スーパーロボット七つ目大戦α
 
 
<力は必要、必要な力ルート4>
 
 

 
 
葛城ミサトのあんな広告につられてノコノコやってきた方もやってきた方だが、
それを鵜呑みにして警戒して網を張っていた悪党軍団の方もそうとうにヒマといえる。
 
 
指定地は広大な原野。市街地から遠く離れて少々巨大ロボが戦闘しようがちょっとやそっとでは付近に影響が及ばない、間違っても民間人が入り込むようなことがない場所。
道路すらなく、牙を剥きだした自然に封じられて人間がそこにいくには飛行機で強引に着陸するかそれこそ巨大ロボットに載せていってもらうしかない。まあ、冷やかしでこれるところではない。よほど正義に燃えてそれなりの技術があるか悪いことでもするか・・。
 
 
ノコノコ対ヒマヒマの争い・・・・・は、広告を信じてやってくる純粋純真善人な面を、つまりは不意をつかれたノコノコ組のほうが初回ターンから不利であった。おまけに戦力面からみても圧倒的な差があった。なんせノコノコ組の方には「まともな巨大ロボット」は”一体”しかいなかったのだから。対する悪党軍団は多少勘違いして張り込んで、20体以上。はっきりいってここまでくると、「弱い者虐め」であったが、悪党軍団は基本的にそういうのが大好きであり、同時に嫌いである地味な地道な張り込み監視任務の腹いせに思い切りいたぶってやるつもりであり、現在じわじわといたぶり中であった。
 
 
それを大急ぎで応援、救出せねばならないドロン・ベル。
緊急対応可能な、飛行能力を持つ最速小隊・・・それでいて、現地にて敵を蹴散らさねばならないのだから・・・ここで出るのは最強の切り札二枚、エヴァ四号機とデモンベイン・・・・彼らなら必ず・・・・・間に合わせてくれるだろう・・・・
とはいえ、ノコノコ組がよほどがんばらねば、リミット的にかなりやばい状況であった。
 
 
「かかった獲物はこれだけか。つまらん仕事になってしまったぞ」
邪魔大王国、将軍のひとりアマソが余裕すぎる戦況をみてその剣山岩の顔面をゆがめる。邪魔大王国とは鋼鉄ジーグの敵役で、女王ヒミカが率いて長い眠りから現代に蘇った・・・・いちがいに悪と言い切りにくいところもあるが、問答無用で日本の所有権を主張してそれをハニワ幻人など用いて実行に移す攻撃性の高すぎるあたり・・・まあ、悪の王国である。支配権が目的のために国土を荒廃させたり汚染したり消滅させたりするようなことはないが、それだけに絶対に退くことはなく、目的が単純なだけに言葉が通じない。どちからが倒れるか眠るかするまで徹底的にやり合うしかない政治取引もへちまもない血みどろの敵対殲滅関係(殺し合い)となる。なのだが、侵入してきた騎馬民族に駆逐された大昔の恨みを現役で働かせている女王ヒミカの視野が特撮ヒーローの悪玉並に日本国内に限定されているために、ワールドワイドに行動するロンド・ベルなどからすれば「行動予測の立てやすい、与し易い」ランクに戦力認定されている。なんせ目的と行動範囲がきっちりとしている。
実際に相手をする、戦闘する場合はまた別の話であるが。机上には彼らの使うハニワ幻人は出現しないのだから。
 
 
ちなみに、今回もちだしてきたハニワ幻人は、ボウラ、ガルラ、マモラ、ゲマラ、ツブテ、ドロマ、キイラ、チララ、ガルガ、ゴウラ、ウダル、バラバ、一種数体のものもいるので、総計で24体。やってくる戦力が分からないのでかなり張り込んでしまったが、こんな結果になるのだったらもっと少なくてもよかった。が、べつにアマソが自分で給料を支払っているわけではないのでそれはかまわなかったし、黄泉帰りに失敗して外見が岩男になってしまったという経緯をもつ将軍アマソだが、ハニワ幻人には愛着を持つ方なのである。悪の軍団の指揮官はたいていバカだが、もたされた戦力が少ないのならまだしも、多すぎて文句をいうほどのバカはいない。少ない戦力で任務を果たしても悪のボスは面子が一番、経済効果は二の次であるから誉められるわけでもないのだし。・・・・それについてはまあ、葛城ミサトも同じだったようで、広告作戦は残念な結果に終わりそうだ。
 
 
なんせ人間は5人ほどいたが、肝心の巨大ロボットが”一体”なのである。
ちなみに、そのロボットは遠隔指示操作系であり、パイロット不要のタイプ。
その一体が、盾となって五人を守っているわけだが、なんとも無駄な話である。
 
 
いや、もう一体、これはロボットいえるかどうか、巨大な鳥、プテラノドンのような怪鳥が空を舞い超音波攻撃などを仕掛けてハニワ幻人を牽制しているから、五人を守護するのは計2体。それにしても、24対2である。あまりにも不利すぎる。しかも地上にある人間を守りながらである。たとえロンド・ベルのエース級でもこの戦力差はどうしようもないだろう。機体可愛さに足下の人間のガードをやめて、攻撃に転じて包囲網を脱出するしかない。 そうでなければ、全滅である。その前に、その前に応援が駆けつけなければ。
 
 
これらの情報は、ヒリュウ改から現地に派遣されていた偵察専用に改造された”ボール”から送信されているもの。入隊希望者がそこにきたら知らせる鳴子のようなものだったがいきなり深刻な方面で有効利用となった。専用能力に特化され攻撃能力を取り払われたせいか、味方を見殺しにしてでも情報をゲットし本部に送り届けよというAIに非常に忠実。勇敢に行動されてもすぐに破壊されるのがオチであるが。そのボールが、戦場から微妙に後退、自身に危険が及ばないように及ばないように距離をとりつつ、現在状況をヒリュウ改と、一元化せずに直にエヴァ四号機とデモンベインに送信しているわけだが、後退し続けるせいでどんどん情報にぼやが生じてしまっている。はじめは映像でとらえていたノコノコ組の姿も今やただの生体反応の「数字」にされてしまっている。
 
 
生体反応・・・・・・・「5」
 
 
祈るような気持ちで、その数字を見ている渚カヲル、大十字九郎、アル・アジフ。
ヒリュウ改から緊急発進したあとで受信したノコノコ組の映像。
 
目を疑ったが、そこには・・・・
 
 
黒い髪の若い男と・・・・金髪の若い女性・・・ともに二十代くらいか、ともに目つきがキリッと引き締まっている。だが、服装が一般人のそれで、ロボットのパイロットや秘密組織の関係者には見えない。しかし、表だってそんな分かりやすい格好をする必要も確かにない。格好の的になる。いろんな意味で。広告を見てきた割には・・・まともかもしれない。
 
 
次は、巨大ロボットの掌に乗った学生服の少年。
歳の割には一城の主のごとく威風堂々としており、その目には強い意志があるのみで、なんの迷いも疑いもないのが見てとれた。惣流アスカや綾波レイや渚カヲルが十代なかばなのであるから、ある意味狙ったとおりの人材がやってきたといえた。落ち着いており、ギンギラギンに熱血!!、という感じではないがそれはそれで若い身空で頼もしい。
 
 
だが・・・・
 
 
どう見ても、「小学生の女の子ふたり」・・・・・・・で、計五人。
 
 
これはまずかろう、とアル・アジフでさえ思った。確かにスーパーロボット乗りには奇天烈な面子が多い。しかしこの年齢は。もしかして、若い男女に誘拐でもされてきたんじゃあるまいか、と一瞬考えたが、若い男女と女の子二人は確かに仲間であり、この四人で一まとまり一グループなのが分かる。信頼の絆で結ばれているのが、映像上だろうが分かるのだ。なんにせよ、誘拐犯だろうと強盗犯だろうと、それなりの技術力がない者がそんな軽装でこれるところではないのだ。そんな、武装をまるでせずにやってきて女ノコノコと。
 
 
エヴァ四号機も、デモンベインも出来る限りの最高速を出して、現場にたどり着こうと、間に合おうとした。ヒリュウ改もその巨躯からは信じられないスピードの出航をやったが・・・・・その内部でクルーもパイロットも時間よ遅くなれと念じ祈ったが・・・・
 
 
その戦力差はあまりにも、指揮官の余裕のぶっこきも意味がなかった
 
 
渚カヲルと大十字九郎とアル・アジフが現地を視認したその時、データが書き換えられた。
 
 
 
生体反応・・・・・「4」