『BAKA』


このタイトルを見てピンときた人は、読む必要がないかもしれません。

この『BAKA』、アメリカ軍が名づけた神風特攻のコードネーム(というべきか?)なんですな。
それが、向こうから見た素直な感想なんでしょう。

神風特攻はどうも、どっかの拠点から撤退(いや転進か・嘲笑)する際に、爆弾ないんでどうしようか〜〜ってんで生まれたらしい。んで、本隊のほうは無事だったよう。
んだもんで、効果があると思ってしまったのかねえ?
さて、実際に効果があったかというと、かなり疑問がある。
むこうさんにしてみれば、「もらうとこもらったし、馬鹿に付き合って怪我したらアホみて〜だから、追撃中止ね」って感じじゃないだろうか?
実際、死傷は出してるものの、船を沈めたって話ほとんど聞かないし。
そもそも、船なんて、魚雷ぶつけまくって、いいとこ当たったらやっと沈むってもんだし。どっかで喫水部(水から出てるギリギリの場所って感じ)に行けば沈められるって見たような気がするけど、対空砲火くぐって行くのってまず無理だし。結構な数が体当たり前に撃墜されたみたいだし。
人一匹を確実に犠牲にする兵器作って、戦果は艦上の火災程度なんだから、非効率もはなはだしいねえ。

んで、これが「アメリカに非常に恐れられた」とか書いているノー天気さんが多いけど、なんか”恐れる”のニュアンスが違うのよね。
「怖いと思う」じゃなくて、「不気味、気持ち悪い」の方だよ。得体が知れなくって気持ち悪いだよ。突っ込んでくる馬鹿なんて。
結果、原爆落とす事にためらいをなくさせたんじゃないか?
もちろん、政治的な問題のほうが多かったのかもしれないが、多くのアメリカ人が投下を是としているのはこのエピソードが多少なりと関係してるんじゃないか?
戦後の日本人観にも影響与えてないか?悪いほうに。多少とはいえ。
政治的にみても失敗じゃないのかねえ?

特攻を汚すのかって言われたら、ハイソウデスって答えます。
特攻した人を馬鹿にするのかって問われたら、いいえ違いますと返答するね。
はっきり言って特攻は愚行以外の何物でもないです。人命尊重という考えを抜きにしても。戦術的にも、政治的にも。それこそ『BAKA』でしょう。ぴったりすぎるよホンマ。情けないわ。
あれって、軍部が「こんなことしてまで戦ってます」って申し訳して、自己陶酔にひたるためのものじゃないの?ガチガチの防空壕の中の上層部の。
しかし、特攻した人の「他の為に犠牲になる」ってのは尊いよ。実に。かっこいいと思うよ、正直。
でも、そのかっこよさは、完全に空回りしてるのよ、それどころかマイナスになってるんじゃないかっていう節もあるんだよね。
生きたいって逃げまくるのも一つの勇気だと思うんだけどねえ。

特攻した人には心からの哀悼を意を。だからこそ、特攻が非効率で無意味であったかを知らなければいけないんじゃないか?二度と繰り返さないためにも。


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