りを回ることになったようだけど、なんとりえの身にアクシデントが〜! (このお話はフィクションです)







1 りえの場合

「にぃ。・・・にぃ。・・・わかったにぃ。じゃ、2時に駅の改札に集合やにぃ」

りえ、おともだちと電話中。

いま、三重に帰省してる、りえ。どうやら、地元のお友達と、これから名古屋で行われる「みなとまつり」に行くらしい。





2 ゆうころの場合

先週から、みんなの待ちに待った夏休みがスタート。ラ・メゾン・ピチレモンに住むピチモたちも、夏休みを満喫中。あるものは、自分のおうちに帰り、あるものは、お友達と旅行に出かけ、そしてあるものは、とにかく部活に励む。そうそう、もちろん、お仕事一色の子も。

まあ、そんなわけで、いまのラ・メゾン・ピチレモンは、ひとが少ない。いつにもまして静かなのでありました。



さて、居間にいるのは、うてちんとぷりん。なんかとっても、だるそう。

「ひまだぁ〜。それにしても、あぢぃぃぃ〜」

Tシャツをまくりあげ、うちわでバサバサ。

「も〜、うてちん、ほんっとオバサンみたぃ!」

「ゴラ、ぷりん。おばさんゆ〜な!」



と、ここに、ゆうころが、浴衣に着替えて登場。

「あれ?」

「どっか行くの?」

「は、はい。あっ、あのぉ、地元のお友達とぉ、ちょっと、みなとまつりに行く約束してるんです」

「へぇ〜。でも、浴衣かわいいじゃん! すっごく似合ってる」

「ぁ、ありがとうございますぅ~」

「うんうん、あたしも着たいやねぇ」

「いってらっしゃ〜い♪」

ゆうころ、あこがれのうてちんから褒めてもえて、とってもうれしい。ちょっと赤くなって、足早にとび出してきちゃった。



部屋に残った二人、顔を見合わせ

「いや、ホントかわいいわ」

「でも、あかねに見せたら大変だな。。。」





3 りえの場合

「いってくるにぃ~」

おともだちと待ち合わせ。駅まで自転車。

「お祭り♪ お祭り♪ たのしみやにぃ〜♪」

りえ、ひとりごと言いながら、とってもたのしそう。





4 ゆうころの場合

「も〜、ゆうころ遅いよ!」

まりあちゃん、ちょっと怒る。

まりあちゃんは、ゆうころの地元のお友達で、小1からのつきあい。ゆうころの大親友で、なんでも相談しあえる仲。高校は別々になって、今日はひさびさに会う。そんなわけで、ふたりとも、今日をたのしみにしてた。

「ごめっ! ・・・でへへぇ。。。」

「な~によぉ、なんかいいことあったん?」

ゆうころ、待ち合わせにちょっと遅刻。なのに、ニヤニヤ。

「わ、わかるっ? あのね、うてちんから、この浴衣、褒められちゃった☆」

「あ〜、はいはいはい。さっ、行くよ」





5 りえの場合

「わぁ〜、人がいっぱいやにぃ〜♪」

「りえ、はぐれないようにねっ」

「うん」

お祭りは大盛況。とにかく、ひとが、いっぱい。

「りんごあめ食べたいやにぃ〜♪」

ふたりで、りんごあめなめながら歩く。

ちょっと歩くと、わたあめ屋さんの屋台。

「わぁ!、わたあめも食べたいやにぃ〜♪ 」

「もぉ〜。りえったら、食べることばっかり」



と、しばらくした時、金魚すくいの屋台を発見したりえ。

「金魚すくいやにぃ〜♪」

ひとをかき分け、いちもくさんに、走っていっちゃった。

でも、このひとごみのなか、ちょっとでも離れてしまったら最後。この後、りえはお友達とはぐれることになってしまうのである。

そんなこととは、つゆ知らず。りえ、しゃがんで、目をまん丸にして、とってもうれしそうにじ〜っと金魚をながめてる。そして、ひととおり満足したところで、ふと、われに返って、周りを見回し、こうつぶやく。

「ありぃぃぃ〜? ひとりぼっちやにぃ・・・」





6 りえの場合

こうして、お友達とはぐれてしまった、りえ。しかたなく、ひとりさびしく、とぼとぼお祭りを回ることにする。

「さびしやにぃ・・・、かなしやにぃ・・・」

と、ここで、前から歩いてくる女の子が目に入る。

「ほぇっ???」

なんか、見おぼえある子。

「ゅころ・・・?」

首をかしげ、自信なさそに、ちょっと、ちっちゃい声でつぶやいてみる。で、だんだん近づいてくるにしたがい、はっきりわかる。

「やっぱり、ありぃわぁ〜!! ゆっ・ゆっ・ゆっ・・・」

今までの心細さと、ゆうころを見つけたうれしさとで、もう、りえの瞳は、涙でいっぱい。そして、いよいよおっきな声で。

「ゆうころやにぃ〜♪♪♪」





7 りえの回想

じつは、りえ。ピチモになる前は、ゆうころの大ファンで、なんとファンレターまで出したこともある。

そして、ピチモとなった今も、もちろんだれよりも、ゆうころを尊敬してる。お姉さんのように思ってる。

あれはナルミヤの高島屋イベント。りえにとっては初めての体験。初めてのショップイベントだった。ひかくてき小さい会場で、大勢のファンの子たちに囲まれる。「夏まつり」とは違った雰囲気。だから、とっても緊張してた。

でも、そんな時。いっしょに出演する、ゆうころが、そばにいてくれた。となりで、しっかりサポートしてくれた。いろいろ話しかけ、緊張をほぐしてくれた。

以来、ますますゆうころを信頼するようになり、ますます仲良くなり、姉のように慕うようになったのだ。

そして今、そんな、ゆうころが目の前に。





8 ゆうころの場合

「ゆうころやにぃ〜♪」

とつぜん、どこからか名前を呼ばれたゆうころ、ちょっとびっくり。

「んっ!? なんだぁ???」

ゆうころ、まわりをキョロキョロ。すると、この人ごみの中、むこうの方に、こっちをじ〜っと見つめる、小柄な女の子。

そして、ゆうころと、目と目が合った、次の瞬間。バタバタ走りよってくる。

「ゆ〜ころ〜♪♪」

目をキラキラ・ウルウルさせて、走ってくる。

「り、りえじゃん!」

ここにいたって、ようやく気付いた、ゆうころ。

「な、な、なんでぇ? どしたん? ひとり?」

ゆうころ、矢継ぎ早に質問。

対する、りえ。いまにも泣き出しそう。でも、とってもうれしそう。

「あのね、あのね・・・」

こうして、ゆうころに今までのいきさつを話すりえだった。





9 まりあちゃんの場合

「さぁ。じゃ、いっしょに回ろっか」

りえの話を聞き終わって、真っ先にまりあちゃんが言う。さすが、ゆうころの親友だけあって、まりあちゃん。もちろんとっても優しい女の子。

「いいのぉ。。。?」

りえ、不安そうに聞き返す。

「ったりまえっしょ!」

ゆうころ、にっこり笑って

「さ、行くよ」

「うん♪」



こうして、3人でお祭りを回ることになる。

なかでも1番うれしそうなのが、りえ。終始ニコニコ、ホントたのしそう。なんせ、右にゆうころ、左にまりあちゃんがいるんだから。





10 ハプニング!?

しばらく、お祭りを楽しんでいたところ、突然、まりあちゃんが叫ぶ。

「りえちゃん、帯っ! 帯〜っ!!」

「にぃ!?」

りえ、自分の帯をみる。

「ふ、、ふわぁ〜、おびがぁ〜!」

ベロ〜ン。。。なんと、りえの浴衣の帯が、ほどけかかっているのである。いまにも、結び目が解けてしまいそう。

オロオロオロ。。。

「困ったにぃ〜。恥ずかしいにぃ〜。どうしよにぃ〜」

りえ、浴衣の帯の部分を両手で押さえながら、あたふた。

でも、そういう、あせってる姿も、ちょっとかわいい。

これ見て、まりあちゃん、クスクスクス。。。あまりに、りえがかわいらしいんで、ついついふきだしちゃった。

と、そんな時、たよりになるのは、やっぱりゆうころ。やさしく、りえに向かって

「だいじょぶだよ。あたしが、すぐ、むすんであげるからね」

と、微笑む。





11 ゆうころ大好き!

3人、通りのすみっこの方に行って、ゆうころ先生の即席着付け講座がスタート。みるみるうちに、鮮やかな手つきで、帯を結びなおしていく。そして、あっというまに、りえ、もと通りの浴衣姿に。

「さっ、これでOK、と」

りえはもちろん、まりあちゃんも、これには感心。

「ゆうころ、すごいじゃ〜ん」

「ゆうころ、ありがとにぃ〜♪」

「いえいえ、どういたしまして」

と、ここで、りえ。ゆうころに抱きつく。

「ゆうころ、だぁ〜いすきやにぃ〜♪」

「こらこら、せっかく結んだんだから。またほどけちゃぞぉ」

ゆうころ、苦笑い。でも、やっぱりうれしそう。

りえのこと、ホントの妹のようにかわいがってる、ゆうころでありました。



この後、三人で花火を見て、それが終わったところで、お祭りもおしまい。





12 エピローグ

こうして、りえにとってはハプニングつづきだった、名古屋「みなとまつり」の1日は終わった。

まりあちゃんと別れ、ラ・メゾン・ピチレモンに向かう、ゆうころとりえ。そんな帰り道、ゆうころが言う。

「でも、そういえば、りえ。いっしょに来たお友達は?」

「ぐわぁ〜、す・す・すっかりわすれとったにぃ〜〜〜!!!



(完)




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