最近の研究はアクティブ運用に疑問を呈す

最先端のファイナンス理論(第八回)

意外なものが最先端とされています
 
 先日、マクロ型ヘッジファンドのマネージャー8社によるプレゼンテーションを聞く機会がありました。、印象的だったのは、ファンド・マネージャーの半分以上がトレンド追随型と胸を張っていました。うち2社は、大学で金融を教えていた先生方が設立した会社です。彼らは、行動ファイナンス理論を中心に投資理論を構築し、徹底的にトレンドに乗る戦略を徹底しています。実は、モメンタム投資というのは、最近のアカデミックの世界では、「先端的」な研究分野とされています。これらトレンド追随型ファンドのパフォーマンスは、ヘッジファンド業界のなかでのパフォーマンスは、普通の成績といったところで、他の手法より、特に良いわけでもありません(悪くもない)。大学の先生がやっているからと言うだけで、すごい成果が期待できる訳ではないのです。ところで、トレンド追随という手法と、割安株投資と組み合わせることで、成績を向上させることが可能であるか、私の今後の研究課題としたいと思っています。

(参考—「行動ファイナンス理論」)

 以下は、FINANCIAL ANALYSIS JOURNALに掲載されたOLSENの論文で指摘している投資家の判断のバイアスに関する部分を抜粋したものです(野村証券金融研究所レポートからの孫引き)。最近の行動ファイナンスでは、こうした投資家の見方が支配的になりつつあります。「したがって、人間の判断はあてにならない。モメンタム投資に徹するべきだ」という主張が、マクロヘッジ・ファンド・マネージャーの間で増えてきているのです。ところで、こうした流れか示唆していることは、アカデミックの世界で評価の低かったテクニカル手法のなかにも、実は利用できるものがあるかもしれないということです。例えば、一目均衡表などは、トレンドの転換点、継続生を確認するための手法ですが、入力パラメータに手を入れたり、他の手法と組み合わせることで、有効性を持つも可能性があります。


1) 意思決定プロセスが複雑になるほど単純な経験則から判断してしまう
2) 現在もっている信念や直感を過信してしまう
3) 証拠を採択することを重視し、証拠を棄却することを軽視しがちである
4) 望ましいシナリオの可能性を過大に、望ましくないシナリオの可能性を過小に評価する
5) 突出した、印象深い事実を過大評価しがちである
6) 小さい確率で起きそうな事象を起きないとみなしたり、大きな確率で起きそうな事象を必ず起きるとみなしてしまう
7) 直近のよい収入が、いずれ平均的なものに落ち着くことを想定しない
8) 後で悔やまないようにとか、組織に受け入れられるようになどということを配慮しながら意思決定を行ってしまう
9) リスク回避的というより損失回避的な行動をとる
10) 過去に起こったことに関して事前に正確な予想をしたと勘違いしがちである
11) 自分自身が高い予想能力や正しい判断力を持っていると過信しがちである
12)コンセンサスとなっている意見を正しいものと思ってしまう

 言われてみれば、もっともな指摘なのですが、いざ自分が当事者になると、これらのバイアスを除去するのは簡単ではありません。


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