この話は帝国暦489年2月、冬真っ只中と言っていいほどの寒さでの出来事である・・・
銀河帝国の帝都オーディンの中央宇宙港、ひときわ目立つ一艦がある・・バルバロッサ・・
亡き友ジークフリード・キルヒアイスの旗艦・・・自分のせいで親友を亡くしたことを今でも悔やむ彼は、滅多な事ではバルバロッサを見にこようとはしなかった。
彼の数少ない形見・・見てしまうと・・あの今でも信じられない出来事を鮮明に思い出してしまう
忘れたくても忘れられない、悔やみきれない、やり直せたらどんな事をしてもやり直したい出来事・・
そんな事で後悔しっぱなしになるので彼は宇宙港来てもなるべくバルバロッサは見ないようにしていたのである
しかし、今回、バルバロッサの船内、司令官の私室から宛名のない手紙が発見されたのだ。
銀河帝国元帥兼帝国宰相、そして宇宙艦隊司令官のラインハルト・フォン・ローエングラムは
二ヶ月に一度の割合でこの艦を整備させていた、もちろん旗艦の中も清掃させていた。
そんな中、今回私室を掃除した際に宛名のない手紙が発見されたのであった・・
その亡き友の手紙を読むため、わざわざラインハルトはここまで足を運んだのである
「キルヒアイスの私室か・・・・これがキルヒアイスの手紙・・・誰に宛てて書いたのだ??
もしや・・俺か・・俺に何を伝えたくて書いたのだ?
キルヒアイスめ、俺との仲なのに・・なぜ手紙など・・そんな言いにくいことがあったのか?」
ラインハルトは勝手に自分宛ての手紙だと妄想していた。
親友が自分以外手紙を書くわけがない、そういうことでこれは自分への手紙だ・・など勝手な理論で妄想は発展させていた。
(かなりの妄想していようだ・・ラインハルトの人格を守るため妄想は秘密!!)
手紙を手に取るラインハルト・・ドキドキしてる・・人の手紙を勝手に読む行為
個人のプライベートを勝手に覗く行為はラインハルト的にかなり軽蔑、許せないことである
本来違う人物の物であればあまり興味をしめさなかったであろう、しかし今回は違う
キルヒアイス・・親友の手紙である・・親友の事だ自分のしてる行為を許してくれるであろう
これはキルヒアイスが俺に宛てた最後のメッセージだ・・など勝手な解釈で自分の行為を正当化するラインハルトであった・・
カセットを機会にかけるラインハルト・・・その時彼には・・信じられないことが・・
「震えてる・・この俺がか??」
何十万との艦隊戦でも微動だにしなかった俺が・・なんてプレッシャーだ・・
キルヒアイス・・・くっ・・お前って奴は・・・覚悟をしよう・・どんなことが語られていても・・・・
今また体験したことのないようなプレッシャーを命がけで押しのけ・・そして、映像を見始めた
「アンネローゼさま・・・アンネローゼさま・・・アンネローゼさま・・・
皇帝が亡くなり開放されたアンネローゼさま・・私はもう我慢できません・・
好きです・・毎日あなたに会いたい・・アンネローゼさま・・・抱きしめたい・・
今すぐ抱きしめたい・・・キキキキスしたい・・・あなたの唇に・・(赤面)
そして・・・そのあと一緒に・・一体になりた・・(赤面)あ〜〜〜アンネローゼ様・・
愛してます・・愛してます・・愛してます・・・
この貴族連合との戦いが終わった時には、私は告白したいと思う
今この手紙・・いや、自分の気持ちを吐き出しながら・・決心しようと思う
この気持ち伝える・・・必ず・・・我慢できない・・・
さっきの旗艦に届いた手紙をあなたの映像を見て・・・我慢も限界・・・
例えを書くと防波堤はもう決壊する寸前だ・・スキと言う津波が・・想いが私の理性の防波堤を壊そうとしている・・・防波堤はもう・・絶えられないであろう
毎日アンネローゼさまの事しか考えられない・・戦闘中もアンネローゼさまを想ってる
早くこんな戦いを終わらせてアンネローゼさまに会うためにがんばってる・・・
はぁ〜しかし・・・ラインハルトさまになんて言えば言いのであろう?
アンネローゼさまに想いを伝える覚悟は出来た・・しかし・・・ラインハルトさまになんて言えばいいか・・
それが一番の問題だ・・・ラインハルトさま・・アンネローゼさまを愛してます・・
ダメだそんな事じゃ・・・許してもらえないだろう・・・そんこといったら絶好されそうだ・・
ラインハルトさま・・・アンネローゼさまの事愛してるからな・・・私ごときには渡せないっていいそうだ
案外自分がアンネローゼさまと結婚したそう・・・はっ・・なんてことをすいませんラインハルトさま
しかし・・ラインハルトさまは一生アンネローゼさまを独身で居させるのかな?
それなら私に・・私の妻に・・・そんな事になったら幸せだな・・(赤面)
いったいどうしたらいいんだ・・こんなこと相談できる友達もいない・・・アンネローゼさまどうしたら言いのですか?
そんな事言ってもこれは逃げることの出来ない現実・・正直に言うのが一番かな・・
絶交されてもいい・・いや、ラインハルトさまがそんな事で絶交するはずない・・そう信じよう・・
よし、明日この想いを告白しよう・・・貴族との戦いももう終わりだし・・言うのを延ばせば延ばすほど言いにくくなる・・・
その前に・・・ヴェスターラントでの真偽のほどを確認しなくては・・・
明日・・・9月7日・・ジークフリード・キルヒアイス・・ラインハルトさまにアンネローゼさまをくださいとここに誓う・・・・
これで後戻りできない・・な・・」
・・・ここで手紙は終わっていた・・・
ラインハルトは呆然としていた・・・はっと意識を取り戻すラインハルト
「キルヒアイス・・お前・・それほど姉上を愛していたのか・・・
なぜ、俺の相談をしなかったんだ・・バカヤロウ・・・
ついでに俺が姉上と結婚したそうだと・・・図星だ・・・(赤面)
いや・・そんなこと思ってない・・絶対・・姉上は・・姉上には・・・幸せになってほしい・・
はっ・・・俺は皇帝から開放された姉上は誰と一緒になってもらうのが幸せだと思ってるんだ?」
かなり真面目に・・自問自答するラインハルト、考えても答えが出ない・・いや出そうであったが
今結論はだしたくなかった・・・だからこのことはあとで考えようと決めたラインハルトであった
「最後の日付9月7日・・・忘れられないな・・・キルヒアイス・・ヴェスターラントのことで・・俺のせいで・・このことが話せなかったのか・・・
くそ・・また俺のせいだ・・・やり直したい・・・もう一度・・・」
ほんとに心のそこからラインハルトは思った・・やり直したい・・・
キルヒアイスが姉を愛したいたこと・・・正直怒りはない・・それを考えるより今はやり直したい気持ちのほうが強かった・・
ラインハルトは今冷静さを失っていた・・いつもの彼ではなかった・・
それから一分後少し冷静さ取り戻したラインハルトは手紙のある一部に気づいた
「さっき旗艦に届いた手紙をあなたの映像を見て・・・って姉上はあの時私だけでなく
キルヒアイスにもやはり手紙を出していたのか・・・あの時予想した通りだな・・・
このこともなぜキルヒアイスは言ってくれなかったんだ・・??」
その言葉を言った瞬間また自分のせいだと気づくラインハルト・・・後悔・・
そのラインハルトは思いがけないことを口走った・・・
「内容・・姉上の手紙の内容・・・知りたい・・・どこにあるんだ??
キルヒアイスどこに姉上の手紙を隠した?お前の事だ捨てたりは絶対しないであろう
俺に見られないとこに隠してるはず、どこだ?・・この手紙はたしかベットの裏から出てきたんだったな・・
そしたら・・・キルヒアイスのことだ・・そこに姉上の手紙を隠してるはずだ」
そう自問自答したあと、やってはいけない、姉上の手紙を勝手に見ること・・軽蔑されるであろう、許されないであろう行為をしようと
ラインハルトは手紙を探し始めた・・
「・・・しかし・・・キルヒアイスのこの手紙・・姉上に見せるべきか・・・どうしようか・・・」
など手紙を探しながらラインハルトは真剣に考えていた・・
後編に続く・・・