チャリンコ族はいそがない
熊沢正子
山と渓谷社/1988年
1985年6月4日〜87年7月5日まで2年1ヶ月に渡るチャリンコ旅の記録。58年生まれなので27歳から29歳にかけての旅。今はなんと42歳になってられる。
旅行ガイドの取材と、サイクルマガジンに旅の様子を連載しながらチャリンコで日本一周。北海道から始まった旅は、本州を南下、沖縄にてしばらく停滞。そこで石垣島白保の海を守ろうとするおばばたちに感化され、空港建設反対運動にシンパを寄せる。その後、ヒトとの出会いに目覚め、各地のフリースクールを巡り東京に戻る。すぐに旅行記を執筆、88年3月、出版にこぎつけた。
第5章私家版もうひとつの日本地図から、がらりと文章のあり方が変わる。各地をさまよう旅人として、好奇心に満ちたものの見方から生活者として現実と未来を見据える姿勢へと心境の変化があったようである。この旅を通じて土に接する暮らしをしたい・・・と今後の生活スタイルをみいだした。
旅を終えて空虚にならず、次なる展開を感じさせてくれたことを評価する。日本一周の終わりが次へのステップとならなければ、なんのために時間と金と労力を費やしたのか、ホント悲しくなってしまう。彼女は旅の価値を自分の中にしっかり埋め込んだといえる。
2000年6月読了