4年国語 実践報告22−⑩
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│単元名 │一つの花                             │
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│配当時間│10/                              │
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 エピローグの部分を音読した後、
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│一つの花(一輪のコスモス) ←→ コスモスの花でいっぱいに包まれています  │
│おいもや豆やかぼちゃしかありません ←→ お肉とお魚とどっちがいいの    │
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の対比を確認し、挿絵から服装の対比を確認させる。
T:いろんなものが増えていますが、一つだけ減っているものがありますね。それは何で
しょうか。
S:お父さんです。
T:お父さんはどうしていないのでしょうか。
S:戦争で死んでしまった。
T:確かにそうだとは書いてありませんが、戦争で死んでしまったと考えることができま
すね。
┌─発問1(板書)──────────────────────────────┐
│ ゆみ子は、今、幸せでしょうか。                      │
│ A 幸せ                                 │
│ B 幸せではない                             │
│(指示:どちらかを選んで、その理由をノートに書きなさい)          │
└──────────────────────────────────────┘
 しばらく時間をとってから挙手をさせたところ、次のようになった。
   A 20人
   B 16人
 この後、Aチームを教室の後ろ側に、Bチームを教室の前側に集めて、対抗討論会を行
ってみた。
┌─指示1──────────────────────────────────┐
│ Aチームの人で、理由が言える人は発表しなさい。Bチームの人は、Aチームの人│
│がどんな理由を述べているか覚えておいてください。              │
└──────────────────────────────────────┘
●昔とちがって、食べ物やコスモスもふえているし、16ページの7行目に「スキップを
 しながら」とかいてあるので、ゆみ子は幸せだと思う。
●ゆみ子はお父さんの事を知ってないかと思うし、ちゃんと食べ物を食べてるから。
●ゆみ子は、今お父さんがなくなってしまったけれど戦争で生き延びただけでもいいか 
 ら。
●ゆみ子は、お父さんの顔を覚えていません。自分にお父さんがあったこともあるいは知
 らないのかもしれませんとかいてあるので、ゆみ子はしあわせだと思う。
●もうてきのばくだんはおちてこないし、食べ物もたくさんあるから。
●お父さんがいなくなったけど、16ページの7行目に「スキップをしながら」とかいて
 いる所に、ゆみこはかなしいのに、スキップをする人なんていないし、だからゆみ子は
 幸せだと思います。
┌─指示2──────────────────────────────────┐
│ Bチームの人で、理由が言える人は発表しなさい。Aチームの人はBチームの人の│
│理由を覚えておくようにしましょう。                     │
└──────────────────────────────────────┘
●食べ物は少ないし、お父さんはいなくなるから。
●お父さんがいなくて家の人が一人いないから。
●食べ物があっても、お父さんは死んでしまったから。同じお父さんはもどってこないか
 ら。
●ゆみ子には、お金やたべものよりも大切なお父さんがいないから幸せでないと思いまし
 た。
┌─指示3──────────────────────────────────┐
│ これから、反対意見を言ってもらいます。その前に作戦会議をします。誰のどんな│
│意見に反対するか、話し合ってください。                   │
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 児童は嬉々として相談を始める。
┌─指示4説明1───────────────────────────────┐
│ では、Bチームの人から反対意見を述べてください。述べる時には、誰のどんな意│
│見に対する反対意見なのかが分かるように言います。このように言います。「さっき│
│誰々君は何々と言いましたが、その意見に反対です。理由は、」と言って、自分の考│
│えを述べます。                               │
└──────────────────────────────────────┘
 このように言ったからといって、児童がそのように言うとは限らない。むしろそのよう
にいわない場合の方が圧倒的に多い。これは、そのように発言するスキルが足りないから
である。このように言わせるためには繰返し反復練習することが不可欠である。この場合
も、発言の最中に折に触れて指導してみた。
 Bチームからの意見は、
●食べ物よりも大切なお父さんがいないのだから幸せではない。
という意見が出された。Bチームの主張は、この一点にしぼられているので、ここを論破
するようにAチームにアドバイスした。
 Aチームからは、
●コスモスがお父さんの形見になっているからさびしくない。
●幸せじゃなければスキップはしない
という意見が出された。これに対して、
●形見があれば本物がいなくてもさびしくないというのはおかしい。形見よりも本物の方
 がいいはずだ。
という意見が出された。
 結局結論が出ずに終わったが、最後に、
┌─説明2──────────────────────────────────┐
│ 教科書には、「自分にお父さんがあったことも、あるいは知らないのかもしれませ│
│ん」と書いてありますね。そしてそのすぐあとに「でも、今、ゆみ子のとんとんぶき│
│の小さな家は、コスモスの花でいっぱいに包まれています。」と書いてあります。お│
│父さんがいないことはあるいは寂しいのかもしれませんが、「でも」とそれまでと反│
│対の意味を表す言葉が使ってあり、「花でいっぱいに包まれてい」る家に住んでいる│
│と書いてありますね。お父さんにもらった大切なコスモスが、たった一輪だったけれ│
│ども、今ではトンネルを作るほどたくさんに増えています。その中からスキップをし│
│てゆみ子は出てくるのですね。こういうところを読むと、ゆみ子は今幸せなのだと読│
│めるのではないでしょうか。                         │
└──────────────────────────────────────┘
と説明して終わった。