「四年一組物語」第4時
「はなさかじじい」のプリントを配布する。プリントには文番号がふってある。
はなさかじじい むかしあるところに、こころのやさしいおじいさんとおばあさんが、すんでいました。 ある日のことです。 おばあさんが川でせんたくをしていると、川上から白いいぬがいたにのって、とっぷん たっぷんながれてきました。 おばあさんは子いぬをひろいあげて、いえへかえっていきました。 「こんなにかわいい子いぬ、だれが川にながしたんじゃ。よし、よし、おまえはきょうか らうちのいぬだよ。」 おじいさんもおおよろこびです。 子いぬはうれしそうに、くんくんあまえました。 子どものいないふたりは、子いぬにシロと名づけて、赤いくびわをつけてあげました。 シロは、ちゃわん一ぱいごはんをやると、一ぱいだけ大きくなりました。 二はいやると、二はいだけ大きくなって、げんきにそだっていきました。 ある日のことです。 おじいさんは、シロをつれて、山へいきました。 おじいさんがたきぎをとっていると、シロがきゅうにほえて、まえ足で土をほりだしま した。 「シロや。なにをみつけたんじゃな。どれ、どれ、わしがほってやろう。」 おじいさんは、もってきたくわをふりあげて、やっこらよいこら土をほりました。 「やややっ、これはなんじゃ。まぶしい、まぶしい。」 おじいさんは、おもわずりょう手で目をかくしました。 土のなかがぴかぴかひかっています。大ばん小ばんがざくざくでてきました。 おじいさんはびっくりするやら、おどろくやら。そのお金をふくろにつめて、いえへか えっていきました。 「たまげた。たまげた。わしはきもをつぶすところじゃったよ。」 こがねの山をまえに、おじいさんがおばあさんにはなしをしていると、となりのよくば りじいさんがやってきました。 「こりゃあ、すごいおたからじゃ。どこで手にいれたんじゃ。」 よくばりじいさんは、ぐびりとのどをならしました。そして、はなしをきくと、 「それじゃ、わしにもいぬをかしてくれろ。わしも山へいってくる。」 といって、シロをつれていきました。 つぎの日、よくばりじいさんは、シロをひっぱって、山へいきました。 いつまでたっても、シロはほえません。よくばりじいさんはいやがるシロをたたいて、 むりになかせました。 「わかった。わかった。ここだな。ここだな。」 よくばりじいさんは、よろこんで土をほりました。 ところが、でてきたのは、かえるやむかでや石ころばかり。小ばんは一まいもでてきま せん。 「このいぬめ。よくもわしをだましたな。」 よくばりじいさんははらをたて、シロをころして、そのあなにうめてしまいました。 |
列ごとに一文ずつ読み、途中から各自音読をした。
発問 1 | このお話は誰の目を通して書かれているでしょうか。 |
説明 1 | 教科書の作文は教室の時計の目を通して書かれていましたね。この「はなさ かじじい」の話は誰の目を通して書かれているかということです。 |
指示 1 | ノートにズバリと書きなさい。 |
列指名をして発表後、その他を意見を出させた。児童から出された意見は次の通り。
①空の目
②おじいさん、おばあさん
③何か分からないもの
④シロ
⑤村の人
⑥花
⑦土
⑧作者
説明 2 | 今、作者というのが出されました。作者というのはこのお話を書いた人です ね。それとは別に、このお話の場面にいて、その様子を読んでいる人に話して いる人がいます。この場面にいて、みんなにこのお話をしている人です。その 人のことを話者とか話主とかといって、作者とは区別します。 作者はどこにいるかというと、机の前に座って書いていますね。それに対し て話主はいまこのお話の場面にいて、みんなにお話をしているのです。 |
発問 2 | シロの目を通して書かれているというのが分かる文はどこですか。 |
児童1:「おじいさんがたきぎをとっていると、シロがきゅうにほえて、まえ足で土をほ
りだしました。」というところです。
教師1:じゃあ、シロが「シロがきゅうにほえて、まえ足で土をほりだしました。」って
見ているわけ?
児童2:違う。
教師2:じゃあ、どこだろう。
児童3:「シロは、ちゃわん一ぱいごはんをやると、一ぱいだけ大きくなりました。」
教師3:シロが「シロは、ちゃわん一ぱいごはんをやると、一ぱいだけ大きくなりました
。」って見ているわけ?
児童4:違う。
説明 3 | これはシロの目を通して書かれているのではありませんね。おじいさんとか おばあさんでもありません。じゃあ、何かっていうと、なんだかわからないも のですね。だから、空の目とかなんだか分からないものと考えて人は、いい所 に気が付いた人です。 |
説明 4 | 誰の目で見て書いているのかということを「視点」ということがあります。 視点は大きくわけて3つあります。一つは「一人称視点」、もう一つは「二人 称視点」、三つ目は「三人称視点」です。一人称というのは自分のことです。 「私は山中先生にプレゼントをしようと思いました。そこで、お友達の○○さ んに相談しました。」というように、私、自分の目から見たように書くのを「 一人称視点」といいます。二人称というのは相手のことです。二人称視点とい うのは相手の目で見て書くのですが、これはあまりありません。三人称という うのは、自分と相手以外の人のことです。三人称視点は自分と相手以外の人の 目を通して書かれているものです。この視点には、誰か一人の目を通して書か れているものと、何でも知っている神様の目を通して書かれているものがあり ます。 |
指示 2 | このお話をシロの目を通して書かれているように直します。 |
発問 3 | 最初の文はどのように書き直すことができますか。 |
児童5:むかしあるところに、ぼくをひろってくれたこころのやさしいおじいさんとおば
あさんが、すんでいました。
教師4:そうかな?
児童6:むかしあるところに、ぼくを育ててくれたこころのやさしいおじいさんとおばあ
さんが、すんでいました。
教師5:そうかな?
児童7:ぼくを飼ってくれている。
教師6:そうかな? ひらめいた人には分からないんだよな。
児童8:え? ? ?
児童9:わかった。わかりません。
教師8:そう、分かりませんね。だって、ここではまだシロは登場してませんから。
教師9:シロが初めて登場するのは何番目の文ですか。
児童10:3番目です。
教師10:そうですね。では、この次の時間に書き直してみましょう。