2.試験の難易度についての理解は十分ですか? もとに戻る。
合格率15% の意味するものについて。
グラフで示すように、宅建の制度が始まった昭和33年は
合格率は93%、翌34年はなんと98% だったのです。楽勝ですよね。
昭和33年は受験者数3万数千人、昭和34年は1万2千人程度の試験でした。
40年以上も前の話ですが、このころの印象を持っておられる方もあり、
よほどのバカでなければ落ちない試験という認識の元になったと
思われます。その後、主任者の初期需要が足りたせいか、昭和40年代までは
合格率が年々低下してきています。同時に合格率と同格者数ともばらつきが
みられます。そして、ここ15年くらいは、グラフのように、
受験者総数の15%程度の合格率 になっています。
ちなみに平成12年度の合格率は15.4%(男14.6%、女18.2%)、
平成11年度の合格率は15.9%(男15.5%、女17.0%)でした。
つまり、最近では10人のうち8人は確実に落ちる試験 なのです。
法律についての設問が主ですので、大学などで法律の勉強をした人にとっては難しくないかも
しれませんが、主任者の資格が必要な人にとっては、かなりの難関といえましょう。
女性の合格率が高いのは、暗記もの系試験の特徴ですね。
ついでに書いときますと平成12年度の申込者数は210,466人でした。
受験手数料が一人7,000円ですので、指定試験機関である 財団法人
不動産適正取引推進機構には、14億7千万円が入金されたことになります。
ご存じの通り、試験の場所は公的施設(=タダ同然)です。あと、試験に必要なのは、
案内の用紙と受験票、問題用紙、合格証などの印刷と送付、問題作成のお礼程度ですから、
試験元にとっては、おいしい試験 です。
しかも、毎年ですからねぇ。
とはいえ、ここまでは、一般受験者の常識です。
再受験者は、もっと詳しく現状を見つめるべきでしょうね。
さて、新規受験者と再受験者との割合についてのデータは無いですが、
いろいろな所で目にする合格者の体験談を勘案すると、合格者の半分程度は
1回で合格できていると見てよいと思われます。
このことは、再(再々、再々々、...)受験者の合格率はよくて8%を
意味することになります。
すなわち、再受験者になると10人に1人も合格できないのです。
さらに、この合格率から試験のもう一つの側面が出てきます。
当然のことながら、試験は、いつも同じ人が受けているわけではありません。
毎年、新しい受験生が入って来ますので、入れ替わりがあるはずです。
発表されている最近の受験者の総数は18万から20万人の間であまり変動がありません。
さて、これが、何を意味するでしょうか。 受験している人たちは以下のように分けられます。
試験前 試験日 合格後 新規受験者 受験者総数 合格者(約2万8千人) (?人) (約18万) 脱落者(?) 再受験者 再受験者(?)
合格者は2万8千人でありますが、毎年新規に受験する人数を仮に2万8千人
とすると、そのうちの半分が1回目で合格するという仮定では、1万9千人が
合格します。残りは、再受験ないし脱落者となる計算です(実際には新規受験者は
もっと多く、それに伴って毎年の脱落者ももっと多いかもしれません)。
ちょっと面倒でしょうか。しかし、これから導かれる結論は簡単です。
すなわち、受験者のうちのだいたい7割の人は
永久に合格できない(合格の可能性がない=かすりもしない)と
いうことになってしまいます。
宅建は資格試験であり、決められた合格点をとれば、
何人であろうと合格 となるはずです。
しかし、実際は、過去のデータをみれば解るように、
合格点を総受験者の上位15%程度の人となるように、
問題の難易度を調整している
と思われます。このため、本来は資格試験であるはずなのに、実質的には
競争試験になっています。競争試験と考えた場合、
合格点付近での競争が激しくなりますので、合格の可能性のあるのは、
15%の2倍である、上位30パーセント付近までです。
それ以下のひとは残念ながら、かなり厳しいですね。
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