稲葉小 学習指導通信
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学習訓練について考える その1
エピソード
徳川家康が今川義元の人質となっていた時のことです。
今川義元は家康にあることをしたのだそうです。
どんなことをしたと思いますか?
義元は家来に次のように命令しました。
「この家康にむごい教育をしてやれ」
と。
そこで,家来はたずねました。
「むごい教育とはどんなことをすればいいのですか?」
義元は次のように言ったそうです。
「朝から晩までうまいものをたべさせろ。冬は寒くないように暖かくし
てやり,夏は暑くないように涼しくして,それはそれは大事にしてや
れ。」
そして,義元は最後に次のように言いました。
「そうすればたいていのやつはだめな人間になる。」 エピソード
義元が本当にそうしたのかどうかは分かりませんが,さすがに今川義
元です。どうすれば人間が大成するのか,どうすれば人間がだめになる
のか,よく分かっていたようです。
13日から14日にかけて千葉の講座に参加して来ました。
講師の先生が突然,
「授業の目的は何か?」
と問いました。問われていろいろと考えました。こんなことを真正面か
ら考えることはほとんどありません。
先生は,ズバリとお答えになりました。
「学力の向上である。」
そして,こう続けられました。
「楽しくなくたって,おもしろくなくたって,まずは子どもの学力を付
けること,それこそが授業の第一の目的です。」
楽しい授業ということがよく言われます。(こういう名前の雑誌があ
ります。仮説実験授業研究会の機関誌です。仮説の実践は物作りとか授
業書とかの形で巷間にあふれています。プラバンを熱してアクセサリー
を作るのも,仮説の物作り実践から商品化されたものです。)
授業は楽しいに越したことはありません。
しかし,「楽しさ」は授業の十分条件ではないと思います。
そのことがまず保障されなければなりません。
学力をつけるためには様々な要素が必要になってきます。学習訓練も
その一つです。「訓練」という言葉がだめなら「態度」にしましょう。
学習態度を適切なものにする,まずここから始めなければなりません。