今日の派遣法 〜派遣法第23条〜
(事業報告等)
第23条
一般派遣元事業主及び特定派遣元事業主(以下「派遣元事業主」という。)は、労働省令で定めるところにより、事業報告書及び収支 決算書を作成し、厚生労働大臣に報告しなければならない。
2 前項の事業報告書には、労働省令で定めるところにより、当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、 労働者派遣に関する料金の額その他労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。
3 派遣元事業主は、派遣労働者をこの法律の施行地外の地域に所在する事業所その他の施設において就業させるための労働者派遣(以下 「海外派遣」という。)をしようとするときは、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければ ならない。
解説コーナー
[関連条文]
則17条(事業報告書及び収支決算書)
法第23条第1項に規定する派遣元事業主(以下単に「派遣元事業主」という。)は、毎事業年度経過後3月以内に、当該事業年度に係 る事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなけければならない。ただし、派遣元事業主が当該事業年度に係る貸借対 照表及び損益計算書を提出したときは、収支決算書を提出することを要しない。
2 一般統括事業所の事業主又は特定統括事業所の事業主が、当該一般統括事業所又は当該特定統括事業所に関して前項の規定により収支 決算書又は貸借対照表及び損益計算書を提出したときは、当該事業所以外の事業所に関しては、収支決算書又は貸借対照表及び損益計算 書を提出することを要しない。
3 法第23条第1項の規定により提出すべき事業報告書及び収支決算書は、それぞれ労働者派遣事業報告書(様式第11号)及び労働者派 遣事業収支決算書(様式第12号)のとおりとする。
読み下し
・毎事業年度(決算)ごとに事業報告書及び収支決算書を所轄公共職業安定所を経由して厚生労働大臣に提出する。
※公共職業安定所を経由して……則第19条 法第2章又はこの章の規定により厚生労働大臣に提出する書類は、労働者派遣事業に係る 事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(職業安定法施行規則第6条第4項の規定により 労働者派遣事業に関する事務を取扱わない公共職業安定所を除く。以下同じ。)の長を経由 して提出するものとする。
※事業報告書……「労働者派遣事業報告書(様式第11号)」に記載して正本1通及びその写し2通を提出する。
※収支決算書……a)派遣元事業主が法人である場合及び個人が青色申告をしている場合は、貸借対照表及び損益計算書(税務署へ提出し たもの/青色申告の場合 は、青色申告決算書の中に貸借対照表及び損益計算書が記載されてい る)を正本1通及び その写し2通を提出する。
b)上記以外の場合は、「労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)に 記載して正本1通及び写し2通を提出する。
※派遣元事業主が兼業している場合は、労働者派遣事業部分のみの収支状況などを抜き出す必要はなく、事業全体ので 構わない。
・事業年度経過後3月以内に提出する。
※違反すると……罰則なし。
なお、定期的報告がなされなかった場合は、法50条(報告)により行政権が発令され、厚生労働大臣より報告が求めら れる。
さらに、命令に背いたということから許可の取消し(法14条第1項2号)、事業停止命令(法14条第2項、21条2 項)、改善命令(法49条1項)がなされる。
・統括事業所が収支決算書又は貸借対照表及び損益計算書を提出したときは、統括事業 所以外の事業所に関しては提出不要。
※一般統括事業所・特定統括事業所とは……則1条4項・11条4項他
派遣事業は事業所単位で許可・届出が必要。
本社も派遣事業の許可・届出が行なわれている場合で、本店で提出していれば、支店等では 提出不要。
第23条3項 海外派遣者の届出
[関連条文]
則18条(海外派遣者の届出)
派遣元事業主は、法23条第3項の規定による海外派遣(以下単に「海外派遣」と いう。)をしようとするときは、海外派遣届出書(様式第13号)に第23条の規定 による書面の写しを添えて厚生労働大臣に提出しなければならない。
※海外派遣届出書……「海外派遣届出書(様式第13号」に記載して正本1通及びその写し2通を提出する。
・海外派遣届出書に第23条の書面の写しを添付する。
※第23条の書面とは……則23条(海外派遣に係る労働者派遣契約における定め)に規定される書面のことである。
則23条は、法26条3項(労働者派遣契約の内容等)の規定を受けて海外派遣労働契約締結時に海外の派遣先に 対して派遣先が講ずべき措置を書面に記載するように規定されている。
※海外派遣に該当するかどうか……a)海外の事業所で主として指揮命令を受けるている場合。
b)主として指揮命令を行なう者が国内におり、その業務が 国内の事業所の責任により行なわれてい る場合は該当せず。
c)海外の事業所への労働者派遣の期間がおおむね1カ月を超えない場合は海外派遣には該当しない。
※違反すると……法61条第2号違反となり、30万円以下の罰金に処せられる場合がある。さらに許可の取消し(法14条1項1号)、事業 廃止命令(法21条1項)がある。
この他附随違反として、許可の取消し(法14条1項2号)、事業停止命令(法14条2項、21条2項)、改善命令(法49 条1項)がなされる。
続く