4年国語 実践報告22−⑥ ┌────┬─────────────────────────────────┐ │単元名 │一つの花 │ ├────┼─────────────────────────────────┤ │配当時間│6/ │ └────┴─────────────────────────────────┘ 教科書7ページから8ページを範読する。 T:お父さんは人生に絶望を感じていたのですね。でも、「そんなとき、決まってゆみ子 をめちゃくちゃに高い高いするのでした。」ね。 ┌─発問1(板書)──────────────────────────────┐ │ お父さんは、なぜ絶望感の中で決まってゆみ子をめちゃくちゃに高い高いするのだ│ │ろうか。(指示:ノートに書きましょう) │ └──────────────────────────────────────┘ 児童の主な記述は次の通り。 ●かわいそうで高い高いする。(このお父さんはかわいそうなときに高い高いする人) ●もう、幸せになれないゆみ子を自分でもどうしたらいいのか分からないので、しかたが ないからめちゃくちゃに高い高いをしたと、私は思った。 ●一つだけという人生をおくってほしくないかったから。 ●絶望と言う気持ちをわすれようとしているから。 ●自分の心をやすらげようとしているし、ゆみ子に今だけでも幸せになってほしいから。 ●あまりじょうぶじゃないし、もしかするとこれでゆみ子を見るのは最後かもしれないか ら。 ●ふつうはよろこんでいる時に高い高いするけど、ゆみ子のお父さんが絶望の時にやった のは、お父さんはせんそうにいって死んでしまうかもしれないしゆみ子がおとなになった 時はどうなっているか………。 ●こんな話をきいて、どんどんそだって、ゆみ子が話を理解できるようになってショック をおこすとたいへんだから、いまはあまり話をおぼえないように、高い高いで、きをまぎ らわしてしょうらいショックをうけさせないためだから。 ●お父さんは、せんそうにいくために、さよならをするので、さいごにそんなゆみこをお 父さんは、決まってゆみこを、めちゃくちゃに、よろこばせるために、高い高いをするの です。 ●高い高いする時に、ゆみ子のえがおをみえていっしゅんに絶望感がきえてなくなるけど またきた時にやればスッキリするから。 ●お父さんは、ゆみ子がどんな子に育つか心配でしょうがなくて、悲しい気もちあるけど ゆみ子のえがおがみたいから「高い高い」をすると思ったから。 ●ゆみ子に「おまえは、かわいそうだな。」とつたえるため。 ●ゆみ子のおもいでになるように。 ●ちっちゃいうちにしんでしまったらもう高い高いができなくなるから、めちゃくちゃ高 い高いをしてあげたから。 ●絶望感をふりはらおうと思って高い高いをするから。 ●お父さんは、ゆみ子は、そんなおとなにならないようにたかいたかいをして心をつたえ ている。 ●ゆみ子が幸せになるようにと。 ●高い高いをするとお父さんはよろこんでないがゆみ子だけに楽しんでもらいたいから。 ●ぼくは元気、絶望なんかしてないとゆみ子が気ずくまえに高い高いしている。 ●どんな子に育つだろうといってお父さんやお母さんがおちこんでいるときにお父さんが 高い高いをするとゆみ子はわらうとお母さんやお父さんもいいきもちになるから。 ●もし、ゆみ子が大人になってよろこびなんて一つもなかった時のために、ちいさいとき にちいさな一つだけの喜びをあげたかったから。 ●絶望感の中でたえているお父さんのことをいやしてくゆみ子だから高い高いをするので す。 ●お父さんが絶望感の中にいる時は、ゆみ子のうれしそうなえがおを見て、すこしでもお 父さんは、リラックスしようと思ったから。 ここでは、自由に発表したい児童に自由に発表させた。いろいろな考えがあっておもし ろかった。最後に私の考えを語った。 T:お父さんがどうしてそんなとき、決まってゆみ子をめちゃくちゃに高い高いするのか はよく分かりません。よく分からないそういう気分の中で、どうしたらいいか分からずに 高い高いをしてしまうのでしょうね。みなさんには分からないでしょうけど、私には何と なく分かります。みなさんもあと何十年かしたらきっと分かるようになりますよ。私もこ のお父さんと同じ立場に立ったら、同じようにゆみ子を高い高いするような気がします。 ┌─指示1──────────────────────────────────┐ │ 9ページ1行目から11ページ8行目までを読みなさい。 │ └──────────────────────────────────────┘ ┌─発問1(板書)──────────────────────────────┐ │ 「あまりじょうぶでない〜〜〜やって来ました」という文から分かることはなんで│ │すか。(指示:ノートに書きなさい) │ └──────────────────────────────────────┘ 机間巡視をしてノートの記述内容を読んだが、教科書の文面通りのことを述べる児童が 多かった。実際には発表はさせなかったが、ノートの記述の主なものは次の通り。戦争で 日本が負けそうであることを書いた児童も一名いた。 ●ほとんどの人がせんそうへ行っていてお父さんもせんそうへいくことになった。 ●せんそうに行く人は、じょうぶでない人も行くほど、せんそうに行く人が少ない。 ●ほかに人がいないのでいきたくなくてもむりやりいかされてしまう。 ●けっこう弱い人で体はかぜもひきやすい。 ●じょうぶな人がすくなくなってあまりじょうぶでないゆみ子のお父さんもいかなければ ならないとかが分かる。 ●体がじょうぶでなくてもせんそうにゆくこと。 ●ゆみ子のお父さんもあまりじょうぶな人ではないけど、戦争でかつためだしかってゆみ 子を喜ばしたいから。 ●せんそうはじょうぶな人がいった方がいいのに、なぜあまりじょうぶじゃないゆみ子の お父さんがいかなければならないのか。 ●お父さんはよく、やまいにかかりやすい。 ●ゆみ子のお父さんもせんそうに行かなければならない日がやってきた。 ●男の人はだれでもせんそうにいかなければならない。 ●お父さんの所へも赤い手がみが来たなぁ。 ●戦争にはじょうぶな人もじょうぶじゃない人も行かなければならない。 ●兵士がいなくなっているし、戦争で日本が負けているということ。 ●お父さんだけ戦争に行くのではない。 ●行きたくないけどきまりで行く。きんじょでも村ぜんたいがそう思っている ●じょうぶな人はみんな戦争に行ってしまったこと。じょうぶでない人しかいないこと。 T:じょうぶな人とじょうぶでない人と、どっちが行った方が戦争に勝てるの? S:じょうぶな人。 T:それなのに、どうしてじょうぶでないゆみ子のお父さんも戦争に行かなければならな いの? S:もう、じょうぶな人がいなくなっちゃった。 T:どうしていなくなっちゃったの? S:ばくだんを落とされて殺されちゃった。 T:じょうぶな人がいなくなっちゃって、どうなっちゃうの? S:じょうぶな人がいなくなって、じょうぶでない人が戦争に行く。 T:じょうぶでない人が戦争にいくとどうなるの? S:戦争に勝てない。 T:あまりじょうぶでないゆみ子のお父さんも戦争にいくということから、どんなことが 分かるかな? S:………。 T:もう、戦争に負けそうになっているっていうことですね。もうじょうぶな人がいなく なっているということは、じょうぶな人がどんどん死んでしまったということですね。そ れで、仕方なくじょうぶでない人も戦争にいくのですから、もう日本が戦争に負けそうに なっているということが分かるのです。 ┌─発問2(板書)──────────────────────────────┐ │ お母さんは、おにぎりをだれに食べさせたかったのでしょうか。(指示:自分の考│ │えをノートに書きなさい) │ └──────────────────────────────────────┘ ゆみ子に食べさせたかった 5人 お父さんに食べさせたかった 33人 全員で食べたかった 1人 ┌─指示2──────────────────────────────────┐ │ お父さんに食べさせたかったという人、理由を発表してください。 │ └──────────────────────────────────────┘ S:お父さんは戦争に行ってしまうから、もう会えないかもしれないので、大事なお米で 作ったおにぎりを食べさせたい。 S:お父さんはもう食べられないかもしれないから食べさせたい。 ┌─指示3──────────────────────────────────┐ │ ゆみ子に食べさせたかったと考えた人、理由を発表してください。 │ └──────────────────────────────────────┘ S:おにぎりを食べないとゆみ子が泣いてしまって、お父さんも悲しむから。 S:ゆみ子はいつもおなかをすかしていたから。 ┌─指示4──────────────────────────────────┐ │ 反対の意見がある人、発表してください。 │ └──────────────────────────────────────┘ S:ゆみ子にあげるのならば、おにぎりじゃなくて、さつまいもなどでもいい。 S:ゆみ子にあげるのならば、今日じゃなくても、家で食べさせればいい。 S:ゆみ子はまだいつでも食べるチャンスがあるけれども、お父さんはもう帰ってこない かもしれない。 ┌─説明1──────────────────────────────────┐ │ お父さんが戦争に行くと、もしかしたらもう帰ってこないかもしれませんね。これ│ │が最後の別れになるかもしれないのです。お母さんは、そんなお父さんに大事なお米│ │でおにぎりを作ったのでしょう。もう会えないかもしれないお父さんのために、お母│ │さんの心のこもったおにぎりを食べさせてあげたいと思ったのです。ここは、やっぱ│ │りお父さんに食べさせたかったのではないでしょうか。 │ └──────────────────────────────────────┘