星条旗が描かれたセーターを着たブライアンは、時々、音程をはずしながらも名盤『ペット・サウンズ』を再現。
ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンと
ヴァン・ダイク・パークスは次回発表予定の
アルバム『DUMB ANGEL(ダム・エンジェル)』用の曲を書き始める。
はじめて書いた曲は「Surf's Up(サーフズ・アップ)」ともいわれている。
気持ちが乗ったときには、一晩で一曲を書き上げていったという。
まもなく、アルバムタイトルを『DUMB ANGEL』から『SMILE』に変更。
「神に捧げるティーンエイジ・シンフォニー」というコンセプトを打ち出した。
それまでビーチボーイズのパブリック・イメージは、
「海!サーフィン!アメ車!女の子!」だったが、
このアルバム・セッションはブライアンの極度に密室的な作業となる。
ドラッグの影響下、ブライアンの奇行は日増しにひどくなり、
家の中も様々に変化していった。
リヴィングには砂場が作られ、その中心にグランド・ピアノが置かれた。
プールにはすべり台が作られた。
ミーティング・ルームにはテントが張られ、中はクッションで溢れかえり、
コインを入れると点灯するライトが吊るされていた。
人形や風鈴、アングルによって見え方の変わる絵、
ホイップ・クリームの缶など、まるで子供が好むような環境が作られていった。
ビジネスのミーティングはプールで行われたという。
結局、脳味噌がイッてしまったブライアンは『SMILE』の発表を中止する。 |
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