超SS No1

 

「俺は絶対に見ないから」
そう言い放つと高耶はリビングから出て行った。

「え〜一緒に見ようよ」
千秋が甘えた声で誘ってみるが高耶はおかまいなしに自室に戻る。

「なーんだ残念」
仕方なく千秋は1人ソファーに座ると42型のテレビに電源を入れお目当てのチャンネルボタンを押した。
テレビからは壮大な音楽が流れ出す。

 

 

 

「一緒に見たかったのに。天地人」
千秋がニヤリと笑って言った。

 

 

 

 

「何してんだ?」
ちょうどドラマも終った頃に時間を見計らって高耶がリビングに戻るとそこには
箱ティッシュをかかえてナミダしている千秋がいた。

「げ、おまえ泣いてんのかよ」
高耶があきれ顔で千秋を見る。
「だってよ〜あのヨロク役の子役が上手すぎて。こりゃ泣けるわ」
そういうと千秋はお構いなしに鼻をかんだ。

「おまえな、これはドラマだ。俺達は本物のあの時代を生きてきただろ?」
高耶はそっとゴミ箱を千秋の目の前に差し出す。

「わかってる。ただ、全てが史実じゃなくても面白いなと思ってな」
「何がだ?」
「時代は流れてるんだなって感じる。400年間全て覚えているわけじゃないがやっぱり
忘れられないもんだろ。というか一番初めを忘れたくはないというか・・・って俺らしくないか」
千秋が髪をかきあげ笑った。

高耶にはなんとなく千秋の言わんとすることがわかる。

「確かに。それはある。でも・・・・」
「でも?」
「やっぱり俺は見ない!」

見れるわけがないだろ。と高耶は心の中でつぶやいた。

 

END

 


久々の物書きです。とはいえ書きとは言えないくらい短いですが、ちょっと面白いかもと思って書いちゃいました。
実際私は2、3回だけ見ました。(全部見ようよ・・・)御館の乱はミラージュのスタート地点みたいなものですが
景虎の死は見るのが辛いところで見たくありません・・・・・

2009.4.4 貴月ゆあ