著者の部屋
ニンゲン合格
第11回東京国際映画祭 コンペティション公式参加作品
久保元宏の感想 1999.1.30(土) ビートルズの「ディア・プルーデンス」が流れる、 地下のイタリア料理店で、コレを書いている。 今や世界のクロサワ=黒澤清は、日本ではマイナーではあるが、 昨日の夜行ったシアターKINOの「ムトゥ踊るマハラジャ」が50人入っていたのに、 天下のアーバンビルのピカデリィー2で、 早朝とは言え3人(!)とは、チョー」マイナーって、かあんじーぃ。 足音に特徴がある。ビートルズの「レイン」は、名曲だ。(←おっと、リストランテのBGMが、変わった) 足音ダケで演技する役所広司もスゴイ。 暗いローカを行き来する足音で、感情を表現する。 突然、立ち止まるだけで、情況を、切り裂く。 しかし、ホラーに行くかと思いきや、 美しいBGMと共に、家族再生の物語へ流れて行く。 柳美里「フルハウス」じゃないが、 今時、家族崩壊を書くよりは、「家族再生」=「カゾク合格」(?!)の方が、 現代的なアイロニーかもしれない・の・だ・が。・・・・・・そこで、終わるハズもなく、 リリィの母親役がイイ味出しながら、息子の来ていたTシャツを着ながら、洗濯もおを干す。 その横で、赤いTシャツで、だらしなく、だらんと、横になってる息子。 おいおい、ここで又、眠りに付くのかよ・・・・・・それもまーストーリーとしては、魅力的だ・が、 それを、何も無くすごす。 他にも、火のシーンなんか、 タルコフスキー「サクリファイス」のエンディングにしちまえる方法もあったのだが、 オーディエンスの映画的知識を笑うのかのように、映画は、日常の様に進み、日常の様に終る。 これって、小津? でも、何か、変。 そう、クロサワだから。 |
・監督=黒澤清 ・脚本=黒澤清 ・出演 西島秀俊 菅田 俊 リリィ 麻生久美子 哀川 翔 洞口依子 大杉 漣 鈴木ヒロミツ 豊原功補 役所広司 ・製作協力=ツインズ ・製作=大映株式会社 ・配給=松竹株式会社 1999 大映 |