4年国語 実践報告2−③
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│単元名│ガオーッ                              │                             │
├───┼──────────────────────────────────┤
│時  │5/5                               │                              │
└───┴──────────────────────────────────┘
 時間がないので、音読の練習は割愛して、すぐに発問する。
┌─発問1──────────────────────────────────┐
│ クロヒョウが「こういうのは好きじゃないんだ」と言っていますが、「こういうの│
│」というのは、                               │
│ A:ガオーッとほえること                         │
│ B:ライオンさんを助けること                       │
│のどちらでしょうか。理由も考えましょう。                  │
└──────────────────────────────────────┘
A:ガオーッとほえること
○クロヒョウはライオンがほえるのはきらいだから。
○クロヒョウはサービスをしないから、ほえるのは好きじゃない。
○こういう役はライオンさんのほうがむいているんだから。
○ライオンさんを助けることが嫌いなんてどこのページにも書いてないから。
○おこっているような言い方でした。
○クロヒョウはいつもなまけものだし、ガオーッてほえなかったから。
○教科書の「今日はかわりにほえるけど」と書いてあるから。
○クロヒョウが「サービスのしすぎなんだよ」と言い、サービスはほえることだから。

B:ライオンさんを助けること
○クロヒョウは自分の事でせいいっぱいだったから、ライオンの事を助けるのはいやだか
 ら。
 児童の選択はAが大多数だったが、Bを選んだ児童も数名いた。理由がうまく述べられ
ないので話し合いにはならなかった。
┌─発問2──────────────────────────────────┐
│ クロヒョウは嫌々ほえたのでしょうか。理由も考えましょう。         │
└──────────────────────────────────────┘
●嫌々ほえた  18
○こういうやくはライオンさんのほうがむいているんだ。それにおれはこういうのは好き
 じゃないんだから。
○クロヒョウはほえたくてほえたんじゃない。
○こういうのは好きじゃないって言っているから。
○「今日は代わりにほえるけど声が直ったらライオンさんがやってくれよ」とクロヒョウ
 が言ったから、いやいやほえたと思った。
○クロヒョウはいつもねっころがっているから、あんまり好きじゃないから。
○今日だけだぜというのが嫌々ほえているように思った。
○「すっごい口」「見てみなよ。すごいきばだ」「がぶりってかまれたらいたいだろうな」
 「すごいな」と子どもたちに言ったから嫌々ほえた。
●嫌々ほえたのではなかった  19
○照れくさかったのです。すまんなぁ、それじゃ今日一日だけ。
○「今日だけだぜ」と言っているから、今日だけならべつにいいやって思っている。
○照れくさかったのですと書いているのは嫌々ほえていない。
○おこっているような言い方でしたが本当は照れくさかったのです。
○嫌々ほえたのだったら「今日だけだぜ」なんて言わないから。しかも、照れくさかった
 のですと書いてあるから。
○ライオンを助けようと嫌々しないでほえているから。
┌─指示1──────────────────────────────────┐
│ 今から、ノートを持って、いろいろな人と見せっこします。もしその時に同じ意見│
│だったら仲間になってください。そして、別の人と見せっこします。もし相手の人と│
│違う意見だったら、相手の人を説得して自分の見方になるように話し合ってください│
│ではどうぞ。                                │
└──────────────────────────────────────┘
 しばらくの間、教室は騒然となる。
 話し合いの活動に慣れていないし、論破することもできない状態ではあるが、意見の違
う相手に出会うと、お互いに自分の意見を主張してけっこう盛り上がっているようである。
しばらく時間をとってから、
T:考えが変わった人?
S:(5,6名が挙手)
T:どういうふうに変わりましたか?
S:嫌々ほえたから嫌々じゃない方に変わった。
T:他の人はどうですか。
S:同じ。
┌─指示2──────────────────────────────────┐
│ では、それぞれの立場の人、5人ずつ、前に出て理由を発表してもらいます。まず│
│嫌々ほえたという意見の人で発表できる人どうぞ。               │
└──────────────────────────────────────┘
 最初、手があがらなかったが、一人あがったら数人がさっと手を挙げた。発言の訓練と
して、こういう場を数多く設定していく必要があろう。この後、同様に「嫌々ほえたので
はない」という立場の児童に発表してもらった。
T:ありがとうございました。嫌々ほえたんじゃないという人の方が、少し多くなったん
  でしたね。
S:本当はどっち?
T:どっちだろうね。最後の方に「おこっているような言い方でしたが、本当は、照れく
  さかったのです。」って書いてあるから、親切にしたいんだけど、照れくさくておこ
  っているように言っているんでしょう? だから、嫌々ほえているんじゃないんじゃ
  ないかなと私は思いますよ。
T:クロヒョウってさ、悪いやつなの?
S:ううん、いいやつ。
T:いいやつか。
S:悪そうに見えるけど、本当はいいやつなんだよ。
T:そうかもしれないね。
(「主人公は誰か」と音読の練習は時間の都合で割愛)