稲葉小 学習指導通信
|
|
|
子どもたちの声を鍛えましょう
最近の子どもたちの声は非常に頼りないものになっています。
ですから私は、初めて出合った子どもたちの声を、まず鍛えることに
しています。
主にそれは国語の授業を通して行います。発音・発声などの言語技術
に深く関わる技能は、国語の授業を通して高めていくのが最もふさわし
いと思うからです。
国語の最初の教材の音読指導から始まります。
技術の指導には次の歌が非常に参考になります。
やって見せ 言って聞かせて させてみて
ほめてやらねば 人は動かじ
|
○やって見せ
子どもたち数人に音読をさせてから、読むときにはこのように読むと
よいとつげ、最初の数行を音読します。
○言って聞かせて
いい声を出させるキーワードは「張り」です。
張りのあり声で読むことが大切です。大きくなくてもかまいませ
ん。張りのある声で読みます。普段話すよりもちょっと高い声で、
遠くの人に話しかけるように声を出します。
|
と教えます。
○させてみて
その後、数名の子どもたちに読んでもらいます。一人一人評価します。
すぐに上手になるわけではありませんが、中には張りのあるいい声で読
む子がいます。
○ほめてやらねば
その子をオーバーにほめます。すると、その子に挑戦したいと思う、
ノリのいい子が必ず出てきます。そういう子にどんどん読ませて行きま
す。どんどんとほめます。
○人は動かじ
こうすると、次の音読の時にもいい声で読む子が必ず出て来ます。
もちろん、子どもたちの声が簡単に、張りのあるいい声になることは
ありません。子どもたちが自ら張りのある声を出すようになるまでに、
数週間から数ヶ月かかります。その間、何度も張りのある声で言わせた
り、やって見せたり、できていないことを指摘したり、できていた子を
ほめたりします。この指導には本当に根気が必要です。
しかし、指導すれば指導しただけのものを、子どもたちは必ず返して
くれるものです。
こうして、ひとたび張りのある声をマスターすれば、朝のあいさつも、
職員室への出入りも、教室での発表も、実に聞き取りやすくさわやかな
ものとなり、授業への活気も出てきます。
子どもたちの声を鍛えましょう。