4年国語 実践報告4−①
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│単元名│電話で約束                             │
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│時  │2/3                               │
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┌─説明1──────────────────────────────────┐
│ ここではメモの取り方の勉強をしますが、その前に、メモをとらないで相手に伝え│
│るのがどんなに大変なことなのかをためしてみましょう。            │
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T:伝言ゲームって知ってる?
S:知ってる。前にやったことある。
T:今日はそれをやってみます。
┌─説明1──────────────────────────────────┐
│ 全部で6チームを作りますね。じゃあ、ここがAチーム……(以下Fまで)。まず│
│A、C、Eの3チームがゲームをやります。チームの先頭の人が前に出てきて、この│
│メモを見ます。そして、それを覚えます。覚えたら、その3人は前の方で待っていて│
│(場所指定)、次の人がそこに行って覚えたことを伝えてもらいます。伝えたら最初│
│の人は席にもどります。そして3人目の人がそこに行って、2人目の人から伝えても│
│らいます。こうして、最後の人まで回ったら、最後の人にどんなことが伝わったかを│
│発表してもらいます。より正確に伝わったチームの優勝です。          │
└──────────────────────────────────────┘
┌─指示1──────────────────────────────────┐
│ では、最初の人出てきてください。                     │
└──────────────────────────────────────┘
 メモを見せて2分前後時間をとる。先頭の3人は一生懸命覚えようと頑張っていた。
T:はい、じゃあそこまで。
S:えーっ、まだ覚えてないよ。
┌─指示2──────────────────────────────────┐
│ じゃあ、2人目の人出てきてください。では、覚えたことを伝えてもらいます。時│
│間は30秒です。はい、どうぞ。                       │
└──────────────────────────────────────┘
 3組の児童はひそひそ声で伝達を始める。伝える方も覚える方も真剣である。30秒を
正確に計り、30秒たったら、
T:はい、そこまで。では、3人目の人出てきてください。
 以下、最後の児童まで同様に続ける。最後の児童だけ席にもどさずに、
T:では、発表してもらいましょう。○○君どうぞ。
S:冬休みに……、図工室と家庭科室と音楽室で……5年生の………。
T:それで終わりかな? では、次の人。
S:昼休み、図工室と理科室で、給食委員……までしか聞きませんでした。
T:はい、では、最後の人。
S:図工室で、5,6人の人が……。
T:どのチームもほとんど伝わっていませんね。正確な文章はこうです(音読)。
┌─指示3──────────────────────────────────┐
│ では、今度はB、D、Fチームの人にやってもらいます。           │
└──────────────────────────────────────┘
 以下、同様にゲームを進め、最後に発表してもらう。最初のチームと大差なく、ほとん
ど伝わっていないことが分かる。
┌─説明2──────────────────────────────────┐
│ 今、みなさんにやってもらったように、覚えるだけではほとんど伝わらないという│
│ことが分かりますね。                            │
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┌─発問1──────────────────────────────────┐
│ では、正確に伝えるためにはどんな工夫をしたらいいでしょうか。       │
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S:紙に書く。メモをする。
T:そうですね、その他には?
S:……………。
T:もうないの? 考えつかない?
S:手に書く。
T:なるほど、手に書く。それから?
S:テープに録る。
T:うん、カセットテープに録音する。
S:何回も質問する。
T:はい、いろいろ出ましたが、その中で、一番簡単にできるのは何?
S:メモする。
┌─説明3──────────────────────────────────┐
│ 今度は、メモをしながら伝言ゲームをやってみましょう。やり方を言います。まず│
│最初の人が紙と鉛筆を持って集まります。伝言メモを見ながら必要なことをメモしま│
│す。2人目の人に伝える時にはそのメモを見ながら伝えます。二人目の人も、そのメ│
│モを見ながら3人目の人に伝えます。                     │
└──────────────────────────────────────┘
┌─指示4──────────────────────────────────┐
│ では、最初の人、紙と鉛筆を持ってこちらに集まりましょう。伝言メモを見て、必│
│要なことをメモしてください。時間は30秒です。               │
└──────────────────────────────────────┘
 始めたところ、児童のメモとは、文章をほぼそのまま写すことだった。筆記速度も遅い
ため、時間はたってもいっこうにメモはできあがらない。結局2分くらい時間をとり、う
ち切った。メモの有効性が分かればよいと思ったからである。
T:では、2人目の人来てください。
 メモを持っているので、今度はメモに書いてある内容は非常に正確に伝わっていった。
 最後の児童に発表してもらっても、最初の児童が伝えたことはほぼ同じ内容で伝わって
いることが分かった。
┌─説明4──────────────────────────────────┐
│ メモをとって伝えると、覚えているだけよりも正確に伝わるということが分かりま│
│したね。                                  │
│ この次の時間には、メモの取り方の勉強をします。              │
└──────────────────────────────────────┘
 何故メモを取る必要があるのかについては、今日の体験で分かったと思うが、いかにメ
モを取るかということの方が実は大変なことである。児童のメモというと、ともすると、
ほぼすべてをそのまま書き写そうとするからである。何を選択してメモすればいいのか、
逆に考えれば、何を選択して捨象すればいいのか、その選択の技術をいかに身につけさせ
ていけばいいのか、ここが難しいのである。そして、このあたりの技術の指導法は見過ご
されがちなこともまた事実である。