WAVE 〜deepⅠ〜

 

海の波が寄せてはかえす音。それはまるで地球の深呼吸のようだ。

 そんな音が聞こえる部屋で、二つの影が一つになる。

 

           二人は海の近くにあるホテルに泊まることにした。
           夏休みがはじまったばかりでホテルは混んでいるかと思われたが難なく部屋は取れた。
           20階建ての大きなホテルの18階の1810号室。まずまずの部屋で色々設備も整っていた。

           まさか千秋と一緒に夜を過ごすことになるなんて考えてもいなかった高耶は緊張していて
           さっきから挙動不審にキョロキョロ部屋を見ては動き回っている。
           一方千秋はソファーに腰掛けて一服しているが目は高耶を追っていた。

           その視線に気が付いているのかいないのか高耶は本当に落ち着きがない。
           千秋はそっとタバコから手を離すと、

           「とりあえず座ったら?」

           と高耶に声をかけた。高耶は「おう」。とは言ったもののなかなか座ろうとはしない。
           ベランダの方に歩いて行き海を見はじめた。沈黙が訪れる。どちらも何もしゃべらない。
           波が寄せては返す音だけが静かに部屋に響く。

           高耶は何か言わなくちゃ、とあれこれ考えてはいるのだが何を言っていいのか分からずに
           結局声にだせないでいる。すると千秋がいきなり「ぷっ」と吹き出した。
           そしてお腹をかかえて笑い出す。高耶は驚いて千秋を振り返った。

           「あははっ。おまえそんなに緊張してんの?」

           千秋はタバコを灰皿に押しつけて火を消すと、結んでいた髪をほどいた。高耶は構えて

           「そ、そんなことない。」

           とは言ってるもののあきらかに動揺していた。
           別にこの状況が嫌だというわけではないのだが(嫌だったらついてこないだろう…・)
           何をしていいのかわからない。千秋はソファーから立ち上がると

           「おいで」

           と優しく高耶に向かって手を伸ばした。高耶は戸惑いながらもとぼとぼと千秋の元に歩いていく。
           手の届くところまでくると千秋が高耶の腕をつかんで体を引き寄せた。
           なすがままに高耶は千秋に抱きしめられる。

           「ツカマエタ」

           小声で千秋がそう言った。トクン、トクンと一定のリズムでお互いの鼓動が聞こえる。
           千秋は高耶から少し体を離すと「覚悟しろよ」とばかりに高耶を見つめてからそっと唇に触れた。
           髪が頬にあたってなんだかくすぐったい。そのまま二人はベッドに倒れこんだ。
           上から千秋が覗いている。高耶はなんだかおびえるような目になってしまうと、
           千秋が微笑みかけた。

           「景虎」

           千秋は一度だけ名前を呼んで高耶にキスをした。今度はさっきと違うディープキス。
           深く口付けされて一瞬息が出来ない。

           「ふぁ…っ」

           息が漏れる。千秋のキスは激しさはないものの全身を甘く溶かすような感じのキスだ。
           長いキスが終わる。高耶の目が少し潤んでいた。

           そして千秋がそっとシャツのボタンを外していく。高耶は黙って窓の方を向いて海を見ている。
           恥かしくて千秋の顔がまともに見れないのだ。
           千秋の細いけれどしっかりとした指が高耶の胸の突起に触れる。指の腹の何ともいえない感触が
           優しく愛撫をはじめそしてそれをそっと口に含む。

           「ん…っ……」

           ピクンと高耶の体がゆれた。
           千秋はそのまま指をはわせて手を下にずらしていく。シュルっとベルトが外され、
           そしてそのまま一気に脱がされた。来る!と高耶は身構えたが千秋は中々高耶自身に触れて
           こようとはしなかった。そのかわりに、

           「どした?震えてるぞ。大丈夫か?」

           顔を背けていた高耶の顔を覗きこむ。

           (え?)

           そこで高耶は自分がはじめて震えてることに気が付いた。
           千秋は微笑んでぎゅっと高耶を抱きしめると

           「リラックスリラックス」

           といって背中をポンポンと叩いた。しばらくそのままで高耶も千秋に腕を回す。
           お互いの体の熱が溶け合い、だんだんと触れてる部分から熱が沸いてくる。

           「そろそろ温めあおうか?」

           笑いながら千秋がそう言って高耶から体を離すと今度は本格的に高耶に愛撫をしはじめた。
           目に唇に鎖骨に胸に腰。あらゆる部分に優しいキスが降り注ぐ。
           唇がなぞったところには小さな痕が点々と付く。
           綺麗なキスマーク。そして千秋の手が高耶自身にそっと触れた。

 

                                    〜to be continued・・・・・・・・・

 


           ずっと書きたいと思っていた誕生日小説「WAVE」の続きパート1です。(苦笑)
           続きもあるにはあるのですが、まだまだ改良の余地有なので先に前半だけUPしました。
           後半ははたして私に書けるのか?!という感じですが、なんとか頑張りたいと思います。(^_^;)

           自分で書いてて何ですが、私は千秋と高耶の関係がギリギリなのがツボです。
           キス以上はあんまり想像できないってのが正直な感想。(だったら書くなよ/苦笑)
           高耶が千秋を頼って・・・・とかそういうのが好きです。(笑)

           よろしかったら感想などお聞かせ下さい。
           後半のアドバイスも・・・・・よろしくお願いします。(苦笑)        

       

                                           1999.11.11 沙良