一本駒絽


いやあ、今日は暑かったー。
6月中旬だというのに気温は32度、押しも押されもせぬ真夏日。
さすがに本日の外出は日没後となった。
6時を過ぎれば随分と過ごしやすくなるので、蕎麦を食らいに銀座まで。


本日は一本駒絽の絞りの小紋に、絽塩瀬の染め帯。
一本駒絽地は透け感が少なく、盛夏には暑苦しく感じる絽の生地。
6月下旬から7月上旬、あるいは9月上旬に重宝する生地だが、あまり見かけないような気がする。

  
今日のテーマカラーは洗い朱。
洗い朱の帯ではさすがに暑苦しく、周辺機器に朱を散らす。
黒に朱の組み合わせは、ステロタイプな京の味。
どうやら、先週の出張時の興奮が、後を引いているらしい。


すぐ食べれると思ったのに、蕎麦屋は大賑わい。
腹が空いて不機嫌になる気持ちを必死でおさえ、
ただひたすらに、蕎麦を待つ。


ところで、衣替えのルール、やはりおかしいと思う。
季節感を大事にした着物の制約は、むしろ楽しいものなのだが、
夏衣、特に素材のルールは、意味の無い我慢だと思う今日このごろ。

現代においての6月は、もはや初夏などではない。
60年前の6月と現代の6月では、明らかに様子が違うのだ。
例えば、1年に1日分の暦がずれるとする。
時差が溜まりに溜まって、60年で2月分、夏が早く来る計算になる。
一年に12時間ずれたとしても、1月分は、ゆうに前倒しになっている。
地球温暖化以前に、暦の時差を感じているのは、私だけであろうか?


個人的な理想として言ってしまうと、下記の通りの素材進行が望ましい。

五月=単衣

六・七・八月、九月上旬=薄物

九月中旬以降、十月上旬=単衣

五月と九月十月の単衣は、とうに各自こっそりと実行していると思うのだが、
6月の薄物着用には、さすがに気が引ける。
だからこそ、お歴々には暦のずれを重々考慮いただいた上、
サマータイム導入新規ルールを設定していただきたい。
薄物の着用時期を早めることで、皆が快適に過ごせるのだし、
着用時期が長くなれば、流通だって多少は活発になるのでは?

あるいは、やらせでもいい。
ヴァレンタインのチョコレートや、成人式の振袖、最近では花火大会の浴衣みたいに、
イベントがらみで現代版・新衣替えルールを仕込んではくれないものだろうか?



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