┌───────────────────────┐ │渡良瀬にこにこサークル通信 │2001. 12. 7 発行 │ │ │ 578号 │文責 山中伸之 └───────────────────────┘ 例会報告 ⑧ 黒須氏の学級の様子もALTの様子も知らないが、私ならこんな風に書く。 ┌─────────────────────────────────┐ │ 先週の金曜日,アメリカ人のライアン・ウイリアム先生が5年生の教 │ │室にやってきた日のことです。 │ │ 子供たちに、 │ │「先生をお迎えに行きたい人!」 │ │と聞くと、15,6人の手がさっと上がりました。 │ │「じゃあ、俺とじゃんけんをして勝った人が行くことにしよう。」 │ │ じゃんけんの結果、○○君と○○君が行くことになりました。ところ │ │二人ともなかなか教室を出て行きません。そろそろ授業開始のチャイムが│ │鳴るというのに、ドアのところでひそひそと何やら相談をしています。 │ │「こりゃ、また何かたくらんでいるのでは……。あまり派手なことをされ│ │ るとまずいぞ。」 │ │と思って様子を見ていると、二人が思いきって私の方に来ます。どんなこ│ │とを提案するんだろう、と内心びくびくして待ちかまえていると、 │ │「先生、ライアン先生に会ったら、何て言えばいいですか?」 │ │これには、教室中が爆笑でした。私も笑ってしまったのですが、実はそう│ │聞かれて、はたと困ってしまいました。 │ │「う〜ん。何て言えばいいかなぁ………」 │ │ 何しろライアン先生は、日本語はほとんど分からないのです。 │ │「よし、とにかくまずは、ハローだ。次は笑顔、次は握手、そして、その│ │ 手を離さず教室まで引っぱって来る、あとは任せた。」 │ │「先生、それ言葉になってないですよ。」 │ │「まあ、あとはジェスチャーで頑張ってよ。俺もわかんないから。」 │ │ 頼りない担任に似ずたくましい二人は、この秘策を携えて職員室に向か│ │ったのです。 │ └─────────────────────────────────┘ 学級の様子を伝えるというのが、学級通信の大きな役割である。学級の歴 史を記録として残すのならば描写は必要ではない。しかし、保護者に学級の様 子を伝えるためには描写は不可欠である。 いつもいつも描写にこだわる必要はないが、ここぞという時には、このよう な書き方をしてもよい。 ところで、平塚氏の通信にも描写がない。それでも灰汁が強いと感じさせる のは、教師の思い入れを強く訴えているからである。これも黒須氏の通信にあ まり見られないものである。批判覚悟で自分の思いを強く書く、という覚悟と 行為が平塚氏の文章を印象深い物にしている。 かつて松本健二先生は、 ┌─────────────────────────────────┐ │読まれなければ通信ではない │ └─────────────────────────────────┘ と宣わった。私は「通信は自己満足のために書く」と思っているから、読まれ ないからといって通信を否定しようとは思わないが、読まれるに越したことは ない。読まれる通信を目指すなら、もっと灰汁を強くした方がいいだろう。 (11)本の紹介「プロジェクトX 1」 商品開発の裏話というのはおもしろいものである。ここではVHSに負け たソニーとして描かれているソニーも、カセットテープを開発した時には、テ ープに均一に磁気を塗布するために試行錯誤し、最終的に最もよかったものは 狸の毛の筆で人間が塗るというものだった、という話を読んだことがある。 どんな分野でも一流の人話はおもしろいものである。 (12)農園委託料請求書 (13)農業体験事業計画書 (14)農業体験事業実績報告書 こ、これらはいったい……。コメント不可。