<FF伝道>
駅前のインチキ手相はあやしさ100%ですが、手相でなくても彼等は忍び寄ってきます。FF(ファミリー、フレンド)伝導は、既に存在する人間関係を利用してくるので、彼等も強力な営業戦略を立ててきます。狙われた時点で非常に危険です。
私ドックは会社の同僚にビデオセンターへ連れて行かれた。数回で辞めたけれども、時々あの時の記憶が蘇ってくる。スティーブン・ハッサン氏著「マインドコントロールの恐怖」では、数ヶ月の献身生活をした女性が、無意識のうちに彼等に出産の不安を植え付けられ、脱会後も妊娠できなかったという事例が紹介されていた。私が通った数回のビデオセンターではそこまで影響を受けることはないと思うけれども、心の中に入り込まれたあの怒りは数年経っても変わりません。ここに私の体験を残します。
<芋掘り>
夏の夜、決して鳴らない私の携帯が鳴った。同僚のゴンであった。前に、会社の廊下で会った時番号を聞かれたのである。「ドックさん、今度僕の仲間で芋掘り行くんですけど一緒にどうですか?」 ゴンからは以前から誘いを受けていたが忙しかったので断っていた。今回はこの前仕事を頼んだこともあったし、予定も空いていたので参加することにした。
約束の日、私は某駅でゴンと待ち合わせ、集合場所へと歩いた。ゴンは一人暮らしであるのに1時間以上もかけて通勤していることを聞いてみたところ、「事情がありまして...」という返事であった。集合場所へ着く前にゴンは「今日は僕の入っている自己啓発団体の集まりで、ドックさんはゲストとしての参加です。僕が入った時は最初に6万円払いました。」と、言った。「こいつ俺を紹介してリベートを受け取るのが目的だったな。」 と、私は腹がたったが、ゴンがどんな彼等と付き合っているのか見てみたいと思った。
集合場所にはすでに高校生くらいから40代くらいの男女20人ぐらいが集まっていた。近くの畑で芋掘りがはじまった。私の班はゴンと40代の女、姉妹らしき女の子2人、痩せた体格のHの6名であった。Gパン姿の者もいたが、掘った芋の数を数える競争であるのに皆真剣なので、何だか間延びしてしまった。夏の暑陽射しに耐えながら、早く終ってくれと心の中で祈っていた。焼き芋を食べながら私達はで輪になって話をし、「血液型は?」「Tシャツいいね」とか話をした。私のTシャツはハワイで買って来たことを言うと、一瞬40代女が私を睨んだような気がした。
<ビデオセンター>
その後、私は、ある雑居ビルの一室へ連れて行かれた。ビデオセンターである。裏口から入ったので気がつかなかったが、外の風景を眺めると、首都圏のターミナル駅近くであることがわかった。6万円を払いたくないのであれば逃げることも出来た。しかし、私はこの目を輝かせている集団への興味が先んじていた。部屋の中には膝ぐらいの高さのテーブルがコの字型に並んでいた。テーブルに座席が4つ配置されており、座席は座った者が壁を見るように2つ、部屋の中を見渡す向きに2つ配置されていた。私は壁を眺める向きに座らされた。この席だけ観葉植物で他の席とは仕切られていたので、特別な話をするための席だと感じた。ゴンは「さっきの40代女が来ます。私の大先輩ですので立ってきちんと挨拶をして下さい」と諭した。
<止めないことを決める>
40代女が来ると、私は立って挨拶をした。女は部屋を見渡せる壁側の席に座った。ゴンが隣りに座ったので私は塞がれたような形になった。40代女は私が書いたアンケートを見て「血液型はO型ですか...、さっきの芋掘りの様子ではみんなをよく指導していたので、A型かと思いましたよ。」と、言った。さっきから。血液型や占いの話ばかり聞かされていたので、嫌気がしていた。しばらくするとゴンが占いの本を持ってきて、動物に例えると私はヘビというようなことを話していた。入会の話になったが、特に自己啓発の必要は感じていなかったけれど、芋掘りに参加した義理もあるので入会はしてやる気であった。
しかし、「(すぐに止めるだろうけど、)入る」と、私は言っているのだが、40代女とゴンの「いいですよ、いいですよ」という、話が続いた。あまりに長く話が続くので、「自己啓発という割に、内容が明確でない。」と、本音を述べると、「病院の治療のように、啓発できたと判断できるまで続くんだよ!」と、ゴンは訳のわからないことを言って私を怒鳴りつけた。その後、私が、「ビデオセンターを止めないことを決めた」と、言うまで話が続いた。
<小絵さん>
次の日、ビデオセンターに行く際に、ゴンは「駅で待ってます。」と、言った。わざわざ家から出て来てもらうのは面倒だろうから、断ると、「どうしても来る。」と言う、私は感激したので、私は到着時間を教えた。しかし、私が駅に到着するとゴンはそこにはいなかった。電話をかけてみるとゴンは鉄道の改札前にいた。前日ビデオセンターの帰りにゴンはバス停まで私を送ったので、私がバスで到着することは知っているはずであった。
ビデオセンターでは小絵さんという女性がカウンセラーであった。小絵さんは30代半ばの綺麗に化粧をした女性であった。話をする時、表情豊に喋るのが特徴であったが、カウンセラーというより気象予報師か幼稚園の保母さんにしか見えず、とてもカウンセラーに見えなかった。話をすると小絵さんは私と同じ街の出身であった。勉強方法はビデオを見た後、そのビデオについて話をするというものだった。初日は妙高院貴子という先生の「幸運をつかむ」と、いうビデオを見た。ビデオでは、私達の先祖を数代さかのぼるだけで、何千人もの人がいて。私達はその人たちの使命を受けて生まれていると語っていた。
ビデオを見た後で小絵さんと話をした。妙高院先生は「運勢を開くためには人に尽くすだけでなく自ら人のために尽くすべきである。」と、語っていたので、私も同じ考えであることを伝えると、「すごいわ」と、小絵さんは涙目になり感激していた。
<色情因縁>
小絵さんは紙と鉛筆を持って来た。私の家系図を作ると言う。家系図を作りながら、病死したものはいるか?事件に巻き込まれたものはいるか?水子はいるか?など聞いた。私の家系にはそのような者はいなかった。そして、「それでわー」と私の名前の横に線を書き、恥ずかしそうに「ドックさんは現在お付き合いをしている方はいらっしゃいますか?」と聞いた。自分のことを聞かれて私はドキッとしてしまった。小絵さんは続けて、「色情因縁につながる問題は起こしておりますか?」と尋ねた。「妙高院先生のビデオにもありましたように色情因縁は大変恐ろしいものです。ドックさんも、絶対に色情問題を起こしてはいけません!」と私に告げた。真面目に聞いている勉強の教訓が色情問題であった。私は驚愕した。「笑うせぇるすまん」でいえば「だぁー」という、あのシーンの用に。「浮気」「不倫」「二股」などではなくて、「色情因縁」です。祟られるとなれば怖くてしょうがありません。とても強力な刷り込みであったので、この時以来、女性と話をすと色情因縁言葉が脳裏に浮かびます。そしてこれが、後に私をビデオセンターを去らせる原因となった。
<先祖解怨>
一通り家系図ができあがると、小絵さんは鉛筆をおいて話をはじめた。「ドッグさんはすでに亡くなられた方を含めて素晴らしいご家族に囲まれておりますね。亡くなられた方はドッグさんに強い使命を託していたと思います。ビデオでも妙高院先生が言っていたと思いますが、いかがですか?お墓参りなどで亡くなられたご先祖にお祈りをしようという気になりましたか?」と、聞いた。私が墓参りはしないと言ったことに対して言った。主旨もわからずビデオを見せられ、奇妙な話題に驚いた。
私はすぐに答えた。 「私は、幸運を掴みたいからとか、先祖の因縁から逃れるために墓参りをしている訳ではなくて。生前に世話になった人たちだから、家の墓参りをしているのです。たとえ、私の先祖が平清盛や源頼朝だったとして、私に彼らの因縁のために悪いことが起こったとしても、それが宿命だったんだから仕方ないと思います。さっきのビデオで私には何千人もの先祖が使命を託している、って言っていたじゃないですか。
一人一人祈っていたらそれだけで人生が終っちゃいますよ。あなたは人生の祖先と言われている原始人にもお祈りをするんですか?」と回答した。小絵さんは「原始人はちょっと...」と答え、その後はとめどもない話が続いた。
<贈り物>
芋掘りで一緒になった女の子の1人に40代女がセーターをようなものをプレゼントしていた。その姿をみて小絵さんは私に好きな色は何色ですか?と聞いてきた。女の子はビデオセンターに響く黄色い声で「かわいい!」と言う声をあげていた。
<ゴン>
私がビデオセンターに行く時は必ずゴンが迎えに来ると言ったが、やはり、バス停にはいなかった。私は仕方ないのでいつも鉄道の改札前までゴンを迎えに行った。迎えに来た人を迎えに行くなんて馬鹿らしく思えた。帰る際には手紙を渡され、「勉強しよう、頑張ろう」というものであった。「馬鹿にしやがって」と思ったが、手紙を書くのはマニュアル通りなのだろうとも思った。今は小絵さんが親切にしてくれているが、後で私もゴンみたいに「使いっぱしり」にされるのかと不安だった。
<転換期>
小絵さんとのビデオ学習がはじまった。与那嶺先生の「家系のふしぎ」がテーマであった。ビデオは、私のような末っ子だと転換型であるということ、結婚できなかった男性がキリスト教に改宗したら、結婚できたという内容であった。
<性癖を語る男>
小絵さんと話している間、後ろで話している男がいた。相手になっているのは40代女であった。「週何回や、行きずりの女と寝る。」など、耳を覆いたくなる話であったが、男は何者かに憑かれたように淡々と話をしているのが不思議だった。さらに「そんなにすぐ寝て彼女が可哀想じゃない?」と、平然と話をする40代女も不思議であった。それを見て、私は小説「ノルウェイの森」で東大のプレイボーイが、彼女のハスミさんに性癖を聞かせているシーンを思い出した。
<西郷さん>
次のビデオセンターで、西郷さんの「知ってるつもり」を見せられた。ビデオを見た後小絵さんはどこかへ行ってしまった。しばらく待って後ろにある海賊版ビデオを見ていた。それでもヒマなので携帯で親と話していたが、暫くすると長身でポニーテールの、体育の先生のような女性が、新たなビデオを持ってきた。「どこに電話をされているんですか?」。使いっぱしりにされているその女性は私に聞いた。その目つきが異様に冷たいものだったのを覚えている。ビデオは西村雅彦さんが司会をやってた感動アニメ番組であった。内容はおでん屋の母ちゃんのために勉強するという内容であったが、馬鹿らしいと思いつつ見た。
<記憶の呼び戻し>
ようやく戻ってきた小絵さんは、こちらの席に来てくださいと、入会の時に使った隅の席に座らせた。この席は観葉植物で囲まれ、植物は飾り付けがされていた。この席には隠しカメラが設置されていると思っていたので、小絵さんの話に出てくる所長という人物が話を聞くのだなと思った。話がはじまると、小絵さんは1980から2004までの数字を書いた。「これはあなたが産まれた時から今日までの時間を西暦で書いたものです。今日はタイムマシンにのったつもりで、過去に行ってみます。そこでドッグさんにインタビューしますので私の質問に答えてください」と、鉛筆をマイクのように私の口元へ近づけた。
<タイムマシン>
私は小絵さんと共にタイムマシンに乗った。タイムマシンで小絵さんは1985年に行きたいと言った。小絵さんは楽しかったことを思い出すように指示した。記憶が断片的に蘇ってきた。幼稚園の同じマンションの女の子と幼稚園に通っていた。鉄棒のぶら下がり記録会で優勝したり、おともだちの誕生日会でプリンを食べていた。淡々と私が話をすると、小絵さんは「それでは、楽しくなかったことは何ですか?」と、質問してきた。私の記憶はつらかった経験を思い出した。兄、年の離れた兄は両親の目が届かない所で、私に暴力を振るっていた。さらに、ビンタばかりするヒステリーな女教師、ハチ、狂犬、次々と怖かったことが走馬灯のように浮かんできた。小絵さんは私を止めなかったので延々と私は恐怖を想像した。しばらくして、私はひどく混乱し、空から延々と落ちているような絶望感に襲われた。涙が出そうになったので目を閉じてうつむいた。すると、小絵さんは私の手を握りしめ「大丈夫ですか?」と、聞いた。手の暖かさで私は落ち着きを取り戻した。しばらくして私が落ち着くと、小絵さんは私の手を広げ、「いい手相ですね」と、言った。小絵さんは私の手の平をなぞりながら「生命線」「運命線」などと説明をした。話が終ると、再び私の手を両手で包み込んだ。私は小絵さんの顔をみたが、小絵さんも私の目をみつめていた。その後も、しばらく話が続いた。その時の私は空をフワフワと浮かんでいるような感じであった。その後小絵さんはとても優しく、母親、姉、恋人が1人の人物に乗り移ったようだった。あの時、私は小絵さんの聞くことに、小絵さんが喜ぶ回答を行うようになっていた。性癖を聞かれていたらあの男のように答えていただろう。
<下りエレベーター>
ビデオセンターを出るとき、小絵さんはエレベーターまで私を送ってくれた。私が自分のことを1つ話すと、小絵さんは、いくつもの質問を帰してきたので、エレベーターに乗り込むまで長い時間がかかった。「愛の爆撃」である。エレベーターのドアが閉まるまで、小絵さんは手を振って私を見つめていた。
ドアが閉まると私はたまらない孤独感に襲われた、その後、ドッと疲れがでた。1階まで下りながら、私は考えた、「次回も小絵さんとこんなカウンセリングをするのか?キャバクラであってもこんなに女の子を1人占めできることがあるだろうか?彼女は私と恋人の関係を作ろうとしているのか?いや恋人以上の関係を築こうとしているのではないのか?そう、恋人以上の関係だ!、ゴンはどうだろうか?彼は女性達に忠実であった。」 私の脳裏に、巨大アリの帝国というSF映画のシーンが蘇ってきた。巨大化した女王アリが人間にフェロモンを吹きかけ、人間はアリの為にせっせと働きはじめるというものだった。小絵さんにはもう1つ疑問もあった。この前、「色情問題を起こしてはいけない」と、強く私を諭した人物が、ただ数日会ったばかりの私に対して、カウンセラーと名乗る人物が手を握り見つめるだろうか?色仕掛けであるなら、私は既に多くの金を支払っていただろう。しかし、そうではない。私は、この自己啓発団体に得体のしれない恐怖を感じた。興味本位でこの団体に参加したけれど、これ以上関わることは止めようと決心した。
<脱出>
自己啓発団体の情報は団体名と地名くらいしかなった。少ない情報でインターネットで調べてみたら、「カル〇被害〜」のサイトへ辿り付いた。この団体についてあまり知らなかった。故飯星晃一氏が娘さんを脱会させるために、かっこよかった姿を記憶している。以前も自己啓発団体を調べていたのだが、何もわからなかった。いや、本当に調べようとしていなかったのである。すぐに、両親へ相談した。すると、父も以前このような組織に勧誘されたことがあるという。「赤旗」の購読だそうだ。(笑)
私は、自己啓発団体に、行かないことを決めた。ゴンから電話が来ても出ないようにした。ゴンからは「小絵さんも心配してますよ」と、いうメールが続いた・通勤にも別の路線を使った。2週間後ゴンから電話が来なくなると、いつも使っていた路線に戻すことにした。会社を帰宅する際、周囲にゴンがいないことを確認して駅まで走った。改札を抜け電車に乗ったとき、背後に人が続いてきた。ゴンであった。「よぉ」と私は挨拶をした。ゴンの左眼の上に殴られたアザがあった。私はゴンに話をさせないように世間話を続けた.あの時の時間は長かったような気がする。そして、社外に有名な教団施設が見えると、私は「あの自己啓発団体と、あの教団は繋がっているんだろう?」と、尋ねた。ゴンの目は三角形になり、「どうして気付いた?」、「なぜわかった?」と、しつこく聞いた。私は答えなかったので、ゴンは次の駅で降りてどこかへ行ってしまった。その後、ゴンは会社を辞めた。時々、駅前で手相をやっているが、いつも良い場所に立っている。
<反統〇という活動>
時々こんな夢をみる。私は再びビデオセンターを訪れた、そこにはゴンと小絵さんがいて、「待っていました。」と、私を出迎えてくれた。私は「すみません。」と、謝罪し駅前の街頭に立つというのである。びっくりして私は起きる。これがPTSDというのだろうか?私は反対派の活動を支援している。それは被害者を守るためではなく、そうしない限り、知らないうちに異性を好きになるように私が彼等に引き込まれる恐怖を感じるからである。
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