MEROMERO THE★MOVIE

ちょっとづつ、適当に選んで適当に紹介する、無責任なコーナー ネタ切れ次第終了するんで
フリペとかぶるんで

『逆噴射家族』監督:石井聰亙 1984年 
逆噴射家族。なんともミリキ的なタイトルだ。この頃の石井聰亙監督はとても素晴らしい。「爆裂都市」、「狂い咲きサンダーロード」、そしてこの「逆噴射家族」。どれもロケンローなタイトルばかりだ。その中でも小林よしのりが脚本を手掛け、小林克也、植木等、工藤夕貴らも出演するこの映画を簡単に紹介したい。

物語
石井聰亙がおくる少しおかしな家族を描いたホームドラマ。・・・そんなわけない。あくまでこれは、家庭にフィールドを移したハードアクションウォームービーだ。確かにこの映画、家族(小林家)がマイホームを購入するとこから話は始まるんだけど、どこか普通じゃない。ほのぼのしてるように見えるけど、微妙にどっか違う。そんな新生活にはしゃぐ父、母、息子、娘の四人家族のなかに、祖父が転がり込んでくる。しかし新居には祖父のすむ部屋がなく、また父がシロアリを見つけたことを引き金に徐々に一家のバランスは崩れて行き、お互いを罵り合う始末。そんな状態にたまりかねた父は、一家心中しようとするが、それをきっかけに家族全員プッツン。小林家は一気にに家族戦争へと突入する。この、たまってきたのがとうとう爆発した瞬間からラストまでがたまらなく気持ちいい。きれてしまった五人はそこらのものを身にまとい、それぞれ、チェーンソー、包丁、鍋、とがった鉛筆、バット、蛍光灯、プロレス技、日本刀などを武器に本気で殺し合おうとする。家族同志なのに本気なのが怖おもしろい。この上なくあほな家族だ。もう笑いがとまらない。ここは最高の見所。そして家が潰れるまで戦争は続く・・・。

感想
小林克也演じる一家の主、勝国が哀しいほどがんばっている。そして勝国にとって家族がよりうまくいくために、最も重要だと考えているのがまぎれもなく「家」なのである。「愛する家族のためならいかなる努力を惜しまない」的な行動がとにかく過剰だ。祖父の部屋を作ろうとダイニングをドリルで掘ったり、シロアリに異常に反応し、殺虫剤を巻き、ドリルでつき、さらには、火までつけたりと、そういった行動に表れている。そんな完全に勘違いな勝国がなんかあわれ。まさにひと昔前の日本の典型的なサラリーマン父親像が風刺されている。そこまでマイホームにこだわるものの話の最後では結局家を自らつぶしてしまう。だけどラストシーンの勝国の最後の笑顔はほんとにすがすがしい。それを見ればわかるが結局家は重要なものではないようだ。

コミック感覚で見れる楽しさ、ホームドラマという地味な枠の中にも関わらず、このハード加減。素晴らしいエンターテイメント映画なので、みなさんも近場のビデオ屋さんででも見つけて是非ご覧ください。