ゲルハルトの逆襲(1)


「こんにちわ!リュミエール様っ!」黄色いリボンを揺らして、
アンジェリークは噴水のふちに座るリュミエールに挨拶した。
「げほっ!ごほっ!」水色の髪が前後に揺れて、突然声をかけら
れたリュミエールは、咳き込んでしまった。アンジェリークには
背中を向けた状態で彼は座っていたので、彼女は前へと回り込ん
でみた。すると、リュミエールはささっと何かを、たもとに隠すと
いつものおだやか〜な笑顔で、
「こんにちわ、アンジェリーク。育成の方は頑張っていますか?
こほっ、こほっ。」リュミエールは少し胸を押さえて、言った。
「ごめんなさい!リュミエール様。何か私、お邪魔してしまった
ようですね?!失礼します!」アンジェリークは、後ろから見ると
パンツが丸見えではないか?と思うほど深々と頭を下げて、
その場を立ち去ろうとした。リュミエールは、立ち上がり彼女の
腕をつかまえ引き留めようとした瞬間、彼のたもとから甘栗が、
バラバラと音をたてて落ちていった、、、。

ふたりは、、、リュミエールとアンジェは仲良く噴水のふちに並ん
で座り、甘栗の皮に爪をたてていた。爪先が黒くなってゆくのを、
アンジェは少し気にしながら甘栗をむいていた。
「どうですか?アンジェリーク?育成の方は順調ですか?」
「はい、リュミエール様。なんとか大分、慣れてきました。」
「そうですか、それはよかった。この甘栗、おいしいでしょう?
オスカーが、下界の縁日で買ってきてくれたんですよ。
浴衣を着たきれいなおじょうさん達がたくさん居たそうです。」
「浴衣のおじょうさん?」
「ええ。浴衣のおじょうさんです。」リュミエールは、ほんわか
とアンジェに微笑んだ。ふたりの間に秋色の風が通り過ぎてゆく。
少々、けだるい昼下がりというのも手伝って、アンジェは思わず、
小さくあくびをした。つられるようにして、その隣でリュミエール
もあくびをする。ふたりして目を合わせると、これまた小さく、
「うふふふふ。」と微笑み合う、、、と、突然、リュミエールの体
が、ぐらりと揺れてアンジェの方へ倒れてきた。
「リ、リュミエール様!?い、一体どうし、、、た、、、?!」
アンジェも視界がゆらゆらとしてきた。
***************************************************
まさにその時!!ふたりが座って居る噴水の水面が、少しずつさざ
めきたちその中から、火のように燃える髪のオスカーが、ずぶ濡れに
なって現れた!
「!?オスカー、、、さま?」アンジェは気が遠くなってゆく頭を
なんとか起こして、弱々しく、振り向いた。彼女の膝の上には、
リュミエールがスヤスヤと寝息をたて眠っている。
オスカーは、じろりと視線をおろしてリュミエールへと手を伸ばし、
ひょいと自分の肩に担ぐと、ざぶざぶと音をたてながら、噴水の中へ
と消えていった、、、。

「ああ!オスカー様!?いったい、リュミエール様をどこへ連れて
ゆくんで、、、しゅ、、、か、、、?」アンジェは、そのまま、
半身濡れたままでぱったりと、噴水のふちで眠りこけた。


つづく.


このページは GeoCitiesです 無料ホームページをどうぞ