月は雲に隠れ街灯などなく真っ暗な闇の中を息を切らしながら走っている女の人がいた。

逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!!!!!!
何度も何度も後ろを振り返りあの人がいないことを確認する。
もしあの人に見つかって捕まってしまえばどうなってしまうか、
なんて火を見るより明らかだ。
行くあてなどここにはないのにただただひたすらあの人から、影から逃げる。
逃げる間に頭に浮かんでくるのは、あの人に捕まりまたあの無駄に大きい部屋に入れられ、
という最悪なもの。
今回だけは捕まるわけにはいかない!!!
あまりの恐怖に流れている涙を拭い息を整えようと壁に手を付きふっふっ、
落ち着くように息をはく。
少し息が整ったところで前をむき、また走り出そうとしたときだった…



カツンカツン…



「っぅ!!!」

誰の足音かなんてわからないが、今は恐怖を与えるだけにしかならず、また女の人は走り出した。
途中で転んでも足音から闇から逃れるように。




カツンカツン…




足音は確実に近づいている。
でも、あの角を曲がればあの人から逃げられる、と思い曲がると誰かにぶつかった。




「ぁ、すみま」
「捕まえた。」
「!!!」




声を聞いて、固まった。
そこにいたのは、捕まらないように必死に逃げていたヒト。
絶対に捕まってはいけなかったヒト…



女の人は固まり、カタカタと震えはじめた。




、素足で走ってたの?足から血が出てる…
ねぇ、探したんだよ。
どうして部屋から出たの。」
「……ごめん、な、さい。」
「さぁ、部屋に帰ろう。」








手をひかれて前に止めてあった車に乗る。
そこで女の人、は瞬時に全てを悟る。
自分は逃げていたのではなく、逃がされていて、ここにくると雲雀は知っていた。
雲雀から逃れることなどできはしないのだ、と。
その後、は疲れと冷たい絶望からか車の中で眠ってしまった。
























雲雀は寝ているの髪を優しく撫でながら歌うように言った。





「ねぇ
僕がそう簡単に君を逃がすとでも思ってるの?
残念だったね、逃がすきなんてないよ。
君は僕のモノ。」































あとがき

短めに怖い話にしてみたんだけど...撃沈ですな。