■幸せな夜■
頬に生暖かい感触が触れる。
眠い中何度か逃れようと手で払ったがしつこく触れられる感触に気が付いて目が覚める。
ゆっくりと目を開けると先日拾ってきたアメリカンショート柄の子猫が高耶の頬を舐めていた。
高耶がゆっくりと起き上がると子猫は高耶にまとわりついて遊んでくれとせがむ。
そんな子猫をほっといて辺りを見回すとビールの空き瓶やらワインの空き瓶があちらこちらに転がっており
机の上には高耶の作ったつまみやら買ってきた乾き物なが散乱していた。
膝の上にのかってきた子猫の頭を撫でながら(何でこんなに散らかってるんだ?)と記憶をさかのぼる。
今朝の天気は快晴。よく晴れたしと高耶は溜まった洗濯物を干していた。
午後になってやっと起きてきた千秋に「早く起きろよ」と文句を言うと「誕生日くらいゆっくり寝かせてくれ」
と返事が返ってきた。そう、今日は千秋の誕生日だった。忙しさにかまけてすっかり忘れていたが高耶は
日頃のお礼も兼ねて久し振りに手料理を作り千秋が大量に買ってきた酒を二人で飲んで
そのまま酔いつぶれて寝てしまったらしい。
高耶の隣で眼鏡をかけたまま寝ている千秋に目を向ける。肌寒いのか横になって足を折って寝ている。
高耶はめってに見る事に出来ない千秋の寝顔をまじまじと見てしまった。
ふと首元に目を向けると去年高耶がプレゼントしたプレートネックレスがキラリと見えた。
何かチェーンに付けられる物でもプレゼントするかな、などと考えながら高耶は千秋を起さないようにそっと眼鏡を
外してテーブルの上へと置いた。4月といえども夜は冷える。
高耶は重い体を持ち上げて部屋へ行くと毛布を2枚持ってきた。
かけてやろうとそっと千秋の傍らへしゃがむと千秋が「今何時?」と目をこすって話し掛けてきた。
「起きてたのか?」
「いーや、景虎が部屋出てった時の扉の音で目が冷めた。それとこいつ。」
千秋は寝っ転がったまま自分の上に乗っかって遊んでいる子猫を持ち上げた。
「リン、起しちゃダメだろー。」
子猫の名前はリンと言う。
高耶は千秋からリンを受け取るとダメだろ、と睨みつけるが何を勘違いしているのか高耶の髪の毛にじゃれている。
「ってか頭いてー。」
千秋がごろんと寝返りを打った。
「そりゃこんだけ飲めばな。」
高耶は辺りに散乱している空の酒瓶たちを見た。数えるのも恐ろしいほどの空き缶空き瓶である。
「んで今何時?」
「ああ、4時過ぎ。」
「んじゃまだ寝れるな。」
千秋は高耶の腕を掴むとそっと高耶を引き寄せた。
いきなりの事だったので半分倒れこむような形だ。リンは危険を察知したのか二人の側から一旦離れる。
「何すんだよ。」
「いーじゃん。寒いんだもん。誕生日なんだからサービスして?」
嬉しそうに抱きついてくる千秋に高耶はなすがままである。
そのまま二人で毛布に包まって寝ようとするとリンも足元から毛布の中へ入ってきた。
「こら、足にじゃれつくな。」
千秋が足でリンをどかそうとするが全く効き目がない。
それからしばらく二人と1匹はじゃれていたが疲れたのかいつのまにか寝息が聞こえてきた。
—END—
千秋の誕生日に合わせて書いたんですけど落ちなしだわ・・・・・。
幸せな二人を・・・って事でこんなかんじです。
文中に出てくるネックレスは去年UPした『seacret』を読むと分かるのでよったらそちらも読んでみてくださいませ。
誕生日なのにミニ小説でごめんなさいっ。
HAPPY BIRTHDAY CHIAKI ♪
2002年4月1日 貴月ゆあ