大学の講義ってたいてい寝てるか内職してるかで、ちゃんと聞いてることあんまりないんですけど、それでも、すっごい印象が強い言葉とかって、あるもんですよね。と、いうか、それしか記憶に残ってなかったりするけど(笑)。 で、私の恩師でありますところの社会学の助教授の講義で、めっちゃ印象に残ったのがこの一言。講義はね、「社会システム論」でした。社会をシステムという視点から見ようって学問ね。 「批判するものも批判に対して開かれているということ。 これが社会科学にとってもっとも必要なこと」 ……は? って、思った人もいるかもしれない。 これだけだとわかりにくいんで、これ以前の話をちょっと補足説明。 社会システム論というのは、社会科学のひとつの分野である社会学の研究分野のひとつです。私たちが所属する「社会」というものを理解するために、「システム」という単位、考え方、その構造を考えること……などを手がかりに研究を進めていく学問……と、私は思ってます。実際の定義と同じかどうかはわかんないけど。 で、この言葉が出た時間は、「権力を巡る問題」というテーマで講義が行われていました。 けっこう講義自体もおもしろかったんですよぉ。ノート見たら読みふけっちゃったし。 ざっと流すと、こんな感じのこと、言ってました。中略しまくりなので流してね。 ……と、このような経緯をたどって教官が言った言葉なんですけどね。 ああ、私、社会学好きだわー。……と、思った言葉でした。 実はしばらく忘れてましたけど(笑)。 最近になって、ふと思い出したんですよ。ぼーっと差別について考えてるときに、似たようなこと考えて……あれあれ? これどっかで聞いたことある言葉だなー、なんて……思って。 ちなみにその時考えていたのは、「私が差別問題について批判するとして、でも私は差別に関して中立的な立場でいられるんだろうか?」って、こと。 「差別はいけない」と、私、よく言います。 どんな差別でも、してはいけないことだと思ってる。 でも、私には差別意識があります。 と、いうか、なにか行動をするたびに、「これって差別じゃない?」という疑問がいっつも頭の中に渦巻いてます。それは私にとって拭い切れない悩みです。 消したい、と、思ってはいますけど、でも消えない。 こんな、差別といわれてもしょうがないことしてる以上、きれいごと言える立場じゃないんじゃない? とか、よく悩みます。こういうと偽善っぽいんですけど、でもほんと、……まあ、偽善と言われてもかまいませんが。 あと、一般的な差別とまた違うんですが……私から見て明らかに差別的な行動をしている人に対しては、私は非常に批判的で、これはその人たちに対する差別かな、とも思います。 が、 こー考えていると、私の行動、どこにどー向かったらいいのかまったくわからない状況になっちゃうんですよねー…… 差別を批判しようと思ってる行為者である私が差別的であったらどうしよう。 差別を批判することそのものが差別だったらどうしよう。 そもそもそれは差別なんて言い出すこと自体、差別的なんじゃない? うーん…… ———で、ここで、さっきの言葉をふと思い出しまして、 あ、そっか。なんて、思ったんです。 結局、私ひとりで、これは差別? それとも……なんて悩んでても、私ひとりの考えなんだからめちゃくちゃ狭くて、ちっちゃい考え。 自分で自分の考えを閉ざして、批判して、それで声を出せなくなってるよりも、 「批判歓迎」ってくらいに開き直って、自分の考えを言ってみりゃいいんじゃない? なんて、 もー、ほんとに開き直り(笑)。 私が社会に求めているのは、 「誰もが意見を言える平等さ」。 差別が問題だと思うのは、この「意見」をいう「権利」が閉ざされているからだと思います。 それこそ権力とか社会的立場の強弱とか考えて、口に出したくても出せない、って状況に追い込まれることってありません? それって、自由な社会じゃないと思う。平等じゃない。 少なくとも私はキライ。 「批判するものが批判に対して開かれていること」 これって、個人のことじゃなくて、社会にも言えると思います。 社会は、批判に対して開かれているべきじゃないですか? 批判をする人間を集中攻撃したりするんじゃなくて、批判には批判で立ち向かって、でもちゃんと真っ向から批判を聞くべき、と、私は思ってます。 んでもって、批判する側が攻撃を恐れないようになればいい。 今の社会というのは、批判に対して反撃用意して待ち構えてるから、だから批判もなかなか言葉にならないんだと思うんですよ。 もうちょっと、批判聞いてくれるくらいの社会であってほしいですね。 ま、とりあえず私は、努力目標としては、批判を受け止めるつもりでおりますので、 ……批判を受けて落ち込むくらいはあるかもしれませんが、それはたいしたこっちゃないので、 忌憚なき意見を、お聞かせくださいませ(^^)。 1998/10/21 もどる
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