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読書感想文① 佐多稲子『夏の栞』
投稿者:久保AB−ST元宏   ホームページ
投稿日:2000年2月12日 14時12分

 ここの「掲示板」は、
サンライズ・ホールの漢さんの書評が読める世界でタダ一つのメディアで・嬉しい。
・・・そこで、私も、真似をして、「読書感想文」なぞ。

まず、この本は、装丁が、とても美しい
特に箱の中の布製のハード・カバーは、手にした人を虜にします。
青い糸が織られているのですが、あえて斜めに。そして、同色で、タイトルが押されている。
1983年発行で、今なら、古本屋で初版本でも、半額で手に入ります。

内容は、彼女と中野重治の思い出。
しかし、芥川竜之介の死の3日目に会ったハナシなどは、文学史上、必読。彼女の言葉が自殺のヒント?
敗戦後、吉本隆明らに「戦争犯罪人」として文壇でも、肩身の狭い思いをしたコトも、薄く触れられている。
でも、戦争に慰問に行って、「戦争犯罪人」になるのであれば、
森鴎外は、職業軍人(軍医とは言え)だったワケで。
でも、だれも森鴎外を「戦争犯罪人」とは言わない
それは森鴎外の時代の戦争は、勝ちイクサで、佐多の時代の戦争は、負けイクサだったからなのか?
そうであるとすれば、もう一度、文学史は、そこから書き直さなければいけない・と、思うが。どうっすか?
そんな重要なことも、瑣末なエピソードに感じるほど、
この中卒のカフェの女給あがりの文豪は、骨太なのだよ、キミィ!

Re:1 漢 幸雄
>相変わらずお元気そうでなりよりです。
佐多稲子を読むことがマニアックな選択に感じられるほどに
日本の現代文学は寂しい状態になってしまっているのでしょうね。
森鴎外然り。先日も古書店の親父と話しこんでいました。
きっと20年後には古書店で明治・大正・戦前の日本文学作品は骨董としての価値しか持たないのではないかと。
現在の若者が読む傾向の作家の本が、
果たしてどのくらい流通価値のある本として20年後に生き残っているのだろうか
ということを考えると暗澹とした気分になるとも。 
若者の活字離れなんてことは現在の出版状況を考えると、
到底的を得ているとは思わないけど、
本来活字になるほどの価値のないものまでが活字になってしまう
ということの功罪は出版社側でも考えなければならないことだと思う。
ベストセラーという奴のラインナップを見て悲しくなることはないかい。
売れればいいってもんじゃないでしょう。
俺には関係のないことと割り切ることもできず、結局はクレーム有りの状態で図書室の選書を続けるしかないのか!  
それでは森欧外の本については次項で・・・。 


Re:2 漢 幸雄
>「鴎外」を「欧外」と変換してしまったあたり、我が身もボケているということかもしれない。