統計の嘘

統計の重要性

我々は日常様々な統計値に接する。これらは社会において非常に重要な情報を提供する。それと共に、ある偏った考え・意見に導入させるための材料となりうる。この手法は陰謀的であり、我々の呼吸の回数くらいありふれているので、ここで真剣に比較・検討の対象としたい。

世界の飢えている人の数

世界には大勢の人間がいて、そのうちのいくばくかは日々の糧にも困っている。これらを助けるために我々は尽力しよう……という一種の思想がある。これは人道主義者からみると、決して絶える事のないネタ、メシの種なのだ。

さて、いかなる時代にも飢餓者が存在してしまうことは納得できるだろう。ここで、飢餓者の占める割合は人類のなかで一定となることも、納得できないことではないだろう。さらに論をすすめて、この飢餓者の割合が変化したとき、人道主義者の唱えるように減ったときを考える。バランスが崩れるということは地球にとても不幸な結果を及ぼさないだろうか?

人間が消費できるエネルギーの総量は決まっている。地球に埋蔵されたエネルギーは無限ではなく有限である。このため、地球自体が養うことのできる人間の総数も、おのずと限界がある。現代60億人の人間ではまだその数は飽和してはいない。しかし近い未来、その飽和に我々人類は直面するであろう。 もしも総人口に対する飢餓民の割合が全時代において一定ならば、その比率を変えないほうが良い。

死因

ものの報道によれば、2002年日本では前立腺ガンによる死亡者が増えているという。これは何らかの陰謀から来る人心操作の報道ではないかと疑ってしまう。前立腺とは男性のみにある器官であり、女性の患者は皆無といえる病気である。前立腺についての解釈はここでは深く立ち入らない。ここで問題にしたいのは、何を基準にして「増えている」と主張しているかだ。

増加にはいろいろな観点がある。単に合計した総数が増えるのも増加であるし、ある集団の中での事象の割合が増加するという場合もある。これらを語るときに最も重要となるのが、何を基準にしているか、である。

例として前立腺ガンを挙げた。そして、そのガン患者が近年増えているらしい。ここで注目したいのは、その報道が単純に総数のみで物事を論じていた点である。まず、前立腺ガンが男性のみの病気である。よって、人口に対する男女の比において、男子が増えれば「がん患者は増加した」と言える。これは本来増加しているという範疇には入らない事象である。男女比はおおよそ一対一であるので、その比率が変動することにもっと深い意味が隠されているのである。

次のようにも考えられる。普通、前立腺ガンになる男性というのは、中年から壮年といった年齢である。この集合の内部で患者が増えるとき、それはすぐさま総数の増加という傾向に目を向けず、人口に対する中年・壮年層が増加しているという面にも目を向けるべきである。この論点から言えば、前立腺がん患者が増えたようにみえるのは、実は国内における中年・壮年の増加である。無論、これらの年齢層が増加すれば患者も増えるので、前立腺ガン患者の割合はなんら変化していないのである。むしろ普通ともいえるのではないだろうか。

ある情報を提示されたとき、それが何を基準にして算出されているのかを見極めることは重要である。これを利用して、政府や支配者層は都合のいい嘘も捏造することができるのだ。

人口の増加

年々、日本の人口は増加している。21世紀はじめの年ともなれば、その数およそ1億3000万人程度である。しかしこの人口の増加現象は、詰まって膨れ上がったパイプに似ている。

さて、人口の増加をもたらす要因として、次の三点がある。まず、出生数が上昇すること。出生数が増加すればそれに伴い人口は増える、このことは当たり前だろう。次に、死ぬべき人間が死なないとき。これは国家において深刻な問題を抱えることになる。人口が出入りを繰り返す流体のようなものであれば、老廃した人種が綺麗に流れ出ることは必須である。しかしその流れがどこかで狂いせき止められているので、出生率の如何に関わらず、人口が増えたように見えるのである。最後の要因はとても微々たる物で、外国からの異邦人の流入がそれに当たる。タネも無いところから人口を増加させるには、どこからか成熟した果実を持ってくればいいという発想である。一般に移民と蔑称されている一部の人間の行動は、例えば移民国家アメリカなどには頭痛の種でもある。幸い日本は海に囲まれた国家領土を持つので、移民が非常に難しいのである。

我々が直面している人口増加の原因は、上の理由のうちおそらく二番目の要素であろう。この原因による人口増加には大きな欠点がある。それは、消費者層と生産者層の比率が崩れることである。無産層の増加である。生物において老廃物が蓄積されることは致命傷である。たまるだけならともかく、害毒を撒き散らし健康を損なうからである。これと同様のことが今の論にも適応される。

高齢者の増加の一番の要因は、高度な医療技術である。この無用の長物的な技術の発達で死ぬべき人間が死なず、限りあるエネルギーを無駄に消費し、これから生まれるべき人間の活力を奪うのだ。医療技術そのものにはなんら問題はないが、それを有効に活用せず、ただ需要があり搾取の対象にできるという観点から運用されているのが問題なのである。つまり一部医療機関存続のためには、大量の高齢者が必要となるのだ。技術と時間を浪費しているとしか思えない行動により、大局を見逃すのである。 やはり一番健全な人口分布は、低年齢層が最も多く高年齢層が非常に少ない、年齢に対して減少傾向を持つ分布である。

3σの外

つい最近まで、ラジオの聴取率の年齢範囲に高齢者は含まれていなかった。聴取率の調査の対象に高齢者は含まれていなかったのだ。このことはわずかながらも反響を呼んだことを記憶している。

ここで、なぜ高齢者が調査の対象外となったのであろうか。これには3σが大きく関わってくる。要するに、高齢者の人口比率は3σの外部であり、データとしては甚だ不備を含むものであったからだ。

しかし近年中年・高齢者層が次第に増加するとまた違った傾向が顕われる。その現象例として捉えることが可能なのが、映画である。最近は中高年齢者がよく映画を見ているというのである。これはニーズを押さえ人口の傾向をおさえた、合理的な経営戦略の賜物である。

これらのように、ごく短時間のうちに3σの外のデータが多数派になることがある。これらの流れをつかむためには、情報に対する先入観や固定観念をなるべく持たないようにすることが重要だ。

情報の使い道

政府が垂れ流す情報に惑わされてはならない。彼ら支配者層は、人民を支配することで生きる人種である。パン屋がパンを作って売ったり、医者が患者を診たり、刑事が事件を解決するように、政治家の職業はまさに政治なのである。政治のシステムが簡素・簡略化されればそれだけ仕事が減り、支配者と目される人間が失業するのである。

これらのいわゆる「失業」を防ぐために手っ取り早い手段が、法律なるものを都合よく改竄することである。法律というのはまさに人間一般の価値観に訴えた非常に心を打つ約束も存在するが、その一方で権力者の権力を保護するための、わけの分からない体系でもあるのだ。これら支持の基盤を支えるのは、「人間は政府によって支配管理されるべきである」という考えである。ある観点からすればこれこそ民主主義の名を借りた多数への支配である。そして、その常識なる思考経路を誘導的に作成するのが宣伝である。

我々は支配者層が行う宣伝に常に疑問を投げかけなければならない。我々が支配者層に最も望むのは、支配者を肥え太らせることではなく、税金を効率よく使うことと公正な裁判を運営してくれることなどだけである。

今回は宣伝の一端としての統計を挙げた。少し思考をめぐらせただけでもこれだけの疑問が湧くのである。よって、支配者層に属していない多数の人民は過大な搾取が行われないよう、これらの統計の嘘を見抜く知恵が必要なのだ。しかし義務教育から始まる日本の教育制度とは、「支配されるべき人間」「支配しやすい人間」を大量生産するシステムだと言われている。この題目についてはまた後日、論じることにしよう。

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