胚移植

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胚の回収

Aggregationの翌朝9-10時頃行う。

  1. φ30mm dishにPipetmanで60μlずつのWhitten's mediumの小滴を2-3個作る。 静かにmineral oil 3.5mlを重層する。Incubatorへ。 Mediumのたまりが移植するmouseの数だけになるようにする。
  2. Incubatorからaggregation dishを静かに取り出し、実体顕微鏡下で胚を中央の(穴のない)mediumのたまりに移す。
  3. 作成したdishのmediumに胚を移す。一つのmediumのたまりに移植する子宮角の数(もしくは移植するマウスの数、i.e., 6-8個あるいはその2倍)だけの卵を入れておくと良い。このときになるべくmediumや散らばっているES細胞を持ち込まないようにする。
    Transferring embryos to new medium
  4. Incubatorへ。約3.5h blastocystに発生させ、子宮移植。

子宮移植

準備:recipient偽妊娠マウス, 10%ネンブタール, 天秤, mouth pipette 2本, 移植セット、ホットプレート(42℃)

  1. Mouseの体重を量り、表に従って10%ネンブタールをi.p.。
  2. 麻酔が効いてきたところで(約30分持続する)背中の部分の毛を曲がった鋏で刈る。
  3. アルコール綿で清拭し、腰椎に沿って縦切開を加える(1, 10-15mm)。 皮下組織を眼科鋏で鈍的に剥離し(余り出血させないように)、腎臓の下極と腸腰筋外縁に接して存在する白色の脂肪褥を探す(2)。この上にある体壁に3mm前後の切開を加え、脂肪褥を引き出すとこれに付着している付属器と子宮上部が引き出せる。
    Mouse shown from the back
  4. 余り出血させないように卵巣の周囲などの結合組織を切離して、子宮角が体壁からまっすぐ引き出せるようにする。終わったら子宮角と付属器を乾燥しないよう皮下に置いておき、反対側の子宮角を同様に引き出す。
  5. 移植する胚を準備する。Dishのふた(など)にWhitten's mediumの小滴をsyringeで作る(mineral oilをとりのぞくためのもの)。
  6. Incubatorから胚の入ったdishを取り出し、作成したmediumのたまりに胚を移動する。1つのたまりに片側の子宮角に移植するのと同数の胚を置く(理想的には6-8個、最大10個)。
  7. 移植用のpipetteの準備。Oilを除くために新しいpipetteを準備する。
    Pipette prepared for ET
    ブレーキ用のairとmedium(1)を吸った後に目印に2個泡を作り、これに続いて6-7mmの間隔で2個泡を作る(3)。
    最後に胚をpipette内に吸い、一旦pipetteを置いておく。
  8. 実体顕微鏡を最低倍率にし、マウスをステージにのせる。(右利きの場合)右手の鑷子で付属器周囲の脂肪組織をつまんで引き出し、子宮上端付近を左手に持った曲がり鑷子でしっかり保持し引き出す。子宮前面の臓側腹膜が付着していない側が上になるようにして、右上方(右手で差し入れる移植用ピペットと平行になる方向)に引き出し、顕微鏡の視野内にとらえる。
    Mouse under microscope
  9. 左手の曲がり鑷子をしっかり保持したまま、胚の入ったmouth pipetteを右手に準備する。さらに同じ手で27G注射針を(先端が手前に向くように)持つ。Pipette先端に注意!
  10. 顕微鏡下で27G針を用い、子宮上端から約2-3mmの部位に穴を開ける。針の方向が子宮角と平行になるように差し入れ、子宮腔内に入ったことを確認するため前後に動かしてみる。
  11. 顕微鏡から目を離さないまま(27G針は手を離して落とし)、同じ穴から子宮移植用ピペットを子宮腔に差し入れる(先端に注意!)。前後に動かしてピペットが子宮腔内にあることを確認。1番目の目印の泡まで差し込む。
    Transferring embryos ET
  12. 2個作った泡の目印まで、そっと胚を吹き込む。終わったらすぐにpipette内をmediumでflushする(詰まるので)。
  13. 体壁の切開縁の外側を上に引くようにして、子宮角と付属器を腹腔内に戻す。
  14. 両側の子宮で同じ処置をしたら、皮膚を背部中央で合わせてclipで止める。
  15. 17日後に帝王切開。

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