惑星の不思議

 

惑星の不思議

 

1.  木星の縞模様はどうしてできているのか
 
   木星は地球の300倍の質量を持っていますが、密度はわずか1.3g/ccで太陽よりずっと小さく、石炭程度しかありません。その表面には、水素、メタン、アンモニアからなる大気があり、濃い雲で覆われています。また、自転周期が極めて短く、赤道付近では9時間50分、その他の場所では9時間55分です。このように自転の速度が相当大きいことと、赤道付近が速く回転しているために、木星は南北につぶれた形をしており、赤道に平行に大気の縞模様が発生しています。

 

2. 木星の斑点はどんなものか
 
木星の南半球の縞模様の間に、赤みを帯びた大きな斑点があります。これを大赤斑(だいせきはん)といいます。その大きさは、東西が4万㎞、南北1万㎞で地球の3個分ほどもある大きなものです。
 1664年にカッシーニが発見しましたが、それ以来300年以上も見え続けています。1900年代のはじめに、一時消えかかりましたが、現在では、また、色が濃くなり、大きさもやや大きくなっています。この大赤斑は、大体9時間56分ぐらいで木星のまわりを回っており、その周期が大きくなったり小さくなったりしています。
これは、木星面上をかなり東西に動いたことになります。
 大赤斑は、二つの空気の流れの間にできる渦巻きと思われています。木星には地面がなく、従って山もないので、一度できた渦巻きはなかなか消滅せず、、これからも10000年以上は存在し続けるものと予測されています。

 

3. 土星の世界はどのようになっているのか
 
   土星は木星によく似た星で、表面には、木星ほどはっきりしてものではありませんがやはり赤道に平行な縞模様があり、つねに密雲におおわれているため内部はまったく見えません。自転周期は緯度によってかなり異なり、10時間37分〜11時間15分くらいで、木星よりはやや遅い速度です。
 土星の大気中にはメタンやアンモニアが多いのですが、おそらく水素も多量にあることと思われます。表面の温度は−170度くらいなので、アンモニアは凍って、雲になって

います。

4. 土星の環はどんなものか
 
土星の環は昔から非常に馴染みの深いもので、地球から見える惑星のなかでも土星はもっとも美しい星といってもいいでしょう。
 環は同心円状に7つに別れています。うち側からD環、C環、B環、A環、F環、G環、E環と呼びますが、地球上から小望遠鏡で見えるのは、A,Bの2環です。
環の直径は60万㎞あります。しかし、厚さは真横から見ると全く見えなくなってしまうくらい薄いもので、わずか150㍍以下と推定されています。
 環は細かい粒子の集まりで、それぞれ土星の周りを円に近い軌道で公転しています。粒子の大部分は、こまかい氷のかけらですが、A、Bなどの環はこの粒子が一様に広がっているのではなく、細い同心円上に密集して公転しています。
 環は土星の赤道面に一致しており、地球の軌道面に対して30゜も傾いています。
このため、地球から見た環は、30年の周期で北を向いたり南を向いたり、真横になったりします。

 

5. カッシーニの隙間はどうして出来たのか
 
  A環とB環との間には隙間があり、発見者の名をとって「カッシーニの空隙」と呼
ばれています。この空隙は、土星の衛星の引力のためにその位置から粒子が跳ね出されたものとして説明されています。

 

6. 惑星はどうして同じ方向に廻るのか
 
 惑星の公転面は、地球の公転面とほとんど一致しています。しかも、公転の向きは全部同じで、北から見て左回りに回っています。
 惑星が誕生する課程は、星雲の中で凝縮した塵が、太陽重力の鉛直方向の成分にひかれて、星雲の赤道面に向かって沈殿を始めます。塵は星雲ガスと一緒に原始太陽のまわりを公転しており、このため太陽重力の水平線分と遠心力は釣り合っています。しかし、鉛直方向の成分とはつり合う力がないので、結果として星雲の赤道面に向かって沈殿していくわけです。沈殿の速度は、ガスの抵抗などを受けてはじめは極めてゆっくりなのですが、塵同士の付着合体などによって次第に速度をまし、やがて星雲の赤道面に塵の集積層が形成されます。こうしてできるのが惑星の卵とも言うべき微惑星なのです。

  微惑星は、基本的には太陽のまわりをケプラーの法則に従って運動しているのですが、微惑星同士のニアミスによる重力散乱も著しく、軌道はランダムになり、公転面上を拡散移動していくものと考えられます。一方、このような運動をする微惑星に対しては、星雲ガスの抵抗が働いて、拡散を妨げることにもなります。この両者のかね合いで、微惑星は複雑な運動をしながら、衝突・合体が繰り返され、惑星が成長していきます。しかしながら、この微惑星は、太陽系の外からみると原始太陽の形成過程で生じた角運動量のなかで運動しておりますので、微惑星の成長もその角運動量を保持しながら回転をつづけているのです。そして、大きな惑星に成長しても、太陽の周りを太陽系全体の角運動量を保ちながら運動し続けます。その結果、どの惑星もみな同じ様な方向に公転運動をしているものと思われます。

 

7. 惑星直列はどのくらいの確率でおこるのか
 
1982年に、地球、火星、木星、土星、そして、さらにその外側を回る天王星、海
王星が一列に並ぶ惑星直列が話題になりました。天変地異がおこり、世紀末の到来と大騒ぎをしたことがあります。太陽の回りを回る惑星が地球も含め一列に並ぶことは非常に稀なことですが、この現象が古代中国の記録に記載されていたとのことですから、まさに驚きです。現代の惑星運動の計算からいくとこの現象は紀元前2446年に起こっていたことがわかります。
2000年の5月にも、ちきゅうから見て太陽の向こう側に金星、火星、木星、土星、
天王星、海王星が一列に並びました。ただし、このときは地球は昼でしたので、地上からの観測はできませんでした。次にこの現象がおこるのは、400年以上もあとのことであると言われています。ですから、大体、4〜500年位の間隔でこの惑星直列が起こっているのかも知れません。

 

8. 地球には衛星が一つしかないのに、木星や土星には沢山の衛星があるのはどうしてか
 
  太陽の回りを回る惑星が誕生したのは、太陽の重力に惹かれて星間物質が沈殿したものです。このような、中心に質量の重い星があり、その星が回転をしていると、その星の回りにある星間物質がその星を中心にして回転を始めます。そして、星間物質が衝突を繰り返しながら成長し、衛星をつくるわけです。したがって、中心となる星の質量が大きければ大きいほど、より多くの星間物質がその回りに集積しますので、たくさんの衛星をともなう可能性があるわけです。
  ちなみに太陽系で言えば、それぞれの惑星が持っている衛星の数は次の表のようになります。
  惑    星      質量   衛星の数   備 考
  太    陽   333000         9  
  地    球          1         1  地球型惑星
  火    星          0.1         2  地球型惑星
  木    星      312       16  木星型惑星
  土    星        95       18  木星型惑星
 天 王 星        14       17  木星型惑星
  海 王 星        17         2  木星型惑星

 

9.  海王星と冥王星の軌道が交叉しているのはなぜか
 
太陽系の惑星は、太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描いているというケプラーの法則はよく知られています。しかしながら、海王星の外側を回る冥王星は、その軌道がやや異常で、現在は、海王星の軌道の内側に来ております。こうした冥王星の軌道の異常は、惑星の運動の不可解な現象として長い間大きな疑問となっていました。しかし、オランダ生まれのカイパーという天文学者は、彗星の起源について海王星軌道の外側にたくさんの彗星の元が分布していることを予測しました。最近になって、その予測通りいくつもの彗星が海王星の外側を回っていることが確認されるようになりました。これをカイパーベルトと呼んでいます。冥王星の軌道はこのカイパーベルトの軌道と重なっておりますので、ひょっとしたらもともと冥王星はカイパーベルトの回りを回る彗星であったものが海王星の引力でその軌道が変化し現在の軌道に落ち着いたのではないかと考えられるようになりました。

 

10. 彗星は何からできているのか
 
彗星は形が奇妙なため、昔から不吉の星として注目され、数多くの記録が残されています。現在では、一年間に10個内外の彗星が発見されていますが、尾のないものが大部分です。
  彗星には必ず、周りに雲のような淡い光の広がりがあります。これをコマと呼ん
でおり、小さな彗星は、コマがあるかないかによって小惑星と区別されます。
  彗星の核は、氷、ドライアイス、固体アンモニア、岩石などからできていて「汚れた雪だるま」に似ているといわれます。太陽に近づくと蒸発して気体となり、コマが出来ます。 さらに太陽に近づくと、気体が太陽風や光の圧力で流されて尾になります。尾は必ず太陽と反対側にできます。
  彗星は太陽に近づくと急に明るくなります。これは単に日光を反射するだけでな
く、日光で刺激されて自分でも発光するからです。

 

11. 彗星はなぜまた戻ってくるのか
 
  彗星には、ある一定の周期で地球に近づいてくるものと、一度現れたらそれきりのものとがあります。私たちが一般に彗星と呼んでいるのは前者の彗星で、これを周期彗星と言っています。この周期彗星はその大部分が5年から8年くらいの周期を持っており、その軌道の最も遠い地点は、大体木星のあたりまであります。これは、明らかに木星と彗星とが何らかの関連があるもの予測できます。このため、このような短期周期彗星をとくに木星型彗星と呼んでいます。

 木星の軌道の近くには非常にたくさんの宇宙の塵のようなものが存在しており、
これらの天体が公転しているなかで、たまたま木星に接近し、木星の質量によって著しい影響を受け、その軌道が大変動をし、彗星の軌道になったものと考えられています。変化した軌道は、長楕円の公転軌道、すなわち、太陽に異常に接近する彗星の軌道となったのです。この彗星の軌道も他の惑星と同様にケプラーの法則に従って公転します。ですから、太陽に近づくにしたがい、速度が大きくなり、太陽から遠ざかるに従い、ゆっくりとした速度で移動しています。ある一定の距離まで離れると、その速度が小さいために、再び、太陽の引力の影響をうけて、太陽めがけて戻ってくるのです。

 彗星のなかには、木星よりもっと遠いところから、同じようにして周期的に公転し
ている彗星がたくさんあります。これらは遠地点の場所により、土星族、天王星族、海王星族の彗星とよんでいます。76年周期で戻ってくるハレー彗星は海王星族の彗星です。海王星の付近には、まだ、たくさんの彗星の卵があるといわれ、これをカイパー・ベルト地帯と呼んでいます。

 

12. 小惑星はどのくらいあるのか
 
惑星の太陽からの距離はある一つの法則に従っていることをボーデと言う人が発見しました。これは全くの経験則による数列ですが、この法則によって天王星が発見されたことはよく知られています。水星から始まり、天皇星まで実にによく一致しています。ところが、この法則によれば、火星と木星の間に惑星が抜けていることが分かりました。1801年イタリアのピアジと言う人が見つけた天体がこのボーデの法則の位置に相当していることがわかり、改めてボーデの法則の偉大さが認識されました。この天体はケレスと名付けられましたが、惑星としては直径が770キロと極めて小さく、このため、他の惑星と区別して「小惑星」とよばれることになりました。

 その後、この小惑星といわれる星の軌道が地球に近いこともあり次々と同じ様な惑星が発見され、今では2000個近くのものが知られています。小惑星の現れる軌道は分かっていますので、その方向に望遠鏡を向け、根気よく星空を観測すればあなたも小惑星の発見者になるかも知れません。

 

13. 流星はなにが原因か
 
  「ながれ星」は、昔から、人々にとっては不吉の前兆と思われてきました。あの
「泣いて馬謖を斬った」五丈原で司馬仲達に破れた諸葛孔明が亡くなったときには、大流星が落ち、まさに歴史の巨星落つの一瞬といわれています。これは、物語の世界かも知れませんが、流星が落ちるとこれが人間の運命と重要な関わりを持っているのではと思うのも、その不思議な現象からすると当然のことかも知れません。

 この流星は、もともと宇宙塵と呼ばれる極めて小さな宇宙のゴミのようなものです。大体は彗星が少しづつ壊れながら大気中にばらまいていったものです。これらが地球の大気圏に突入すると大気との摩擦で地上100キロぐらいのところで光って流星となります。のほとんどは1グラム以下のものですが、中には大きいものもあって、大気中で燃え切らずこの地上まで落下してくるものもあります。これがいわゆる隕石といわれるものです。大きな隕石が落下すると地面に隕石孔という月のクレーターと同じ様なものができ、世界中で30カ所以上のものが知られています。そのなかでも最も大きいものはアメリカのアリゾナにある隕石孔で、直径が1260㍍、深さは175㍍にも達しています。

 

14. 流星群って何
 
  流星のもとは彗星の落としていった塵といいましたが、彗星が壊れると多数の宇宙塵が彗星の軌道にまき散らされ残っています。そこで、もし、地球がこの塵の中に突入するとどうなるでしょう。無数の流れ星が一斉に夜空に走り出します。これが流星群といわれるもので、毎年、決まった時期に現れます。中でも良く知られているのか、8月のペルセウス座の流星群や獅子座の流星群です。そのほか、双子座や琴座の流星群が知られていますが、これらの星座の名前が付いているのは、その星座から流星が降ってくるのではなく、塵を撒いた親彗星の軌道と地球の軌道が交叉する角度の方向にこれらの星座が位置しているためそのような名前がついていると思って下さい。

 

15. 隕石の構造はどうなっているのか
 
  流星は、一般に極めて小さい粒子であって、数十分の1グラムしかありません。数グラムの大きさであれば燃焼する時間も長く、光度も大きくなるので、火球(かきゅう)と呼んでいます。粒子は大部分が氷のような蒸発し易い物質で、少量の石や鉄を含んでいます。少し大型の流星物質になると、燃え切らないうち地上に落ちてきます。これが隕石です。隕石の大きなものは数㌧に達するものかもありますが、普通は数㌘から数㎏で、鉄、ニッケル、珪酸塩類などからなっています。
  隕石のなかでとくに小さい顕微鏡的なものを流星塵といいます。大きさは数亳桍から数十亳桍という非常に小さなものですが、表面はきわめて滑らかで、正しい球形をしており、組成は鉄、ニッケルなどを含み、隕石と似ています。

 

16. 隕石が地球に落ちてくる確率は
 
  隕石は、燃え切れなかった流星ですが、その流星は毎日何㌧という量のものが降り注いでいるといわれます。ただし、ここの流星の質量は数十万分の1といわれる程度のものですので、ほとんどのものは大気中で燃え尽きてしまいます。それでも、なかには、地球上まで落下してくるものがかなりの量であることが知られています。いまでは、隕石を降らす軌道まで計算されています。その結果では、大体5月から6月ころが最も多いといわれています。16世紀ころは、年間3個くらいの隕石が発見されていましたが、現在では、10個程度のものが毎年見つかっており、これまでに1,800個に近い隕石が知られています。南極では、氷の上に隕石が落ちますので、これまでにも数多くの隕石が発見されていることは、昭和基地からの報告でよく御存知のはずです。

 

17. 隕石は一目で分かる?
 
  できれば、隕石を自分で見つてみたいとおもいませんか? 確かに南極にいけば、隕石がごろごろしている訳ですから、だれでも簡単に見つけやすいですよね。だけど、行くのが大変、ながい間、探し回るのはもっと大変。だから、普通の人ではなかなか出来ません。でも、もし、自分の住んでいるところの近くで隕石が見つからない訳ではありません。普段、何の気無しに見ている石ころがひっとして隕石だったりすることもありますから、注意して見ていて下さい。

 大体、隕石の見た目の特徴は、というと、まず、大気中ですごい高温となって落ちてくるわけですから、その表面は溶けたような皮をかぶっています。溶岩のようなものです。黒っぽく、鈍い光沢を持っています。さらに表面が、指のはらで押したような浅いくぼみがあります。なかには、流紋という放射状のすじが見えるものもあります。隕鉄といわれるものは錆びた鉄の塊に似ています。隕石は比重が大きく、また、金属鉄を含んでいますので磁石を吸い付ける特徴があります。だいたいこれで普通の石と見分けがつけられますので、是非、隕石発見に挑戦してみて下さい。その隕石は、あなたの運命を変えるかも知れません。

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