4年国語 実践報告22−③
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│単元名 │一つの花                             │
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│配当時間│3/                               │
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┌─発問1(板書)──────────────────────────────┐
│ ゆみ子が「一つだけちょうだい。」という言葉をはじめて言った時、お母さんは喜│
│んだでしょうか。                              │
│ A 喜んだ                                │
│ B 喜ばなかった                             │
│(指示:どちらかを選んで、ノートに理由も書きなさい)            │
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 主な記述は次の通り。
A 喜んだ
●自分のうんだ子がはじめて言葉を言って、あ、せいちょうしたんだな、わたしもがんば
ろうっていうきになるから。
●自分が言っている言葉をゆみ子が覚えてくれて、やっぱり親子だなぁという気がするか
ら。
●ゆみ子がせんそうのはげしい時に産まれて、はじめて言ったことばなので、お母さんは、
せんそうの中ではいちばんうれしかったとおもったとおもう。
●赤ちゃんがはじめてしゃべったからもし、かぼちゃとかあげてるときにしゃべったらよ
ろこんだ。
●初めて赤ちゃんが言った言葉だから、喜んだはず。
●お母さんは、はじめてしゃべったので、はじめはおどろいたと思いましたが、初めてし
ゃべったのでよろこんだと思います。

B 喜ばない
●ゆみ子が一つだけちょうだいという言葉をはっきりおぼえてしまうと、お母さんのごは
んやお父さんのごはんがなくなちゃうからよろこばない。あと7ページの1行目に「なん
てかわいそうな子でしょうね」てかいてあるからよろこばない。
●お父さんが「この子は一生みんなちょうだい山ほどちょうだいと言って両手を出すこと
を知らないですごすかもしれないね」と言ったので喜ばない。
●一つだけといっても、大きくなってしつれいになるから。
●このこが「一つだけ」っていって全部もらえると思っているから。
●よろこんでいたらお父さんはためいきはつかないと思ったから。
●最初にいうのは、ママかパパぐらいだからお母さんは、楽しみにしてたらゆみ子は、最
初にひとつだけちょうだいといったのでがっかりしたと思う。
●教科書の7ページに一つだけちょうだいといえばなんでももらえると思っているのね。
と書いているからよろこばなかったと思います。
●一つだけといえばもらうとおもうから一日に何こもあげなければならない。
●自分も食べたかったのに、だいじな子どもにあげなくちゃいくないと思ったから。
●ゆみ子がもしことの言葉がくせになっていつまでも「一つだけちょうだい」といってい
たらなんでもちょうだいといって人からえんりょしないで一つだけちょうだいなんかゆわ
れたら「やだなあ」と思うから。
●もし喜んでいるなら「なんてかわいそうな子でしょうね」なんて言わないから。
 よろこんだかどうかは想像することになる。ここは鑑賞の部分だが、物語の設定を読み
取っていけばある程度の妥当な解釈は可能だろう。
┌─説明1──────────────────────────────────┐
│ 喜んだか喜ばないかと聞かれて、そのどっちかしか考えないようではだめですね。│
│こういうときは、喜んだか喜ばなかったかの他に何か考えられないかを考えてみると│
│いいのです。                                │
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 この説明をしたら、児童が「ずるい」と言っていた。確かにずるいのだが、第3の場合
がないかどうか考えることは大切なことである。しかし、これを教えたばかりに、いつで
も第3の意見を、つまり折衷案を考えてしまって、討論が盛り上がらないこともあるので、
あまり強調するのも考え物である。
┌─説明2──────────────────────────────────┐
│ 初めて自分の子どもがお話をするのですから、これはお母さんにとてはうれしいで│
│すね。だからきっと喜んだと思いますよ。でも、その言葉が「ママ」とか「まんま」│
│とかではなくて「一つだけちょうだい」だったのですね。食べ物がなくていつもおな│
│かをすかしているから、この言葉を覚えてしまったのでしょう。だからお母さんにし│
│てみれば、この言葉を聞くたびに、自分の子どもに十分に食べ物をあげられないとい│
│うことを思い出してしまうわけです。初めて言葉を話したことへの喜びもあります │
│が、同時に自分の子がとてもあわれですよね。喜んだけどあわれに思っているわけで│
│す。                                    │
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T:あわれってどういうことだかわかる?
S:分からない。
T:ちょっと難しい言葉だけどね、かわいそうだな、同情したくなるな、という気持ちの
  ことですね。
┌─指示1──────────────────────────────────┐
│ 教科書7ページの最初から8ページの2行目までを読みなさい。        │
└──────────────────────────────────────┘
┌─発問2(板書)──────────────────────────────┐
│ あなたは、ゆみ子はかわいそうな子だと思いますか。             │
│  A かわいそうな子だと思う                       │
│  B かわいそうな子だとは思わない                    │
│(指示:どちらかを選んで、ノートにその理由を書きなさい。)         │
└──────────────────────────────────────┘
 理由が書き終わってから、人数を調べると、
A  5人
B 33人
という結果だった。
┌─指示2──────────────────────────────────┐
│ ノートを持って、自分と違う意見の人のところに行って、言い合いをして来ます。│
│相手の人の考えが変わるように、お互いに自分の意見を言ってください。     │
└──────────────────────────────────────┘
 5分程度、教室は騒然となるが、楽しく真剣に言い合いをしている。私も近くに来た児
童をつかまえて議論をふっかけ、意見を変えさせてしまう。