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"運命のパンセ" 前編

"運命のパンセ" 前編
作 石束沙織

「太助様。いかがでしたか?」
「ああ、とっても美味しかったよ。今日のは格別においしかった。」

おれたちが初めて出会った日から数えて、今日は記念すべき日だった。

「なんだか信じられないな。あれから10年もたっただなんて・・」

この閉鎖された、非日常的な日常生活においては、時間の概念が
消え去ったかのような錯覚に陥ることも、しばしばだ。
しかし、時は流れている。
その証拠に、おれはすでに20代も後半にさしかかっていた。

「きっと、10年後もそんな気分になるんでしょうね。
その次の10年後も、その次の10年後も・・」
シャオは幸せそうにおれのほうをぼんやりと見ていた。

「ねえ太助様、どれが一番おいしかったですか?」
「ケーキがおいしかったよ。」
「じゃあ、明日も同じケーキを作りましょうね。」
「うん、よろしくね・・シャオ、おれ、今日はなんだか疲れたんだ。
先に寝室にいってるよ。」
「あら、お疲れだなんて。おくすりを出しますね。」
「おくすりって、この間のあれ?」
「え、ええ・・・」
「いや、あれは・・、今度にしておくよ。」
「でも、飲んだ方がいいと思いますけど・・・」
「大丈夫さ、ちゃんと起きたまま、まってるからさ。」
かなり強烈な幻覚剤を勧めるシャオを振り切り、おれは夕食の席を立った。

暗い寝室に入るなり、おれはベッドの上に大の字になった。
10年前か・・おれとシャオはどんな風だったけっけ・・?
天井をぼんやりとみつめ、おれは記憶の糸をたどりはじめる。

10年前のことだ。
出会ってから数ヶ月間二人ですごした後、突然、シャオは支天輪
に戻らなければならないと告白した。支天輪に戻ったシャオでは
あったが、結局想いが断ち切れず苦しくなったのだろう、こちらの
世界に残って暮らすことを決め、支天輪の中から再び現れたのだった。
シャオが戻ってきてくれたとき、おれはまだ中学校に通っていた。
家族は相変わらず海外にでかけていて、おれが家の主だった。
シャオと出会ってからは、生活ごとは、すべてシャオや星神たちがしてくれた。
安楽で幸せな生活だった。

そして時はすぎ、おれは中学校を卒業した。
シャオと出会う前は、高校進学を目指していたおれだったが、
シャオと一緒になってからは、そんな目標などなくなっていた。
高校に進んで勉強する必要も就職して勤労する必要もなかったのだ。
勉強しなくても、働かなくても、星神たちがどこからか金や食べ物を運んできてくれる。
何も心配することはない。
おれは、シャオと遊んでるだけでよかったのだ。
今思うと、あのころのふたりはまるで子供だったと思う。
トランプをしたり、TVをみたり、星神の力で旅行したり・・
無垢な恋愛感情だけが、おれたちふたりを繋ぎ止めていたのだ。
しかし、そんな絵に描いたような美しい青春時代にも影が訪れる。
16才になった年の、ある夜のことだった。
「ごめんなさい太助様。また、私が勝っちゃいました。」
「だめだなあ、星神の力使ったら・・・」
「今回は使ってませんよ。」
「本当に?モノトリーはおれ、大得意だからまけるはずないんだけど・・」
「ふふふ、今度のバツゲームは何にしようかしら。」
「なんでもどうぞ、お好きに。男には潔さが必要なんだよなあ。」
「なんにしようかな・・そうだ、太助様、・・・・・・」
「どんなバツゲームにしたんだい。」
「その・・あの・・」
「何?」
「太助様に、ちゅーしてほしいんです・・」
「え・・・?」
「あ、ごめんなさい!怒らないでください!一度、言ってみたかったんです!」
「ちゅーしてほしいの?・・・いいよ」
「・・・・・本当ですか?」
「うん。目をつぶって。動いちゃだめだよ。それから、照明も消しましょう。暗くして・・」
「は、はい!!」
シャオは頬を紅潮させ、だいぶ興奮しているみたいだった。
逆におれは異常なほど落ち着いていた。
これはずっと前から予想していたことだったからだ。
ただ、いつこうなるか、ということだけが自明でなかった。
シャオに対するすべての悩みはこの一点から発しており、
ここにおいて、その悩みの根源のようなものが絶たれたわけである。
おれは、清々とした気分になった。
シャオはおれに対する愛情をたった今、公の形で認めたことになる。
これで、正式に、シャオはおれのものに・・
「いいね、シャオ。」
「うん・・・」
おれの両腕が、シャオの背中にまわった。
髪の毛を引っ張らないように、静かに背中に巻きつける。
シャオはもう逃げられない。
おれは、腕にたれかかるシャオの髪の毛が心地よいことに気づいた。
そして、目を閉じたシャオは無言で待っている。まるで、おれのすべて
の想いを受け入れて、それにこたえてくれるかのように・・
おれは、知らぬ間に冷静さを失った。
シャオの背中から伝わってくる鼓動が、おれの鼓動とシンクロしはじめる。
急にだきよせ、おれはシャオの唇にキスした。
女の匂いというにはあまりにも切なくほのかすぎる匂いが、おれの思考を麻痺
させはじめる。
「んっ・・・・」
よりきつく抱きしめ、舌を強引にシャオの唇に差し込む。
突然シャオは目を開いた。
そのうつろでものほしげな目は、彼女が恍惚状態にあることを示していた。
おれの舌は、彼女の口内を愛撫し続ける。
おれは背中に、暖かく柔らかいシャオの手を感じた。
それとほぼ同時に、シャオの舌が一方的だったおれの舌の愛撫に、
激しくこたえはじめた。
もう、それで十分だった。
舌を抜きとる。
「シャオ・・、大好きだよ・・」
思考の麻痺したおれは、何か言おうとしたシャオを抱きながら、
そのままソファに押し倒した。
「太助様!?」
シャオは、キスだけで終わると思っていたらしい。
困惑した表情で、おれを見ている。
その表情は、おれの心臓に、罪悪感という割れたガラス片をいくつも突き刺した。
一瞬、ものすごい苦痛がおれの体を走り抜ける。理性が、誘惑の深淵からおれを
救い出そうとしているのだ。
しかし、理性の試みはあまりにむなしかった。
おれは、今、シャオの上に乗っているのだ。
ガラス片は、人間の原初の欲望が発生する高熱のもとに、あっというまに溶けてしまった。
押し倒したシャオの体を、おれは服の上から感じた。
もう、どうやっても、おれをもとにもどすことはできない。
胸や腹、脛や腿、そういったありとあらゆるシャオのもつ曲線の感触は、単純に、
男の心を引きつけて悩ますもの以外のなにものでもなかったからだ。
どうにもとまらなくなったおれの手は、一番手近で大きものに触った。
「あ!?」
服の上からもんだシャオの乳房は、おもったとおりに大きさだった。
両手で、なで、さすり、おさえつけ、おれは手が望むようにやらせた。
5秒ももまないうちに、左手はシャオの腿のあたりをさわり始めた。
「太助様・・」
「シャオ、この意味が分かってるの?わからないの?どっちなの?」
「・・・・だめ・・」
紅潮した頬には、すでに涙が伝っていた。
だめ、という言葉とシャオの表情の美しさが、おれの動きを止めた。
さきほどキスで、シャオは完全におれのものになったはずだ。
それなのに、なぜ「だめ」という言葉がでてくるのか?
ショックがおれを襲う。
予期しないショックは、恐ろしいほどの力でおれの心臓を握りつぶそうとした。
そう・・・シャオは人間の女ではないことを忘れていた。
人間の女ですら困惑することがあるのだ、シャオが拒否するのも当然であろう。
しかし、彼女の拒否を受け入れるには、おれは加速度がつきすぎていた。
どうしても、おれはシャオと、心地よい愛を分かちあいたかったのだ。
シャオの「だめ」は、おれの欲望によって、強制的に忘却の片隅へと追いやられてしまう。
もう、シャオの意志など関係ない。すべてが終われば、シャオもおれを許すだろう。
おれの左手は、シャオのスカートを止める帯を探り当てた。
急いでスカートをずりさげる。
「太助様ぁっ、太助様のこと、大好きです!でも、・・だめなんです!」
うるさいシャオをだまらせるため、キスをしようとする。
おれの唇は、空振りしてシャオの頬に当たった。
抵抗とはいかないまでも、何か、必死におれの目を覚まそうといやいやするシャオ。
「太助様、だめ、だめです・・わたし、変わっちゃう・・」
「いいんだ、シャオ。一緒に変わろうよ。おれ、シャオと一緒になりたいんだ・・・」
「だめだめ、だめです、太助様。いままでみたいにしていけなくなるかも!」
シャオの、おれの体の中で動きまわる感触が、おれをどんどん興奮させた。
左手がシャオの秘部を探り当てたことで、さらに興奮はたかまっていく。
下着の上からそれと分かるのは、際立ったなめらかな高みを指が感じたからだ。
そのまま、ひとさしゆびが下着の上から割れ目をくすぐりはじめる。
このとき、おれの目は、いやいやする真実のシャオの姿を写していなかったろう。
写っていたのは、艶っぽいめつきでおれの体を撫でまわす、全裸で肉感的な、
幻像としてのシャオだったかもしれない。
いとしいシャオの秘部を愛撫するため、おれは残りの4本の指も参加させた。
「さわらないでください、お願いですから・・」
「大好きなんだ、シャオと一緒なら、もうどうなってもいいんだ」
「太助様、わたしを変えないで!」
「シャオ、ほら、素敵だろ、いい気分だろ?」
「だめだめ、たすけさま・・・ん、んんん、あっ、あっ・・」
シャオのなまめかしい声は、おれが求める幻像としてのシャオのものと一致しは
じめていた。
左手はショーツを脱がした。
意識しない間に、シャオの割れ目に左手のひとさしゆびが出たり入ったりしていた。
はじめてさわる女の愛液におれの左手は怖じ気もせず、シャオを絶頂に連れて行く
ため、ひたすら奉仕する。右手もまけずと、できる限りの激しさで乳房をもむ。
「好きだよ、シャオ。」
「ん、ああああ、たすけさま、わたしも・・あっ、あんっ、ああああ、あはっぁ」
「苦しいの?それとも気持ちいいの?」
「はぁはぁ、あっ、あっ、あああ、たすけさまあああ、あああん、ああ・・」
シャオが感じるたびに、頬には涙が伝った。さぞかし気持ちがいいのであろう。
上の服も脱がせて、どれほどシャオの乳房がおれをほしがっているか観察したい
衝動にかられたが、シャオの腰が振動するかのようにおれの指を突きはじめている
状況から察して、それは次回にまわすことにした。
シャオの絶頂は、徐々に近づきつつあるような気がしたのだ。
左手をより激しくあばれさせつつ、おれは右手をシャオの胸からはなし、自分のズボ
ンを脱ごうとする。
「あ、あ、だめ、たーさま、やめないでぇ!」
訴えるその表情はすでにシャオのものではない。
突然、シャオの片腕がおれの頭を抑えたかと思うと、強引にシャオの舌がおれの
口内に入ってくる。はげしく暴れるシャオの舌。
そして、次なるシャオの反撃は、おれが想像だにしなかったものだった。
いきなり、心地よい、暖かく、水っぽい、深いものに、おれの股間全体が
押さえつけられた。それから、その心地よい何かは、股間の中心を押さ
えつけたまま、ちょうどよいテンポで前後に振動する。あまりの心地よさに、
目を閉じてられないほどだった。なにが起こったのか、理解できなかった。
しばらくうっとりした後、おれは目を開いた。シャオの目からは、大粒の涙が
流れている。「痛い?」とか「自分でやってくれたんだね、嬉しいよ」などと口
を聞こうと試みるものの、そういった言葉はすべてあえぎ声になって自分の耳に聞こえた。
立場は逆転したらしかった。
下からシャオが突き上げてくれる・・
おれはすべてシャオにならうことにした。
おれができることはもはや何もなくなった。
もう、自分の限界がだいぶ近いことを、おれは快感の度合いから知った。
メビウスの輪の中を堂々巡りするような、抜け出せない繰り返しの振動。
抜けだそうにも、抜け出す術をおれはしらなかった。
高まる快感が、幻想から抜け出そうという意識すら奪い去りつつあった。
すぐにも絶頂が来そうだ。
得たいの知れない危機感が、「すぐにやめなさい」と命じる。
と同時に、永遠にこのままでいたいという願いが、「続けなさい」と命じる。
そのふたつが衝突が、遂に来た絶頂感の快楽を何倍も高めてくれた。
目の前が真っ白くなり、おれはほんの短い時間、半ば気を失ったようになった。
気がつくと、おれの両腕は、シャオの乳房を服の上から触っていた。
あわてて、おれはおきあがった。
「シャオ、・・・・・本当にごめんね。」
「・・・太助様は、わたしのものにならねばなりませんよ。」
シャオの目からは、最後の涙が幾筋も流れた。
「もちろんさ。」
「本当にいいんですね。」
「痛かった?」
「はい。でも・・」
「大好きだよ、シャオ。」
「ずっと、いっしょにいてくれるんですね。」
「当たり前だろ!!おれはシャオのご主人なんだから・・」
「よかった!もう一度ちゅーしてください、太助様。」
「うん。今度はちゅーだけ・・」


いまだ鮮烈に覚えている、シャオの体を知った初めての夜。
この日の出来事が、おれとシャオの生活に大きな変化をもたらしたのだ。
シャオの「だめ」「わたしを変えないで」というメッセージは、決して無意味
なものではなかったのである。

(続く)

#こんなものに著作権もなにもありません
#転載したい方がいるとは思えませんが、
#もしいらっしゃったら、好き勝手にばらまいちゃってください。
#でも、少し手を加えて修正して、
#「これは自分が書いたんだ」
#と主張するのはなしですよ。
#まあ、そんな人がいるとは思えませんけど、
#念のため。
#
#「シャオと太助のこんなトコを読ませろ!」
#とお思いになったかたは、
#いますぐ
#[email protected]
#までメールください。
#わたしに可能でしたら、文章化させて
#いただきますんで。


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2001年05月07日 15時04分29秒


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