渡良瀬にこにこサークル通信

599号
 

2002. 3. 8 発行

文責 山中伸之
 
 
例会報告④
 
  などしたまはず」。方丈記「汝、姿は聖人に—、心は濁りにしめり」。
「見  —見ぬふりをする」
 ウ原因・理由を示す。…から。…ので。万葉集15「あしひきの山路越えむ
  とする人を心に持ち—安けくもなし」。源氏物語若紫「その中に違たがひ
  めあり—つつしませ給ふべきことなむ侍る」。「押され—倒れる」「寒く—
  泣き出す」「いたずらがひどく—困る」
③ある動作・作用・状態を表す語句を受け、動詞・形容詞に続ける。推古紀
「片岡山に飯に飢え—臥こやせるその旅人あはれ」。万葉集18「橋だにも渡
し—あらばその上ゆもい行き渡らし」。源氏物語桐壺「かく心細く—おはし
まさむよりは」。源氏物語花宴「かう—やみなむとは、さりともおぼされじ
」。「面白く—わくわくする」「泣い—訴える」「来—欲しい」
④対句的に語句を並べ、対等・並列・添加の関係で前後を続ける。「強く—
やさしい」「夏涼しく—、冬暖かい土地」「雨が降っ—、風が吹く」
⑤(…テ…テの形で) 反復・継続を表す。「打っ—打っ—打ちまくる」「我
慢し—我慢し—生きる」
 
 これに従って「みんなちがってみんないい」を書き換えてみれば、
1 みんなちがったならば、みんないい
2 みんなちがうのに、みんないい
3 みんなちがうから、みんないい
となる。
 1には願望が入っている。2には意外なという思いが見てとれる。3はその
違いを肯定している。みすヾの詩の文脈で言えば「3」ということになろう。
 黒須氏はどの「て」を意識して授業をしたのだろうか。それとも、こういう
ことは意識しなかったのだろうか。発問を見る限り、違いがあることを認めた
上でそれを肯定しているから、2か3の立場であろうと想像する。もっと立場
をはっきりさせると、授業にも特徴が出るのではないかと思う。
 ところで黒須氏が取り上げた違いとは、性別、年齢、人種、国籍、宗教、使
用言語、性愛傾向である。このうち、性別、年齢、人種は本人の意志とは関係
なく決まる。国籍や使用言語もかなりの割合で本人の意志とは関係なく決定さ
れる。宗教もそれに近い。
 つまり、本人の意志が色濃く反映されるような違いは「性愛傾向」だけだと言える。
 資料の次の部分を、

52人が女性です 48人が男性です
30人が子どもで 70人が大人です そのうち7人がお年寄りです
90人が異性愛者で 10人が同姓愛者です
70人が有色人種で 30人が白人です
 
次のように書き換えてみる。

○○人が殺人犯で ○○人が被害者です
○○人が喫煙者で ○○人が非喫煙者です
○○人が脱税者で ○○人が納税者です
○○人が老人に席をゆずって ○○人が眠ったふりをします
 
そして、こう続ける。






 

いろいろな人がいるこの村では
あなたとは違う人を理解すること
相手をあるがままに受け入れること
そしてなによりそういうことを知ることが
とても大切です
 
 もう一度問う。