金銭感覚

資産は手段にしか過ぎません

 アメリカ人の経営者は、巨額の報酬を受け取ります。大企業だと年収10億円という社長は珍しくないと思います。これと比較すると日本の経営者の報酬はかわいそうなくらい少ないな、と思っていたら、ソニーの大賀氏が16億円の退職金をもらったという話が報道されていました。ソニーは何でもアメリカ流を目指している企業だという印象がありますが、CEOの退職金もアメリカ企業の相場に合わせたというところでしょうか。私など、年収10億円もあれば、一年で仕事をやめてしまっても良いようにも思いますが、どんどん使う人にとっては、それでも足りないようです。ある例を挙げると、その経営者は、まずジェット機を購入し、いったん購入するとその維持費がばかにならないので恒常的に高い収入が必要になります。さらには、南の島を買って別荘を建てたりすると、ますますジェット機の利用が増えるといった循環になっているようです。こんな生活をしていると、年収がいくらあっても足りなくなるわけです。

 一方で、「成金でないタイプの金持ち」というのもこの国には多くいます。欧州の金持ちで長く続いているファミリーに多いタイプという言い方もできます。たとえば代表的なところだとロックフェラー家やフィリップス家(ベッセマーの子孫)などが、挙げられますが、これらのファミリーの人たちは、あまり人目につく派手な金の使い方はしないようです。一族の基金を自分たちで有用と判断した先へ寄付することに情熱を持っており、それが生きがいの一つと考えられているようです。ファミリーによっては、自分のファミリーの資産運用ノウハウを他の新興の金持ちに販売しているところもあり、資産運用に関しては専門的な知識を持っているところもあります。だが、資金運用自体がファミリーにとって重要なことではなく、一族の構成員の能力を高めること、社会貢献など共通の価値観を共有することが重要であると考えているようです。私もこうした考え方に賛成です。

 このサイトでは、お金を効率的に増やすための話をしてきましたが、お金のあるなしは結局手段でしかありません。最近では、たとえばマーサ・スチュワートとかOJシンプソンさらには高額の報酬をもらっていた米系証券会社のアナリストのように、自分の分野で成功を収め財産を築いても、スキャンダルを起こしてしまっては、あまりうらやましい人生とは思われません。

 さて、もう少し普通のアメリカ人の資産、負債はどうなっているのでしょうか。中産階級のアメリカ人も、高級住宅街の大きな庭付きの家にあこがれます。なぜ、高額の大きな家にこだわるかというと、たとえばニューヨークでは、住む場所によって子供の通う学校の水準がまったく違ってくるからです。高級住宅街といわれている地域では、家は高いのですが、学校の水準が高いといわれています。アメリカの公立校の場合、その水準のばらつきは大きく、なかなか日本のように塾に通うことで補うというわけにも行きません。私の住んでいる地域はマンハッタンのなかでも治安の良いところといわれていますが、この地域にある学校でも最近高校生による銃撃事件がありました。優秀でない学校では、こんなことが起きる比率が高いように思います。したがって、「良い」学校にこだわる理由も理解できます。通勤にしても大都市では、2時間近くかけて通勤している人も少なくありません。また、努めている会社の業績悪化で給与水準が下がったり、仕事を失ったりで、借り入れのための返済で四苦八苦している人も増えています。バブルのはじけたあとの状況というのは、どこでも同じようなものです。一般的なアメリカ人の仕事の時間的な拘束は日本人よりは短くはありますが、結構大変な人生を送っていると思います。

 お金を増やすことも重要かもしれませんが、必要のない投資や出費を見直すこともやってみてください。出費の多い人は、どんなに財産を殖やしても足りないと感じ続けるようです。また、こうした方がお金を増やすのは容易ではないと思います。




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