朝か。朝なんだ。朝なんだと。今何時だろ。

【9:00】なんだ九時か。って九時かよ!遅刻じゃん!

まぁいいか。ってか昨日の事、アレは夢だよな。

自己防衛って奴?そう思い俺は携帯を開きアドレス帳を見た。

南風風鈴 はぁ。やっぱり入ってる。

俺の一番嫌いなタイプの女。あそこまで完璧に嫌いな要素が入ってる奴は

始めてみた。他の子と比べると可愛いんだけど性格がな。勿体無いやつだ。

ってそんな事考えてる内に一時限が始まる時間かよ。

今日の一時限は数学だったよな。じゃあ遅れても良いか。

俺は着替えをして煙草を鞄にしまい家を出て憩の場所(昨日以来はストレス増幅の場所?)

に行く事にした。

が・・・そこには何故か風鈴がいる。

「なんでだよ・・・」

そう呟き見つからない内に他の場所に移動しようとすると、

「瑞樹!」

呼び止められた。因みに、この時点で俺は宗教に入ろうか本気で考えた。

「よぉ、風鈴」

白々しいだろうな。

「お前遅刻じゃないのか?」

「遅刻だけど。お前はどうなんだよ?」

ホント、自分の事は棚に上げる奴だな。

「私はいいの。一時間目体育だから」

俺と理由が似ている気がするが・・・

「体育嫌いなのか?」

「体動かすのは好きだよ。でも汗かくのが嫌い。」

そうですか。

「瑞樹は?」

「俺?数学苦手だし、今日寝坊したし、たまには良いかなって」

って言いながら煙草に火をつけた。

「煙草やめたら?」

「やめらんねーんだよ」

そう言って一口吸う。やっぱりやめらんねーんだよな。

ってか今日の風鈴はなんか大人しいな。

「あ、今のうちに鬱守の崖についてミーティングするよ」

部活じゃねーんだしミーティングってなんだよ。

「で、どうするんだよ?」

「うん。今週末にいかない?」

予定入れておけばよかった。

「今のところ、その日予定はない。」

「じゃあ決定だね。夜九時に蒔李(じり)港に来て。」

「蒔李港?何でだよ?」

「鬱守の崖の真下の辺りに洞窟があるでしょ?」

「や、知らない」

んな所あるのかよ。本気で知らないし・・・

「そこに船で乗り込む!」

「船って誰が金出すんだよ?」

「家の船で行くから問題ないよ。」

コイツの家漁師なのか?

「ああ、わかった。じゃあ週末にそこに行く。」

「うん。」

そう言って煙草の火を消し俺は学校に向かった。

今日は水曜日、後何日か風鈴に会わなくてすむ。だけど、今日の風鈴はずっと一緒にいても

いい。そんな気がした。ところで週末、俺は何をするために行くんだろ・・・