<温室効果ガス排出の状況>
快適さが地球を壊す!

 先に記したように温室効果ガスには、二酸化炭素(CO・)・メタン・亜酸化窒素・オゾン・水蒸気などがありますが、その中でも得に大きな割合占めているのは二酸化炭素(CO2 )です。 1994年における世界の二酸化炭素排出量は、炭素換算で約62トンといわれています。

 これらのガスは、同じ量ならば二酸化炭素のほうがメタンなどにくらべて温室効果 は低いのです。 しかし、排出される二酸化炭素 はかなりの大量なのです。なので、温室効果は二酸化炭素の方が高くなっています。



 このうちアメリカの排出量が際立って多いのは、大型の自家用車の使用、安い電力や石油の大量 消費という生活様式が原因となっているといえます。また、どの国でも同様ですが、排出量 が特に多いのは産業部門や運輸部門です。さらに、冷暖房、照明などに使われる電力なども、二酸化炭素排出の原因になっています。



 便利で豊かな、そして快適な生活を求める人間の営みや志向は、さまざまな工業製品をあふれさせました。しかしそれは、温暖化を進めることでもありました。つまり人間は、自分の手で自分の首をしめるような結果 を生んできたのでした。

 

<環境への影響>
海面上昇

日本は沈みます

縄文時代の関東平野の海岸線

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、その報告書の中に、「いまのまま何の対策もとらなければ、2100年には、地球の平均気温は約1〜3.5℃、海水面 は平均50cm上昇する。」と記しています。

わずか100年の間にここまで気温が上昇する、ということはまさに地球にとって「異常」なのです。 なぜなら、いまから約6000年前、日本が縄文時代だったころ、関東平野の一部は海の底でした。当時は、栃木県にまで海岸線が入り込んでいましたが、現在との温度差はわずかに2℃でした。

 

異常気象
 異常気象とは、およそ30年に一回というような割合で、まれにあらわれる気象状況のことをいいます。しかし、その異常気象が、1980年代から90年代以降にかけてしばしばあらわれるようになりました。 これが、自然に起こっているという可能性は極めて低く、

 

砂漠化

 熱帯・亜熱帯地域では、食糧の生産量が低下し、乾燥・半乾燥地域を含む最貧地域の飢餓の危険が増大するでしょう。 砂漠化の原因には、自然的要因と人為的要因があります。

 自然的要因は、やはり地球の気候変動が関わり、地球温暖化も大きく関係しています。気候変動は、砂漠化が進行している地域での砂漠化を加速させると言われています。もうひとつの人為的要因は、砂漠化の原因のほとんどを占めます。主に過放牧、過耕作、薪炭材の過剰摂取などが挙げられます。緑の生育を上回るスピードで人間や動物が緑を消費しています。この背景として、貧困、人口増大、人口移動、食糧問題などがあります。

 貧しい農民にとっては焼き畑を中心とした過剰耕作を行うという以外の選択肢はなく、土地がだんだんやせてくると、別 の土地に移動しています。乾燥、半乾燥地の洪水、干ばつ、砂漠化に被害を受けやすい地域は、特に気候変動に対して脆弱である、と言われています。

 

生態系への影響
食糧が危ない!?

 動植物は、新たな気候変動についていけないと絶滅します。気候の変化が速ければ、多くの種が絶滅します。 人類も農業・林業・漁業などの生活に支障をきたし、居住環境が悪化する恐れがあります。 平均気温が2℃上昇すると、気候帯は緯度方向で300・北にずれ、垂直方向では、海抜で300m変化します。気候帯の移動により、地球の全森林面 積の3分の1で植生に何らかの変化を受けるといいます。例えば、温暖化が進むと今生えている樹木は、より涼しい北部や山岳地帯でないと生育しにくくなります。しかし、気候の変化が急激だと、植物の移動速度が追い付かず、適応できずに消えていく植物や動物が出てくるでしょう。日本の山の多くではブナが消え、関東ではケヤキが育たなくなると予測されます。南西日本では現在のジャポニカ米が育ちにくくなり、インディカ米と掛け合わせた品種に切り替える必要が出るかもしれません。また、湖沼などの富栄養化による生態系のバランスが変化が懸念されます。動物に関しては、動物そのものには問題ないのですが環境の変化が動物に影響するでしょう。さらに極地の氷の融解も関係します。(例:白熊、渡り鳥)

 農業に関しても深刻です。IPCCは、報告書の中で、「異常気象の増加を考慮しなければ、世界全体の生産量 に大きな影響はないかもしれない。しかし、熱帯・亜熱帯では生産量が低下し、乾燥・半乾燥地帯を含めて、最貧地域の飢餓の危機が増大するだろう。」と、警告しています。これは、「異常気象の増加がなければ」の条件付きです。しかし、現状では異常気象は、むしろ一般 化し増加しています。