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帰り道にビデオテープを見つけた。所得物横領罪もなんのその、持って帰ることにする。
さっそくデッキに入れて再生。映ったのは、井戸。
朝倉「…………え?」
くーるー♪きっとくるー♪きっとくるー♪
どこかで聞いたような音楽が流れる。
朝倉「…………ま、まさか」
井戸から白い着物の女が出てくる。
両手で地面を這うようにしてこちらへ向かってくる。
「それ」が画面から出ようとするその瞬間——!

さよ「ただいまー!」
朝倉「うひゃぁぁ!?」

さよちゃんがテレビから出てきた。

>>336

あまりに突然の出来事に画面の女も驚きを隠せない。
さよ「そんな驚かないで下さいよー、軽い冗談じゃないですか」
朝倉「う、うん…ゴメン」
見ると画面の女は「もういたのか…」などと言いながら井戸に戻ってしまった。
朝倉「さ、さよちゃん…」
さよ「どうしました?…って泣いてる!?」
朝倉「うわぁぁん!助かったよー!」
さよ「な、何だか分かりませんが、もう大丈夫ですよ」
さよちゃんは私の頭を撫でてくれた。スカスカと音がしてるがなんとなく暖かい。
しばらく撫でてもらうと恐怖はなくなっていった。
朝倉「…さよちゃん」
さよ「何ですか?」
朝倉「ありがと」
さよ「…正直何もしてませんが、朝倉さんのためなら何でもやりますよ。これからも」
そういうさよちゃんの顔は、とても頼りに見えた。
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