「あそこじゃない? ほらあの2階の一番向こう」
キーウィーが指したのは、比較的きれいなアパートの一室だった。
「キーウィ〜、なんで部屋までわかるんだ? さてはお前、密かに抜けがけしてたなッッ!」
「ぐっ、苦じいよビッツ〜! ちらっと部屋の中が見えただけだよ!」
忍者は目がいいのである。それを聞いてすかさず、シェリルが走った。
「あそこね! リュー、あたしよシェリルよ! 開けて〜」
「あっコラ! ・・・俺も行く!」
早くも協定は忘れ去られている。
「ビッツ、性格変わったな」
キーウィーが、首すじをさすりながらぽつりと感想をもらした。
「やれやれだ・・・わしらも行くか」
* * *
キンコーン♪ 場違いにかわいらしいチャイムが部屋の奥で鳴った。
「もう来たのか。やけに早いなあ。まあ上がれ」
「おじゃましまーす・・・」
4人は(結局全員走った)緊張した面持ちでリューの部屋に足を踏み入れた。
「・・・おおそうだ。リュー、大したモノじゃないが・・・後でみんなで飲もう」
ヴァノスがどこからか一升瓶をとりだし、リューに渡した。
「おっ悪いなヴァノス。サンキュー」
嬉しそうに受けとるリュー。
「おいっヴァノス抜けがけは・・・」
「何のことだ? 客に呼ばれたらみやげのひとつも持ってこなければな」
「うっ・・・」
(やられたわね。さすが・・・)
(亀の甲より年の功・・・)
などと感心している場合ではない。自分たちも何かポイントを稼がなければ・・・。3人はあせった。 |