「ごんぎつね」 第6時
前時に出された児童の意見を印刷して配布した。
プリントの記述は次の通り。
A 引き合わないきつね(人と) B つまらないきつね C すこしいやな思いをしたきつね D あいてにされないきつね E お礼を言われたいきつね F 自分のことを言われないでつまらないきつね G 引き合わないのがつまらないきつね H びっくりぎつね I 何かをたくらんでいるきつね |
HとIは的をはずしているので、事前に補足説明ができるかどうか聞き、特に無いと言
うので考慮の対象からはずした。
指示 1 | この中で、これはおかしいと思うものを選んで×を書きなさい。いくつ書い てもいいです。 |
結果は次の通り。
0人 A 引き合わないきつね(人と) 9人 B つまらないきつね 1人 C すこしいやな思いをしたきつね 9人 D あいてにされないきつね 4人 E お礼を言われたいきつね 2人 F 自分のことを言われないでつまらないきつね 1人 G 引き合わないのがつまらないきつね |
教師1:理由が発表できる人は発表してください。
児童1:Bがおかしい。これでは自分がつまらないきつねなのか、やっていることがわか
ってもらえなくてつまらないのかがわからないから。
児童2:Eがおかしい。ごんはお礼が言われたくてくりやまつたけを持っていっているん
じゃないから。
教師2:じゃあ、何のために持っていってるの?
児童3:兵十がとったうなぎをにがして、死んだおっ母がうなぎが食べられなくて死んで
しまったので、そのために持っていっている。
教師3:つぐないのためということですね。
児童4:Fがおかしい。自分のことを言われないと言っているけど、ごんはくりやまつた
けを持っていってるのは自分だと知っているから、神様の仕業だと思われていた
としても、それは自分のことを言われていることだから、自分のことを言われな
いというのはおかしい。
児童5:Dがおかしい。あいてにされないんじゃなくて、ただ兵十たちは勘違いをしてい
るだけで、ごんがやっていることを相手にしているから。
教師4:何を勘違いしているんだっけ?
児童6:ごんがくりやまつたけを持っていってるのに、それを神様の仕業だと勘違いして
いる。
指示 2 | では、場面「5」のごんの様子を一番よく表していると思うものに○をつけ なさい。 |
結果は次の通り。
7人 A 引き合わないきつね(人と) 1人 B つまらないきつね 3人 C すこしいやな思いをしたきつね 1人 D あいてにされないきつね 2人 E お礼を言われたいきつね 1人 F 自分のことを言われないでつまらないきつね 1人 G 引き合わないのがつまらないきつね |
ここから何か一つに集約するには時間の制約があり、このまま各自の考えを認める形で
場面「5」を終えた。
教師5:いよいよ最後の場面です。
(この後は、音読しながら、その箇所その箇所で立ち止まって検討していった。)
教師6:「その明くる日も、ごんは、くりを持って、兵十のうちへ出かけました。」この
文の「その明くる日」というのはどの明くる日のことですか。
児童7:兵十と加助が、くりやまつたけを持ってきてくれるのは神様じゃないかとしゃべ
っていた晩の次の日。
教師8:その通りですね。ごんは、自分がやっているのに、それが分かってもらえないで
「おれは引き合わないなあ」とがっかりしていますね。
発問 1 | この文からどんなことが分かりますか?ノートに書きなさい。 |
児童8:すごくつぐないがしたいきつねだということが分かる。
児童9:恩ぎつね。兵十が、くりやまつたけを持ってきてくれるのはごんだということは
知らなくても、神様がやっていると思って感謝してくれることに対して、恩返し
をしたいと思っているということ。
児童10:「神様の仕業だ」と言っているのをごんはきいて、つりあわないと思ったけど、
何が何でも兵十にきづかせると思ってその明くる日も持って行ったと思う。
指示 3 | 「つぐないがしたい」「恩を返したい」「気付いてほしい」(板書)のうち どれが一番いいと思いますか、周りの人と相談してごらんなさい。 |
数分時間をとったが、有力な根拠は思いつかないようだった。分布は若干「気付いてほ
しい」という方が多いようだった。時間があればじっくり考えさせてもよかったところだ
が、ここまでとした。
説明 1 | 私は最初、この文から分かることは「ごんはそれほどまでしてつぐないがし たい」ということだと思っていました。だって、自分は引き合わないなあと思 いながらも、その次の日もくりを持って兵十の家に行くのですから。でも、今 「ごんはどうしても自分がくりを持って行っているということを分かってもら いたいんだ」という意見を聞いて、迷ってしまいました。どっちが正しいとい うことではないのかもしれませんね。どちらもごんの気持ちとしてあるのでは ないでしょうか。 |
教師9:ごんはくりやまつたけを持って行っているのが自分だと気付いてほしいのだと思
いますが、もし、兵十にくりを持って行っていることが見つかると、どうなって
しまうのですか?
児童11:殺されてしまうかもしれない。
教師10:そうですね。分かってほしいけれども、分かった時には殺されてしまうかもしれ
ないのです。つぐないをしたいけど、つぐないをすると殺されるかもしれないわ
けですね。そうまでしてごんはくりやまつたけを持って行っているのです。
このあたり、時間を気にしすぎてか、説明が多くなっている。教師が説明していること
を、児童に読み取らせなければならないのであるが、そのためにはもっとゆとりのある計
画が必要なのだろうか。それとも、更なる焦点化が必要だろうか。
さらに読み進める。
教師11:「ごんは、うちのうら口から、こっそり中へ入りました。」と書いてありますが
どうしてこうするのですか?
児童12:見つかると殺されてしまうかもしれないから。
(さらに音読)
教師12:「うちの中を見ると、土間にくりが固めて置いてあるのが、目につきました。」
固めておいてあるっていうのはどういうふうにおいてあるの?
児童13:まとめておいてある。
教師13:いわしの時はどうやったんだっけ?
児童14:兵十の家にぶん投げて行った。
教師14:そうだね。ずいぶん違いますね。
発問 2 | 「土間にくりを固めて置いた」ということから、ごんのどんな気持ちが読み とれますか?ノートに書きなさい。 |
教師15:土間を固めておくと、時間がかかって見つかるかもしれないわけだよね。どうし
て固めておいたのだろう。
児童15:固めておいておけば、兵十が、ごんが持って来たんだと分かると思ったから。
児童16:兵十の役にどうしても立ちたいと思っていたという心が分かる。
児童17:殺されるより、つぐないと自分がやっていたということを気付いてもらいたかっ
たから。
児童18:ごんは死ぬかくごをしてくりを置いていった。
児童19:これで最後かも知れないから、最後は固めて置いた。
児童20:神様のしわざではなく、自分がおいたということを知られたかった。死ぬかくご
で気持ちを入れて、固めておいた。
児童21:いつもどおりにくりを持っていったら罪は消せないから、少しずつていねいにお
いて、罪を軽くしたい。
発問 3 | 「6」の場面のごんはどんなきつねでしょうか。一番よく表している言葉を ズバリとノートに書きなさい。 |
児童から出された意見は次の通り。
A ぐったりぎつね
B 兵十を思うきつね
C 兵十ぎつね(あとで理由を聞けば分かると思います)
D かわいそうなきつね
E 死んだきつね
F 死ぬかくごをしたきつね
G 気付いてもらえたきつね
H 少し気持ちがうれしくなったきつね
I 殺されたけれど気付いてもらえたきつね
J 思い残すことはないきつね
K 納得ぎつね
L 無念ぎつね
M 罪をつぐない終えたきつね
このうち、対立する二つの意見を問う。
発問 4 | ごんは「無念」、くやしいと思っているでしょうか、それとも、思い残すこ とはないと思っているでしょうか。 |
・無念 (2名)
・思い残すことはない (15名)
ここまでで授業を終えた。