稲葉小学校学校課題研究通信



 

2002. 2.18 発行
第 72号
文責 山中

 
 
研究発表会見聞録 4
 
くの子が元気に手を挙げていて、最初に見た5年生のクラスとは比べ物になら
なかった。後で思ったことだが、これには担任教師のパフォーマンスが非常に
大きく影響しているようである。
 歌が終わると、担任の先生のジェスチャーが始まった。何か動作をする。す
ると、何をしているところかを子どもたちが英語で言う。今、学習しているフ
レーズが主なものだが、時々子どもたちから別の英語が飛び出すこともあり、
終始なごやかで知的な雰囲気の中で授業は進んでいった。
 いよいよメインの活動である。4人程度のグループを作り、さらに2つのグ
ループが向かい合って座った。各グループはそれぞれ米を使った料理を紹介す
る手作りの資料を持っている。まず、一方のグループが立ち、向かい合ってい
るもう一方のグループに、資料を使って料理の説明をするのである。相手のグ
ループはそれを聞いている。説明が一通り終わると、その資料を床に置き、今
の料理の作り方を、ジェスチャーを入れた英語のチャンツで表現し始めた。
 やっている方も聞いている方も手拍子を始める。その手拍子のリズムに合わ
せて、立っているグループがジェスチャーとチャンツを始める。
「I wash vegetables.」
「I cut vegetables.」
「I boil water.」
「I wash rice.」                 
「I break eggs.」
   …
   …
 これをジェスチャーを交えてリズミカルに話していくのである。身体表現の
仕方には個人差があり、手を動かす程度の子もいれば、体全体で表現し、終わ
ってからのポーズを決める子もいる。各自が3つ程度のフレーズを言うと料理
は完成する。料理が完成したところで、見ているグループは何か声を掛けるの
だが、これを忘れていると教師がやってきて目で促したりジェスチャーで促し
たりする。それでも分からない時には「Very good!」「Great!」などの言葉
を教えていた。
 一方のグループが終わると今度は見ていた方のグループが同様に発表するこ
とになる。この活動をグループ単位で相手を取り替えながら、数回行った。各
グループが数回発表したところで、この活動を終えた。
 次の活動はカードゲーム、かるた取りである。
 先生が「Let!s game!」と声をかけると、子どもたちからイエーッとものす
ごい声があがった。体中で喜びを表現している。伸び上がる子、拳を突き上げ
る子、大声を出す子、それでいてカードを配ると上手に輪になって、ゲームの
準備に入る。輪は4つできあがり、それぞれにアシスタントが一人ずつ入って
ゲームが始まった。カードには料理の動作が描かれている。その動作を先生が
言うと、それに対応するカードを子どもたちが取るという、どこにでもあるゲ
ームだ。子どもたちは最初全員が頭の上に手を載せている。そして先生の言葉
を聞くと雪崩のように目指すカードに殺到する。こんな光景はどこの小学校で
も変わらないのだろう。
 感心したのは、先生の声が非常に小さいということである。小さい声ならよ
く聞くのである。小さい声で済むのはゲームのきまりがよく守られているとい
う証拠である。あの盛り上がりとこの静けさのコントラストが自然と成立する
ところに、学級経営手腕の並々ならぬものを見ることができる。
 ゲームが終わる。
「One card. raise your hand.」「Good.」
「Two cards. raise your hand.」「Good.」
「Three cards. raise your hand.」「Very Good.」
「Four cards. raise your hand.」「Very Good.」