デザイン | Ann Dupuis |
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編集 | Elizabeth Anne Tornabene |
製品監修 | Bruce A. Heard |
箱絵 | Robh Ruppel |
表紙 | Brom |
挿絵 | Terry Dykstra |
美術調整 | Peggy Cooper |
地図 | Diesel, John Knecht |
製作 | Angelika Lokotz |
連続性チェック | Doug Bickford |
飛行船デザインと創作協力 | Paul R. Dupis |
テストプレイ | Doug Bickford,Paul R. Dupuis,T. Scott Kinder,Elizabeth Tornabene,and Kevin Weishaar |
発売日 | 1993 年 |
お店で箱を手に取ると,サブタイトルに「プリンセス・アークの英雄たち」とあるのが目に入ると思います。このプリンセス・アークというのは飛行船の名前です。どうやら DRAGON(R) 誌においてこのプリンセス・アーク号の冒険が連載されていたようです(詳しくは知りません)。Ark には「箱舟」という意味があります。
箱を開けると,中には 3 冊の本(Designer's Manual,Explorer's Manual,Heroes of the Princess Ark)と,(とても信じられませんが)現存する代表的な飛行船のデータ・シート,それにプリンセス・アーク号の見取り図,グレイト・ウェイストとサーペント半島の地図が入っています。地図とシートはすべてカラーであるにもかかわらず価格が $20.00 というのは,バカ高い日本のボックスセットを見慣れた方にとっては衝撃的な事実でしょう。まさに Challenger シリーズの名にふさわしい逸品です。
デザイナーズ・マニュアルには飛行船の製作と空中戦に関するルールが収められています。これらはもともと PC2 Top Ballista と Dawn of the Emperors に掲載されたルールです。それでは本書の内容をもう少し詳しく見てみましょう。
まずはじめに飛行船のデザインのしかたと,具体的な建造方法についての解説があります。飛行船の建造には莫大な手間と費用がかかるのは言うまでもありませんが,飛行船を手に入れた冒険者の舞台は限りなく広がることでしょう(そして DM の苦労も果てしないものになるでしょう)。
考えることはいくらでもあります。船の形は? 大きさは? 浮力と推進力はどうやって得るのか? 武装はどうするのか? 下手をすると城を 1 つ建てるよりも大変な作業になるでしょう。
船ができたら,次はどうやってその船を動かすのかを学ばなくてはなりません。新たな技能,便利な道具,そして船がとりうるさまざまな機動。3 次元空間が戦場となるため戦闘はより複雑に,空では強い風が吹き荒れるため長旅は予想もしない方向へと向かうことになるでしょう。
キャラクターはやがて世界の果てにたどり着くでしょう。完成度の高い船は宇宙を旅することさえ可能なのです。そこでは今まで見たこともない光景が広がっています。DM は必要に応じて新たな世界を作り出さなくてはならないでしょう。そんな DM のために,充実した「ワールド作成ガイド」が用意されています。ガイドに書かれた手順に従うだけで一分の隙もないオリジナル・ワールドを創造することができます(面白いとは限りませんが)。
最後に,飛行船乗りにとって大変便利な魔法がいくつか紹介されています。おまけに SPELLJAMER(R)(AD&D(R) のサプリメントで,宇宙での冒険を扱っているようです)へのデータ変換についても解説されてます。
この冊子では,今まで謎に包まれていたいくつかの国々について,詳しく説明されています。グレイト・ウェイスト(大平原)とシンド王国は,デザート・ノゥマッズ(砂漠の遊牧民族)シリーズ(X4,X5 および X10)と,DRAGON(R) 誌 169 号に掲載の Pricess Ark シリーズにおける設定を拡張したものです。サーペント半島は X6 がもとになっています。ヤヴドロム神聖王国(Yavdlom Divinarchy)は DRAGON(R) 誌 170 号に掲載の Pricess Ark 中の素材を利用したものです。
そのほかにも,ノールの国グラーカリア(Graakhalia)や象使いの国アリムウェング(Ulimwengu)といった想像もつかない奇妙な国々についても,その歴史や文化,地理などが詳しく説明されています。
アルファティア帝国海軍が誇る飛行船「プリンセス・アーク号」が初めて DRAGON(R) 誌に登場したのは 153 号でした。この本の大半を占める「プリンセス・アーク年代記」は,DRAGON(R) 誌 169-188 号に掲載されたものです。そして,このプリンセス・アーク号をキャンペーンに導入するために必要なさまざまなデータが追加されています。
年代記についてはここで内容を詳しく紹介するのは(時間的に)無理ですが,その荒唐無稽ぶりには絶句してしまいます。“Wrath of the Immortals”と 1,2(なんのだ)を争うこのアクセサリー,ぜひ 1 度はご覧になってください。