これから徒然なるままに、のんびりと漫遊記なるものを綴ってみようと思う。
遊牧民族の子孫なのか知らないが、旅が好きである、それも海外にはとんと興味がない。
四季の恵みを持つ、この日本にとことんこだわり旅をしたい。
かの有名な水戸黄門様には極め付けの印籠がある、これさえあれば恐るるものなし。
「えーい、この紋所が目に入らぬか・」「頭が高い、控えおろう・・」これで一件落着。
それに引き換え私にはこれがない。あるとするならば、「えーい、この金二両が目に入
らぬか・・」なんじゃーこりゃーー!!!
冗談はこのくらいにして、11月23日から家内、親戚の者と会津路を旅する事にした。
最近は超割航空券があって片道1万円で利用でき、我々貧乏人には有難い。
この日の空港は混雑して大変、やはり同じ貧乏人がたくさんいるようである。
東京便は満席・・羽田に着くや、人、人、また人・・お上りさんはもう頭がくらくら・・
浜松町から山の手線に乗るのも命がけ、乗ったのはいいが揺れて押されて家内はあお
向けに転んでしまった・・「きゃー」都会は恐ろしい・・・。
30分位待っただろうか、東北新幹線やまびこ号がホームに滑り込んだ。
Max2階建て車両で、ゆったりした座席は乗り心地もよい。
私は何時も駅弁とお茶そして缶ビールを買って乗り込む。
車窓の景色を見ながらビールを飲むのは殊のほか幸せを感ずる。今回も例外ではない。
駅弁を口にする頃には、那須の山々が美しく見えてくる。都会のコンクリートの建物を後
にして田畑の緑、小高い山々を見ると心が和む。新幹線は全速で北へ、北へ。
郡山駅到着のやまびこ+こまちのドッキング東北新幹線。
ホームに第一歩を印すとひんやりとした冷気が肌を横切る、うわーー寒むーー。
四国とは4〜5度の差はあろうか、北国の晩秋は思ったよりも寒い。
在来線の快速「ばんだい」に乗るべく足を急ぐ・・・列車はすでにホームに入っていた。
地元の乗客はそれとなく分る、会津弁が飛び出し、四国と同じ田舎っぺだ。
何かホットする瞬間・・ああ、会津に来たんだ・・・。
新幹線から在来線に乗り換えると、快速と言えどなんてノロノロなんだろうと思う。
着く駅ものーんびりしたものを感ずる。以前はスイッチバック方式で山を越えていたそう
であるが、電車になってスムースに山越えできる。
峠を越えると、猪苗代湖が見えてくる、そして・・会津磐梯山の綺麗な勇姿・・。
車窓から見る磐梯山・・今日は雲が多い。磐梯は見る日によって形を変える。
中腹には何本もスキー場やリゾートホテルが目に付く。
「会津磐梯山は宝の山よ、笹に黄金がええー又なり下がる・・」つい鼻歌が飛び出す。
猪苗代地方は会津若松よりも300メートル程高台である。
母成峠を過ぎると列車は転がるように会津若松に滑り込む。
会津若松駅ホームには、東北の銘酒がずらり陳列されているのが目につく。
会津若松の街は美しい、明治からの町並み保存地区から、近代的なビルも又存立する。
街は一直線の道路でなく至るところ左右に角を曲がり又進むといった具合に、敵の侵攻を
困難にし守るに適した街づくりとなっている、考えたものだ。
会津若松の人々の象徴は、何と言ってもあの23万石の会津城・・「鶴ケ城」であろう。
戊辰戦争ですさまじい戦火を交え、若き白虎隊の壮烈な自刃を思い出さずにはいられない。
大砲攻撃を受けて城は崩壊したが、昭和40年に再建され7層の威厳を誇る昔の面影を偲
ぶ事が出来る。
古城の中でも一際美しい「鶴ケ城」である。
城の入り口の朱塗りの太鼓橋が鮮やか。
堀の脇には桜の古木が多いし、木々が茂って緑が深い。
大きな石を積み重ねた石垣を抜けるとやがて会津城の本丸「鶴ケ城」が勇姿を表す。
北陸の巨城 会津若松城 その晴れ姿をここに見る。
春祭り、桜まつり、夏祭り、秋の会津祭りと年中観光客が訪れ、会津の魅力を探索する人々が
後を絶たない。
市内の町並保存地区は整備され、明治時代からの土蔵造りで暖簾を下げた店が今も営業して
います。
|
|
|
昔ながらの土蔵造り 古い暖簾がかかる |
赤レンガの土蔵は今は喫茶店 |
野口英世青春館 |
会津には秘湯なる温泉が点在する。
会津若松郊外は会津の穀倉地帯、「コシヒカリ」の収穫も終えた広々とした田畑がつづく。
ラーメンで有名になった喜多方市街を15分ほど走ると山麓にさしかかる。
ここはひっそりとした「熱塩温泉」である。数件の旅館が軒を並べている。
海岸にはよくある温泉だが、山中に塩湯とは珍しい。
早速旅館の温泉に入った、薄茶色の湯である。かなり熱く身体の温まりを感ずる。
小さな露天風呂は木漏れ日が差し、森林浴も同時に叶えられる。
コップがあり飲んでもいいようなので一杯口にしたところ、まさしく熱い塩湯である。
静かなのんびりとした、ひなびた温泉・・私は好きだ。
磐梯山の裾野に「中ノ沢温泉」がある。会津若松市内から車でわずか1時間。
ここはスキー客も多く、都会からの客もよく来ると言う。
ここの泉質は変わっていて、酸が強列で殺菌作用が優れている。
足の水虫等は2〜3回ここに入るとたちまち直ってしまう。これは私も経験済みだ。
イッパイ飲もうとしたがすっぱくて喉を通らない・・・これはすごい。
朝湯に入ると東京のサラリーマン風の先客があって彼らは一升瓶を持込み酒盛りをしてい
るではないか。
「おじさん一杯どうぞ」とコップを差し出されてなみなみと酒を注がれると、断る事もなくつい
つい飲み干してしまった。 朝湯に朝酒・・これはいいですぞ。
しかしながらお腹の中では熱燗となりまわるまわる・・・。
何の事は無いオハラ庄助さんである。
「朝寝 朝酒 朝湯が大好きで」・・・いい湯だな〜 いい湯だな〜 ああー天国。
中ノ沢温泉 庭園大露天風呂
福島県会津地方には大小いろいろな温泉がある。人情もまた暖かい。