デザイン | Aaron Allston |
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編集 | John D. Rateliff |
製品監修 | Bruce A. Heard |
表紙 | Jeff Easley |
挿絵 | Terry Dykstra |
地図 | Dennis Kauth |
美術監修 | Peggy Cooper |
図案 | Stephanie Tabat |
印刷 | Gaye O'Keefe |
製作 | Paul Hanchette |
発売日 | 1992 年 8 月 |
イモータル,
異世界より来たりし戦士…Wrath of the Immortals によって,知られざる秘密が明らかになる。ミスタラ・ワールドやその他の次元での,イモータルの作成とロールプレイの方法だ。恐るべき力を持つイモータル,彼らの奇妙な世界や同盟関係がついに明らかになる。しかし,間に合うのか?
そう,最後の対決が始まるのだ! イモータルの名において,ノウン・ワールドの二大帝国がついに激突する。世界は狂気に陥った…どちらもこの地球上から消えてしまうのか? Wrath of the Immortals では,英雄たちは 6 年にわたる探索に赴くことになり,ゲーム・レベルは apprentice から最高レベルにまで及んでいる。
超自然の存在は行軍を始め,
彼らの想像を絶する力を前にして世界は震撼する。
この世界は二度と元には戻らない!
…というわけで,Wrath of the Immortals(ラス・オブ・ジ・イモータルズ,イモータルの怒り)です。D&D(R) のサプリメントで最も所持欲をかきたてるものの 1 つです。かの安田均氏も「これだけは死んでも訳したい」と言っておられました。Wrath of the Immortals はボックスセットで,中には冊子が 2 冊(Codex of the Immortals,The Immortals' Fury)とカラーの地図が 2 枚(二大帝国の全体図と詳細図)入っています。お値段はもちろん $20.00 と大変お得になっています。日本の RPG プレイヤーは,自分がアメリカに生まれなかったことを呪いましょう。
Codex of the Immortals(コーデクス・オブ・ジ・イモータルズ,神々の写本)は,イモータル全般についてのルールを扱った本です。基本的には,マスター・ルール・セットと Immortals Rules Set で紹介された内容と同じですが,変更点もいくつかあります。この本の内容は大きく 8 つに分けることができます。
まずはじめに,イモータルの定義や能力,彼らが取りうる 3 つの形態,それに戦闘の方法などが説明されています。イモータルを PC としてプレイするのでなくても,一通り読んでおくとよいでしょう。
ノウン・ワールド(the Known World,既知世界)に登場するイモータルたちの能力や目的,それに歴史や派閥などについて解説しています。また,特定のイモータルを信仰しているクレリックが持つことのできる特殊能力に関する記述もあります。魅力的な多神教の世界を演出したい DM は,ぜひとも読んでおくべきでしょう。クレリックという存在がよりリアルに感じられるはずです。ちなみに,ここに登場するイモータルの数は全部で 51 にもなります。
ここでは,どうすれば PC がイモータルになれるのか述べています。基本的な内容は「マスター・ルール・セット」に含まれる「ダンジョン・マスターズ・ブック」に書いてあることとそれほど変わりません。D&D(R) Rules Cyclopedia の第 15 章にも同様なことが書いてあります。しかし,いずれの場合も,Wrath of the Immortals の内容を優先するように指定されています。
イモータルの能力値は,モータルのそれからするとまったくスケールの異なるものとなっています。そういった能力値による修正や,経験を積むことによる力の増大,そして彼らが持つ数々の超能力について詳細に説明するのがこのセクションです。また,イモータル専用の呪文も紹介されています。
イモータル・キャラクターでキャンペーンを行う際の指針が書いてあります。イモータルの目的や冒険の一例,従者などです。
イモータルが作り出すことのできる魔法の品,アーティファクトに関する説明です。アーティファクトの存在理由や,付与することのできる数多くの(約 300 種類!)特殊能力について書いてあります。
イモータルの前に立ちはだかるであろう,強力な怪物たちが紹介されています。彼らもまた,モータルには備わっていない数々の超能力を身につけています。
コンパニオン・ルール・セットで登場した「プレーン(平行世界)」についての詳しい解説と,プレーン間を移動する方法などについて書かれています。D&D(R) Rules Cyclopedia の第 18 章の記述を推敲・拡張し,イモータル PC の使用に耐えうるようにしたものです。イモータルの都市「パンディアス(Pandius)」についても簡単に触れられています。
The Immortals' Fury(ジ・イモータルズ・フューリ,イモータルの復讐)は,イモータルに関するルールを使用してプレイするキャンペーン・シナリオです。DM は,可能ならば以下のサプリメントを読んでおくとよいでしょう。
第 1 話が始まるのは AC1004で,最終話は AC1010 に終わります。このアドベンチャーによってノウン・ワールドの様相は大きく変わってしまうため,DM はそれなりの覚悟を持ってプレイに臨むべきでしょう。
冒険の最初のフェイズは,低レベル(1-5)の冒険者たちがダロキンとグラントリの間の山奥にひっそりと建っている城へやってくるところから始まります。そこで彼らは,見たこともないモンスターとアーティファクトを見つけます。そのアーティファクトは,大昔からミスタラに存在するある者の生命力が込められています。その者がアーティファクトから脱出するのに手を貸せば,キャラクターはその者との間に同盟を結ぶことができます。
第 2 フェイズは,城での冒険のあとキャラクターがある程度レベルを上げてから(6 レベル以上)始まります。彼らが以前アーティファクトから開放した「ある者」が再び現れ,恐るべき事実を告げます。「彼」によると,各国の軍隊が強化され,スパイたちの活動がかつてないほどのスケールで活発になっており,支配者たちは彼らの国をささいなことで戦争に突入させようとしているというのです。また,「彼」の友人は,これらの動きの背後には何か力ある者の存在があるのではないかと恐れているということです。そこで彼は PC たちに,これらの事実を確かめ,詳細を報告してほしいと頼みます。キャラクターはアルファティア帝国へ赴き,大規模な植民計画がアルファティア政府によって進められていることを知ります。そして,そこにはイモータルの隠謀が絡んでいることも…。
ノウン・ワールドはついに戦場と化します。あらゆる国が次々とグラントリ−アルファティア大戦に参戦します。アルファティア,ジアティス,ヘルダニック・ナイツ,ダロキン,タールのオーク,ヴェストランド,イーゼンガリアン・カーネイト,ソーダーフョード,アルフハイム,イラルアム首長国連邦,それにヒュールが戦乱の渦に巻き込まれます。ロックホームとカラメイコスにも大きな変化が起こります。そして,この戦争の背景をプレイヤー・キャラクターが探るのです。ミスタラの運命を決めるのは彼らです。彼らは戦時下の大陸を横断し,ミスタラから魔法の力を吸い出しているアーティファクトを止める方法を探し出さなくてはなりません。はたして彼らは世界を救うことができるのでしょうか?