ドイツのカードゲーム スカート ルールと戦略

スカート (Skat) は、2から6までを除いた32枚のカードを使い、3人で行うトランプゲームです。

1人の単独プレイヤーと2人の対抗プレイヤーに分かれて勝負します。1人10枚の手札を持ち、3人が1枚ずつ場に出したカード(トリッ ク)を取り合い、全カードのポイントの半分以上を取った方が勝ちです。単独プレイヤーを決める際にはビッド(競り)をします。特徴的なのは、それぞれのプ レイヤーがどのような内容の勝負ができるかという値(ゲーム点)を提示することです。

スカートはドイツで最も親しまれているカードゲームのひとつです。ビッドの駆け引きと論理に基づく戦略は奥深く、チェスやブリッジに並 ぶマインドスポーツとして国際的にトーナメントが行われています。

ここに紹介するルールはドイツスカート連盟により2006年11月に公表された国際スカートルールに拠るもので、日本の通常のトランプ でゲームすることを前提にして書きました。用語の一部は他のカードゲームでも用いられる英語を使い、ドイツ語を併記しています。また、ウィキペディアにはルールと歴史を簡略に掲載しています。

ドイツ人は、サッカーとスカートには熱狂的です。カードゲームの中でもスカートは別格のようで、スカートはドイツの国民的ゲームで あると公言するドイツ人は少なくありません。

「スカートの優れている点は、偶然がゲームの進行を左右するのではなく、プレイヤーの洞察力や熟練がものを言うとこ ろである。その他のカードゲームと同じく、スカートにも運や偶然の要素はあるが、その勝負の真髄は、プレイヤーの技術によって偶然を確実なものにすること である。偶然性と戦略性の見事な融合は、他のカードゲームからスカートが卓越していると言うにふさわしい。」
アルトゥール・シューベルト『スカートの技法』 (1922) より

アルトゥール・シューベルト (Artur Schubert 1872-1927) は、スカートのルール統一に貢献した研究家です。1903年にはドイツスカート連盟の依頼により「一般ドイツスカートルール」を作成し、スカートに関する 多くの著述があります。

スカートの楽しいところは、初心者でも手札しだいでは勝てる勝負があることです。そしてもちろん単独プレイヤーとして勝つのは快感です が、対抗プレイヤーとしてパートナーとうまく意思疎通しながら勝てたときは非常に嬉しいものです。スカートの世界へようこそ!