4年国語 実践報告22−④ ┌────┬─────────────────────────────────┐ │単元名 │一つの花 │ ├────┼─────────────────────────────────┤ │配当時間│4/ │ └────┴─────────────────────────────────┘ ┌─発問2(板書)──────────────────────────────┐ │ あなたは、ゆみ子はかわいそうな子だと思いますか。 │ │ A かわいそうな子だと思う │ │ B かわいそうな子だとは思わない │ │(指示:どちらかを選んで、ノートにその理由を書きなさい。) │ └──────────────────────────────────────┘ 前時に引き続きこの発問から始まる。前回の最後の自由討論で意見が変わった児童もか なりいたようだが、人数を調べると、Aが3名減っていただけだった。互いに意見を変え た児童がかなりいたようである。 児童の記述のうち主なものは次の通り。 A かわいそうな子だと思う ●一つだけちょうだいは他の人はきいてくれてもくれないからかわいそうな子だと思う。 ●お父さんが戦争へいったきり帰ってこないから。せんそうでゆみ子は食べ物を十分に食 べられないから。 ●ゆみ子のお母さんが一つだけ一つだけとゆみ子にいっていたからゆみ子は一つだけちょ うだい、ということばを覚えてしまったからかわいそうだと思った。 ●ゆみ子は、知らないうちに「一つだけちょうだい」を覚えてしまったり、お母さんが 「一つだけ」と口ぐせになったらゆみ子は、しらずしらず覚えてしまったからかわいそう だと思う。 ●お母さんが「なんてかわいそうな子でしょうね。」と思っているから。 ●一つだけと言えば何でももらえると思っているから。 ●どこへいっても一つだけと言って、ほかの人たちにきらわれるかもしれないと思ったか ら。 ●せんそうをやっているときにうまれてきた子で、あまりご飯も食べられないから、かわ いそうな子だと思う。 ●P8の1行目「そんなとき〜するのです」というのは、それはあまりつかうなというち ゅういなんだと思う。 ●ひとつだけのものしか、手に入らない。もしかわいそうな子だとは思わないと思うのな ら、なぜ7Pの4行目にお父さんがふかいためいきをつかないと思う。 ●はげしいせんそうの中でうまれて、ばくだんがとんでくるし食べる物も、少なくて、い つ家におちるかわからないのでかわいそうだと思います。 ●一つだけしかもらえなくて、おなかを、すかしても、朝、昼、夜しか、一つだけしかも らえなくて、自分も、ゆみ子になりきると、みじめだと思うから、ゆみ子はかわいそうだ と思います。 B かわいそうな子だとは思わない ●もし、ゆみこの家にばくだんを落とされて、お母さんが死んでしまったら、ゆみ子はか なしいけど、いまは、たべものがなくても家もあるしお母さんもお父さんもいるなんてか わいそうじゃないと思ったからBにしました。 ●お母さんからたくさんもらったから。 ●ゆみ子は、そんなにお母さんにもらってるならば、お母さんのことが大好きだと思うか ら。 C ●ゆみ子は、一つだけちょうだいと言って、おかあさんの分からもらっていて、うれしい けどゆみ子のお母さんは、あわれな気持ちだと思うから。 ●両方。一つだけと言えば何でももらえるし、まだちいさいのにせんそうにまきこまれて いるから。 ●二つとも思う。ゆみ子は一日に4つぐらいご飯やおやつをもらえるし、さいしょの言葉 を言い続けるのはかわいそうじゃない。小さいのにせんそうでゆみ子の家にばくだんが落 ちるから。 この後、討論を行った。しかし、当日すぐに記録をしなかったために、どのような意見 が交わされたか、記憶にない。児童はかなり活発に意見を言い合ったのだが、残念である。 ただし、討論によって、どちらかの意見に決着するということはなく、最後は私の解釈を 披露して終わった。 T:ゆみ子はお母さんに食べ物をもらっていたけれど、食べ物と同時に何をもらったと思 いますか? S:喜びをもらった。 S:やさしさをもらった。 T:そうですね。喜びとかやさしさとか愛情をもらったのではないでしょうか。だから、 十分に食べ物を食べることはできなかったけれど、食べ物と同時にお母さんのたくさ んの愛情をもらっていたと思うんですね。だから、私はゆみ子はかわいそうな子だっ たとは思いません。でも、このことは教科書にはどこにも書いてないので、みなさん がどう思うか、いろんな意見があっていいんです。いろいろな人がいろいろなことを 考えるのですね。 ┌─発問3(板書)──────────────────────────────┐ │ お父さんが深いため息をついた理由をお父さんの言葉の中からさがしましょう。 │ │(指示:一つだけノートに書きなさい) │ └──────────────────────────────────────┘ 児童は、思い思いの箇所をノートに書いていた。 ┌─発問4──────────────────────────────────┐ │ お父さんが深いため息をついた理由が一番表れている言葉はどれですか。(指示:│ │言葉を一つ見つけなさい。何々、と短く、一つの言葉をさがすのです) │ └──────────────────────────────────────┘ ここからは、一問一答でテンポ良く進む。 S:一つだけ。 T:違います。 S:喜び。 T:違います。 S:みんなちょうだい。 T:長すぎます。 こんな感じで正解が出るまで続ける。ゲーム感覚である。 S:一生。 T:正解! S:やった。 T:お父さんは一生知らずにすごすかもしれないね、と言ってますね。一生、ということ は、お父さんはこの戦争がいつ終わるか分からないと思っているわけですね。ですから、 将来はいいことがあるだろうとか、今だけがまんしようとか、そういうことが考えられな いわけです。生活に希望がないわけですね。絶望しているわけです。大きくなってどんな 子に育つか分からないわけです。 S:………。 T:ところが、「そんなとき、お父さんは、決まってゆみ子をめちゃくちゃに高い高いす るのでした。」って書いてあるね。 T:みんな、小さい頃に高い高いをしてもらったときある? S:ある。 T:そういうとき、お父さんやお母さんはどんな様子でしたか? S:うれしそう。喜んでいた。 T:そうですね。高い高いをするときは、お父さんやお母さんはうれしいんですね。うれ しいとき、喜んでいるときに高い高いをすることが多いのです。でも、このお父さんは絶 望を感じたとき、「きまってめちゃくちゃに高い高い」するんだね。どうしてなのでしょ うか。これをこの次考えてみたいと思います。家に帰って、もしできたら高い高いをして もらってみてください。