ん・・・・・うわぁ!

ドサッという音と共に高耶はベッドから落ちた。寝返りをしようと思ったのだがその先にベッドが無かったらしい。
痛って〜と顔をしかめて立ち上がる。辺りは暗い。

(まだ夜中か。)

今日は早めに眠りについた二人である。
高耶はそっとベッドにもぐりこむと隣りで眠っている直江を起こさないようにベッドに備え付けてあるライトの
スイッチにてを伸ばす。ふわっと辺りが明るくなった。

高耶は上半身を起こして直江の方を見た。
ギシッとベッドのきしむ音がして、直江が起きてしまうのではないかと思ったが直江は珍しくスヤスヤと寝ている。

(直江の寝顔見るのはじめてかもしんない)

直江は横向きになって……正確には高耶の寝ている方向を向いて眠っている。
高耶はなんだか不思議な気分になった。そっと直江の髪に触れてみる。すると直江が微かに反応した。
起きる!そう思って高耶はとっさに手を引いた。しばらく心臓のドキドキが収まらない。

(あー、びっくりした)

いつも自分よりも先には決して寝ない直江の寝顔が見れたのが何だか嬉しくって
高耶は色々な角度から直江を見つめた。なんだか急に直江への想いが溢れてくる。
たまらなくなって高耶は直江にキスをしようとしたが・・・・・・。

(寝てるのにいきなりキスなんてしたら変かもしれない)

変な考えが頭の中をよぎった。
直江との距離があと10cmのところで高耶は考え込んでしまった。そのまま時間が経過する。

「・・・・ですか?」

急に直江が口を開いた。高耶は驚いて直江から遠ざかる。

「起きてたのか?」

「どうしてキスをしてくれないのですか?」

横になったままの状態で、直江は高耶に言う。直江はなにもかもお見通しだったのだ。

「どおしてって・・・・おまえ起きてるんならそう言えよ!!」

高耶は真っ赤になって怒鳴る。自分の行動を全て見透かされてると思うとすごく恥ずかしい。
何を考えたか高耶がベッドから抜け出そうとしたので直江はとっさに腕を掴んだ。

「どこに行くのですか?」

「はなせよ。おまえとはもう一緒に寝ない!」

「そんなこと言わないで下さい」

直江の手を振り解こうとするが力が強くて解けない。直江に引っ張られて高耶はあっという間にベッドに逆戻りだ。
そのまま直江と向き合うような形になる。う〜と唸りながら高耶は直江を見ている。
一方直江は笑いながら高耶を見ていた。
いつもきちんとした髪が少し乱れていていつもの直江ではない感じがする。直江は高耶にそっと言う。

「私は逃げませんからキスしてくれてかまいませんよ」

「…………」

まあ、よく恥かしげもなく言えるよなこの男は。
と思いながらもきっとこのままキスしなかったら寝かせてもらえないと思い高耶は直江にそっと口付けた。
短い間だったが高耶からのキスに直江は満足したようだ。

「よくできました」

万円の笑みをうかべて高耶の頭をそっと撫でる。
子供扱いされて少しむっとした顔をした高耶だったが何度も撫でられているうちに眠くなってきたのだろうか
だんだんと目が閉じていく。しばらくして高耶は完全に寝てしまったのか寝息が聞こえてきた。

直江は高耶に布団をかけなおしてやり高耶を自分の方に引き寄せるとそっと頬にキスをした。

「おやすみなさい。高耶さん」

end


これはDas Bitte様のHPへ置いてもらっていました。

何か記念にプレゼントさせて頂いたものだったと思います。直高で!とのリクエストでした。

作成日:2000年7月25日(当時HN沙良)

2003年 貴月ゆあ