星空の下で

            

            深夜2時。そろそろ終わりにするかと作成したデータをフロッピィディスクに保存する。
             お盆の忙しくなる前にたまっている仕事を片付けてしまおうと思ったからである。
             保存が終わった所で電源を切った。

             台所に行き、冷蔵庫の中から冷えたビールを取り出す。プルトップを開けるとプシュッと音がした。
             飲もうと缶を口元に持っていった所で、外でカタンという音がする。
             こんな時間に、と不思議に思った直江は玄関に向かいチェーンを付けたままで扉を開けてみた。
             が・・・・そこには誰も居なかった。
             空耳かと、ドアを閉めようとした時、隙間から「よう。」と言って高耶が現れた。

             「ど、どうしたんですか?ちょっと待ってください。」

             いったん扉を閉め、急いでチェーンを外すともう一度扉を開いた。
              するとコンビニの袋を持った高耶が立っている。

             「入ってください。」

             直江は高耶を部屋に入れるとソファーに座らせた。

             「わりぃな、こんな時間に。」

             「それはかまいませんが、どうしたんですか?」

             直江が高耶の正面に座って尋ねるが、高耶はうつむいて話そうとしない。
              無言の重い沈黙の後、高耶が口を開いた。

             「・・・・・・・なのか?理由がなきゃ来ちゃ駄目なのか?」

             縋るような目で直江を見つめてくる。

             (何があったのだろうか。)

             「いえ、そんな事は言っていません。ただ、心配なだけです。高耶さん。」

             高耶を傷付けないように丁寧に優しく言う。いやに不安がる高耶に直江は、

             「高耶さん、ちょっとこっちに来てもらえますか?」

             そう言うと、さっきまで自分が仕事をしていた部屋に高耶を招いた。
              不思議に思いながらも高耶は素直に直江に付いて行く。
             その部屋にはパソコンデスク、本棚、テレビなど家具がきちんと置かれていた。

             高耶を部屋に入れてから、直江は部屋の電気を消した。そうして高耶を背後から抱きしめる。
              突然の事に高耶は

             「な、何すんだよ。」

             と直江から離れた。何かされるととっさに思ったらしい。(笑)

             「何もしませんよ。天井を見て下さい。」

             その言葉に、高耶は天井を見上げた。

             すると・・・・。

 

             「うわ。」

             思わず声が出てしまう。
              そこにはプラネタリウムのように様々な星が映し出されていた。
              大小様々な星達がキラキラと輝いている。

             「どうです。綺麗でしょう?」

             「ああ、すごい!!」

             高耶はその星に感動したのかずっと天井を見ている。直江は今度は正面から高耶を抱きしめた。
              高耶は抵抗どころか自分から直江の胸に顔をうずめる。

             「元気でましたか?」

             と尋ねると、

             「ああ。サンキュな。」

             と言って高耶は腕を直江の首に巻きつけるとそっとキスをした。
              自分からそんな事するなんて、と直江は嬉しくなってしまう。ついつい

             「ベッドに行きますか?」

             などと調子にのって言ってみる。

             「調子にのるな。」

             と、笑いの含んだ声で高耶が返事を返したが、そっと直江に近づいて、

             「ここがいい。」

             と小さくつぶやく。直江はくすりと笑って

             「わかりました。」

             と答えた。

 

             星空の下。二人の夜はこれから始まる・・・・

 

END


           これは・・・・甘々な話しが書きたかった・・・・。ってところから始まっています。(笑)
           最近何を書いても千秋が出てきてしまうので(苦笑)直高にしてみました。
           もっと上手くかければ言いのですが・・・・・・(^^ゞ 今の私にはこれで精一杯ですっ。
            直高もやはしい良いなぁ。(爆)

    

                 19990513  沙良