稲葉小 学習指導通信
 

 

 2002/ 4/16発行
   第  4号
   文責 山中
 
 
子どもたちの声を鍛えましょう
 
 最近の子どもたちの声は非常に頼りないものになっています。
 ですから私は、初めて出合った子どもたちの声を、まず鍛えることに
しています。
 主にそれは国語の授業を通して行います。発音・発声などの言語技術
に深く関わる技能は、国語の授業を通して高めていくのが最もふさわし
いと思うからです。
 国語の最初の教材の音読指導から始まります。
 技術の指導には次の歌が非常に参考になります。

やって見せ 言って聞かせて させてみて
                ほめてやらねば 人は動かじ
 
○やって見せ
 子どもたち数人に音読をさせてから、読むときにはこのように読むと
よいとつげ、最初の数行を音読します。
○言って聞かせて
 いい声を出させるキーワードは「張り」です。

 張りのあり声で読むことが大切です。大きくなくてもかまいませ
ん。張りのある声で読みます。普段話すよりもちょっと高い声で、
遠くの人に話しかけるように声を出します。
 
と教えます。
○させてみて
 その後、数名の子どもたちに読んでもらいます。一人一人評価します。
すぐに上手になるわけではありませんが、中には張りのあるいい声で読
む子がいます。
○ほめてやらねば
 その子をオーバーにほめます。すると、その子に挑戦したいと思う、
ノリのいい子が必ず出てきます。そういう子にどんどん読ませて行きま
す。どんどんとほめます。
○人は動かじ
 こうすると、次の音読の時にもいい声で読む子が必ず出て来ます。
 
 もちろん、子どもたちの声が簡単に、張りのあるいい声になることは
ありません。子どもたちが自ら張りのある声を出すようになるまでに、
数週間から数ヶ月かかります。その間、何度も張りのある声で言わせた
り、やって見せたり、できていないことを指摘したり、できていた子を
ほめたりします。この指導には本当に根気が必要です。
 しかし、指導すれば指導しただけのものを、子どもたちは必ず返して
くれるものです。
 こうして、ひとたび張りのある声をマスターすれば、朝のあいさつも、
職員室への出入りも、教室での発表も、実に聞き取りやすくさわやかな
ものとなり、授業への活気も出てきます。
 
 子どもたちの声を鍛えましょう。