IconPresent by ★『共犯新聞』社
Central Park

セントラル・パーク


■タモリ
『行ってから読むか 読んでから行くか』(1980年、講談社)より。
セントラル・パークでキュートな女の子を見かけたら
 ニューヨークで山下洋輔トリオにバッタリあった。バッタリというよりヤッパリだろう。
で、バドワイザーを1ダース半ほど買い込んでセントラル・パークへ。
3時頃だったけどロイクのお兄さんが寄ってきて
「スモーク?ヘイ、スモーク?」とこうくる。

 で、ビールでガマン。いやガマンじゃあなくて、ビールが飲みたい。
でも公園じゃビールはいけないらしい。
缶のまわりを紙袋で包んで飲むのが、ここの正式なやり方だ。

 よい天気の日、青空の下、どちらを向いても高層ビルがニョキニョキと立っているのが目に入る。
それでいて足の下は緑いっぱいの自然が広がっている。
このアンバランスがセントラル・パークの魅力なんだ。

 キュートな女の子に声をかけてみよう。
"Don't you think it would be more fun to walk with someone
than all by yourself?"
「散歩は一人より二人のが楽しいと思うんだけどなあ……」
なんてキザなセリフも、例によって英語だから平気の平左。
向こうも、フンなんて顔しないでかまってくれるから楽しい。

"Have seen an iguana inCentral Park?"
「ねぇ、セントラル・パークでイグアナを見かけなかった?」
こういってイグアナの真似をしてみせるとこなんか
実にセコい芸人て感じ。

"I came all the way from Tokyo just to
meet a person like you in Central Park."
「セントラル・パークで君みたいな人と会うために
東京からやってきたんだ」
ここまでくると、さすがの俺にもいえない。
恥ずかしくってじゃないよ。
英文が長すぎてだよ。

TAMORI
1980

……まぁゴースト・ライターが書いたかどうかは、
ワカランが。

しかし、80年代の日本テレビの傑作番組、
ニューヨークを意識したコンセプトであったと思う。
その周辺の事情で書かれたのかな?
それを味わうのは、読んでからのお楽しみ。