詰将棋の解き方
 「強くなるためには詰将棋を解きましょう」とよく言われる言葉ですが、初心者の人にとっては詰将棋って結構難しいのではないでしょうか。初心者でなくても詰将棋は苦手という方も多いと思います。

 数多く詰将棋を解いているうちに何となく詰将棋の解き方はわかってきますが、そこに至るまでに挫折しないよう簡単ではありますが詰将棋の解き方のコツについて説明してみました。

基本的な事

 詰将棋は先手(攻撃側)で始まり先手で終わる。つまり手数は必ず奇数手である。先手、後手、先手(詰み)なら3手詰み。先手、後手、先手、後手、先手(詰み)は5手詰み。次に先手の指す回数は3手詰みなら2回。5手詰みなら3回、7手詰みは4回となる。

 何だ、そんなこと当たり前じゃないかって・・まあまあ。3手詰みが解けない人は攻撃側のたった2回の指し手がわからないんですよ。で、なぜこんな話をするかって言うと大抵の場合持ち駒が何枚かあったりするわけで例えば右上の5手詰めは持ち駒が3枚ありますね。

 勘の良い人はもうわかりましたね、つまり5手詰めは先手の指すのは3回で持ち駒が3枚あるって事は・・・そう先手の指し手はすべて持ち駒を使う手なんですねー。3手詰めで持ち駒2枚も同じ事です。さあ少しだけわかってきたところで?次に話を進めましょう。

詰将棋の特徴

 敵を攻略するには先ず相手の特徴を知らねばなりません。詰将棋が敵かどうかはおいといて・・詰将棋って一種のパズルなんですよ、パズルというのは解けにくいように作ってあり簡単に解けたら面白くも何ともないわけで、だからそれがどうしたかって言うと、あ〜まどろっこしいなー、要するにですね詰将棋の手というのは平凡な手、普通の手じゃなく奇抜な手とか意表を付く手が含まれていると。

 じゃ意表を付く手とはなんじゃらほいと言いますと攻め駒をただで相手にやってしまう事。簡単に言うと駒のただ捨てで「詰将棋とは捨てることにあり」と、言っても良いでしょう。ふぅーやっと結論が出ました、ではさようならって、おいおいまだ話はこれからだよ〜ん。

 詰将棋に於いては詰みに至る手順というのは一つではなく複数あります、もちろん正解は一つですが(作意と言う)あちらに逃げてもこちらに逃げても、また取っても詰みと言う具合に何通りもあるわけで、正解以外のこれらの順を作意に対して変化手順と言います。変化手順とは作意と同じ手数で駒が余ってしまうもの、作意より早く詰んでしまうものなどがあります。皆さんが詰将棋を解くにあたって注意すべき点は、途中で詰みに至る順を発見したときは作意もしくは変化である可能性が高いのでその手順については深く掘り下げる事が大事です。


長い前置きが終わったところでいよいよ実際に例題図を使って説明しましょう。

解き方その1、守備駒の位置を変える

「3手詰めNO23より」

 守備駒の位置を変える方法は短手数の詰将棋ではよく使われます。左図は4三の馬1枚で玉を守っていますが、もしこの馬がいなければと考えて下さい。

 ▲3三馬の1手で詰みますね、ですから守備駒の馬にどこかへ行ってもらいましょう。でも王手を掛けるのが条件ですから満たす方法は▲3三金は△1一玉なので▲2一と、▲2一金の2通りしかありませんが▲2一とは△同玉で全然駄目ですね。

 そこで▲2一金に△同馬となって▲3三馬が実現します。尚▲2一金に△3二玉と逃げるのは▲3一銀成迄です。

「3手詰めNO27より」

 続いて3手詰め。今度は馬2枚で守っていますがどちらが邪魔でしょうか。3三の馬がいなければ▲2二金で詰み、ふむ、なるほど。じゃ▲2四龍に△同馬と取らせて▲2二金か・・。あれ、▲2四龍では△1二玉と飛車を取られてしまいますね。それに2二に合い駒されても詰みそうにないか、う〜むむ。

 どうも1二の飛車を取られるとまずそうだなー、▲1一金と打ってみよう△同馬と取る一手に・・あ〜やっぱり駄目だ。ん?待てよ、3三の馬がいないと▲1一金で詰むじゃないか、な〜るへそ。でも飛車を取られずに馬を動かすには?そっか、▲2四龍じゃなくて▲2三龍とすれば△同馬に▲1一金で詰み。えーと龍取らないで合い駒ならやっぱり▲1一金迄の詰みだ!

 「5手詰めNO2より」

 今度は5手詰めなので少し難しくなります。まず持ち駒が2枚ですから攻撃側盤上の駒を動かすのは1手だけですね。▲3三香成(銀成)或いは▲3一銀不成が目に付きますが△1一玉と逃げられた後3手で詰みそうにないしどうも初手が平凡すぎるような気がしませんか。

 意外な手、守備の銀を動かす手は何でしょう?え〜い▲1二金でどうだ!銀で取ったら詰むぞって玉で取られたらどうしよう(;_;)

 それならば▲3二金は・・玉逃げられて後が続かないし、▲3二香成しかない・・おっ、△同玉なら詰むぞ!銀で取っても▲3一銀〜▲2二金まで。玉が逃げるのは▲2二金〜▲3一銀。やったね。

解き方その2、逃げ道を封鎖する

「3手詰めNO21より」

 今度は玉の逃げ道を予め封鎖しておく解き方の紹介です。コツは逃げられたら困る場所に捨て駒をして守備側の駒に取らせることで玉の逃げ道をふさごうというものです。

 左図、初手▲2三飛成と銀を取りたくなりますが△2二歩と合い駒されると金銀3枚の守りが強力で詰みません。そこで▲3一飛成叉は▲3一馬が浮かびますが△1二玉と逃げらるとどうしても詰まないのです。

 ということで逃げられたら困る場所1二に角を打ってみましょう。玉で取るのは▲2三飛成で銀が余っての詰み。金か銀で取ると1二の地点に玉が逃げられなくなるので▲3一飛成りまでの詰みとなります。

「3手詰めNO26より」

 この問題も3手詰みです。▲2四飛〜▲2二飛成で簡単なんて思った人はいないでしょうね。▲2四飛は桂で取られてしまいますよ。

 さて一目3四に玉を逃げられると捕まらないような気がしますね。確かに初手▲2二馬では△3四玉で失敗です。でも初手▲1二馬とすれば3四の地点に逃げることは出来ませんが、今度は3三に逃げられてしまいます。さあ困りました、どうやったら逃げ道を防ぐことが出来るでしょう。

 正解は初手▲3三飛です。△同桂と取られてしまいますが続いて▲1二馬とすれば今度は3三に桂馬がいる為に玉の逃げ場が無くなって詰んでしまいました。

解き方その3、邪魔駒を消去する

「3手詰めNO19より」

 ふぅ、久しぶりの更新で疲れたので一応これで最後にしましょう。テーマは「邪魔駒を消去する」です。知らないと損するマル秘テクニック?

 図は3手詰み。実戦ならうっかり見逃してしまいそうですが・・。どれどれ飛車が邪魔駒か、ふふ飛車がいなけりゃ簡単。

 ちょっと待った!邪魔な駒は守備の駒ではなくて攻撃側の駒が邪魔になっているんですよ。図をよ〜く見て下さい。持ち駒に桂があるでしょう、桂を打ちたい場所は?馬がいなけりゃ▲3三桂一発で決まりでしょ。

 そっか馬が邪魔駒になっているのか、ならば▲4三馬と捨てて△同歩でも△3二合い駒でも▲3三桂で決まりですね。ピンポーン。

「表紙問題に使った7手詰めより」

 自分の駒が邪魔になってそれを消すのが邪魔駒消去と言いますが今度は自分が打った駒が邪魔になったというお話です。

 図は7手詰みですが易しいです。飛車を取られてはいけないので先ず▲1四角と打ちたくなりますね。以下△同香に▲2二金で詰みそうですが△1三玉▲1二金△2三玉で失敗。初手平凡に▲2二金と打つのが正解。

 △1三玉と逃げられてみると角一枚では詰まなさそうですが、実は今打ったばかりの▲2二金が邪魔しているんですね。そこで▲1二金と捨ててみましょう。△同香と取らないで△2三玉と逃げるのは▲1四角で早く詰みますから△同香と取りますが・・。以下は▲3一角△2三玉▲2二角成までの詰みです。

 ■簡単に3通りの解き方を説明しましたが、実はこれは詰将棋を作るときの創作方の一部なんですね、作り方がわかれば詰め方もわかるかなって。えっ、余計にわからなくなったって。はあ〜。

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